活文 Intelligent Data Extractorの導入事例
株式会社小泉様見積書の内容を自動抽出し、負荷軽減と期間短縮を実現
住宅設備機器・配管部材・建材・電設資材の総合商社である株式会社小泉は、見積書のデータ入力を自動化するために、日立ソリューションズのデータ自動抽出基盤「活文 Intelligent Data Extractor」を導入。ベストケースでは約98%の時間を削減し、作業負荷の軽減と見積書作成日数の短縮を実現しました。今後は、他の帳票についても自動入力の対象とする予定。仕入先からの請求書と買掛金データの突合チェックも計画しています。

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背景と課題
仕入先の見積書を手入力して、販売先向けに作り直していた

田中 久喜 氏
住宅設備機器・配管部材・建材・電設資材の総合商社である小泉は、「いつでも、どこでも、何でも揃う」というモットーを掲げて、東北・関東・甲信・東海地域で地域密着型のビジネスを展開しています。現在は「プロストック」というブランドで“持ち帰り”型の小売りも行っているものの、同社のビジネスの主軸は工務店などからの注文をメーカーに取り次ぐ“発注品”の卸売。具体的には、仕入先のメーカーに引き合いを出して見積をもらい、小泉としての見積書を販売先に提出するという流れになっています。
ここでの課題は、見積書の作成にかかる手間が大きく、その結果、販売先への見積書の提出が遅れがちになる、ということでした。
「まず大前提として、仕入先メーカーからの見積書をそのままの形で販売先に提出するわけにはいきません。そこで、当社は見積システムを社内に用意し、仕入先から受け取った見積書の内容を手作業で入力してから自前の見積書として作り直すようにしていました」(田中氏)
しかし、取り扱い商材の種類が多く、同社の仕入先メーカーは5,000社以上あります。当然、見積書の形式はメーカーごとに違いますので、同社の形式に置き換えながら型番、数量、金額などの内容を見積システムに入力しなければなりません。
「受領手段が複数あることも現場担当者の作業負荷を高める要因になっていると考えていました。大手の仕入先からは見積データをCSVファイルで直接入手できていたのですが、その他のメーカーからはFax、 Microsoft Excel のファイル、PDFファイルとまちまち。Faxはデジタル複合機でPDFファイルに変換していました。しかし、データをコピー&ペーストで取り込めないことも多く、手作業での転記入力が必要でした」(中野氏)
選定と導入
負荷軽減と期間短縮をめざし、見積書の自動入力を狙う

中野 晃久 氏
見積書作成に関わる「作業負荷」と「期間」の課題を解決するには、最新ITソリューションによる自動化が役に立つのではないか―。同社のシステム部がそう考えるようになったのは、基幹系システムで進められていたある機能拡張プロジェクトがきっかけでした。
「請求書と発注書を自動的に突合する機能を、2014年に日立ソリューションズから導入した基幹系システムの『FutureStage』に組み込めないかと検討してきました。その過程で、日立ソリューションズから提案されたソリューションの中にデータ自動抽出基盤『活文 Intelligent Data Extractor』(以下、活文)という製品があり、見積書の自動入力にも利用できるのではないかと考えました」(田中氏)
この考えに基づいて「活文」の採用検討が小泉のシステム部で始まったのは、2017年11月のこと。ソフトウェアの技術検証(以下、PoC)には評価版(1カ月)を利用し、実務で使われている仕入先の見積書をうまく処理できるかの可能性を調査しました。
「まずは4種類の見積書でそもそもの実現可能性をチェックし、その後、検証の対象を15種類まで広げていきました。その結果、『フォント埋め込みされたPDF*』なら『活文』での抽出成功率がほぼ100%になることを確認。作業負荷の軽減と作成期間の短縮という2つの狙いを確実に達成するために、当面はこのタイプのPDFファイルだけを自動化の対象とすることにしました」(中野氏)
「採用の決め手となったのは、PoCを実施できたことと、本番稼働では従量制の手頃なプランが用意されていることの2点でした。日立グループには基幹系システムなどで以前からお世話になっており、その技術力とサポート力には全幅の信頼を置いていました」(田中氏)
PoCが実施されたのは、2018年4月から5月までの2カ月間。日立ソリューションズによる「活文」の構築作業は直後の6月に始まり、2018年10月には本社、全営業所、全関係会社で30種類の見積書についての自動処理がスタートしました。
まず、小泉の営業担当者は仕入先メーカーに「見積書はPDFファイルとして作り、メールに添付して送付」の依頼をします。仕入先からのメールを受け取った営業担当者はその添付ファイルを開いて、文字データをコピー&ペーストできる状態になっていることを確かめたうえで、全社共有のファイルサーバーに用意されている仕入先別フォルダーに入れます。すると、バックグラウンドで待ち受けていた「活文」がそのPDFファイルから型番・品名・数量・金額などの見積データを自動的に抽出して、CSVファイルを生成。そのCSVファイルの場所(フォルダパス)を営業担当者が見積システムに指定すると、仕入先の見積データが自動的に登録されます。
*文字データをコピー&ペーストできるようにフォント情報が埋め込まれているPDFファイル
成果と今後
作業時間が1日半から15分に大幅短縮。今後は他の書類にも適用予定
「社長からは、『従量制の枠を突破するくらいの勢いで、もっと活用するように』と言われました。そこで、全営業店の所長を集めてシステム部が使い方を詳しく説明し、見積書の自動入力率を少しでも高めようとしています」(田中氏)
そうした努力のかいもあって、月間の利用量は6,000ページ前後で推移。契約の上限値である月間ページ数はまだ超えていませんが、地道な普及活動を続けていけば自動入力の割合は徐々に高まっていくのではないかとシステム部は見ています。
「ある営業所では、約300行の明細が必要な電設資材の見積書入力に1日半ほどかかっていました。今では15分程度で入力しており、大幅に作業工数を削減できました。その他のケースでも、見積書を作成して販売先に提出するまでの日数を短縮することができました。普段、営業所からシステム部には不具合の電話くらいしかかかってこないのですが、この時ばかりは驚きと喜びと感謝が一遍になったような電話がかかってきました。また、見積のスピード化は、直に販売先の受注機会拡大にも繋がっているようです」(中野氏)
このような成果を確認した同社は、今、「活文」で自動入力する対象をさらに拡大していこうと考えています。例えば、仕入先から受け取った請求書を自動入力して基幹系システムの「FutureStage」に送り込んで買掛金データと突合チェック。マスターに登録されていない飛び込み客が現れたときには、いったん伝票で対応しておき、後からその伝票を「活文」で処理して「FutureStage」に自動入力するといった使い方を期待しています。活用領域を広げていくことで、商社としての競争力を高めるとともに、働き方改革も実現していくことができそうです。
「現場に入り込んでユーザーの意見をしっかりと聞く、という日立ソリューションズの対応には深く感謝しています。『活文』の月間利用量をユーザー側でモニタリングする機能をリクエストしているので、実現を期待しています。仕入先メーカーからも『見積書自動入力の取り組みに参加したい』というお申し出を何件かいただいており、この輪はどんどん広がっていきそうです。競争がますます激化する住設機器のビジネスで勝ち残るためのカギは、効率と生産性だと考えています」(田中氏)
生産性を向上し、働き方改革に取り組む小泉。商社としての競争力を高めるために、日立ソリューションズは今後も同社を支援していきます。

株式会社小泉
住宅設備機器・配管部材・建材・電設資材の総合商社。「いつでも、どこでも、何でも揃う」をモットーに、東北・関東・甲信・東海地域にまたがる約140営業所のネットワークを通じて地域密着型・提案型のビジネスを行っている。併せて、プロ職人向けに住宅設備機器を年中無休のコンビニ方式で小売りする「プロストック」も展開中。中国・ベトナム・韓国などのアジアを中心としたグローバル展開や新規事業にも積極的に取り組む。
本社所在地 | 東京都杉並区荻窪4-32-5 | ![]() |
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設立 | 1947年4月18日(創業:1910年8月) | |
従業員数 | 2,280人 | |
事業内容 | 住宅設備機器総合商社および関連事業等 | |
URL | https://www.koizumig.co.jp/ |
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本事例の内容は2019年3月11日公開当時のものです。
最終更新日:2019年3月11日