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【挑む人】第31回 山田真由美「60歳になっても輝いているために50歳の今起業」

夢を後押しする人との出会い

夢を後押しする人との出会い

「あなたは介護ができるし、美容師でもある。それで写真が撮れたらビジネスになるんじゃない?」。仕事仲間の何気ない言葉が心を離れず、現在の恩師でもある写真家に相談を持ちかけたところ、思いがけない答えが返ってきた。

「プロの写真家に必要な要素の50%はコミュニケーション能力で、残りの50%が撮影に関する技術。あなたはすでに高いコミュニケーション能力を持っているのだから、あとは撮影やレタッチの技術だけしっかり身につければ十分やっていける」

これを機に山田氏は写真家に師事し、人物撮影のノウハウを一から学んだ。とはいえ、そこからとんとん拍子で今に至ったわけではない。46歳の時にはパニック障害の診断を受けた。義父母との関係は良好だったが、このままでは何かあってもお世話できないと1人で2世帯住宅を出た。2年間のアパート暮らしを経て、25年の住宅ローンを組み、自宅マンションを購入した。

昼間は出張撮影、夜は介護の仕事という忙しい日々。しかし、「1人でも多くの高齢者にきれいになった自分と出会い、幸せになってほしい。高齢者を枠にはめる社会を変えたい」という山田氏のイノベーティブな挑戦を、周囲が放っておかなかった。

起業を強く勧めてくれたのは、共同経営者となった現会長。現顧問は自身の母親が山田氏の出張撮影サービスを利用したことが就任の契機となった。とはいえ、実質的なプレーヤーは山田氏のみ。撮影・写真の加工・納品作業に加え、経理や事務、営業もすべて1人でこなす。予約が入れば、メイク道具にカメラやストロボセット、撮影用の背景パネルを合わせ総重量20kgの仕事道具の詰まった大きなキャリーバッグを引いて、公共交通機関で移動する。

喫緊の課題は、後継者の育成だという。業務の傍ら介護美容の専門学校講師を務めているが、現状、教え子の大半がボランティアで仕事をしており、ビジネスとしてマネタイズするに至っていない。

「2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者に移行します。美意識の高い高齢者が増える中で、将来教え子たちが働ける場所をつくりたい。高齢者を元気にする出張撮影サービスを、介護保険外のビジネスとして確立したい」

50歳での起業は、壮大な目標に向けてのスタートにすぎない。メイクで本来の姿を取り戻した高齢者たちの心からの笑顔を胸に、山田氏は今日もシャッターを切る。

山田真由美氏
〈取材後記〉

今回は、都内のスタジオで撮影とインタビューを行いました。高齢女性への“美の伝道師”にふさわしく50歳という年齢を全く感じさせないチャーミングさで、ベージュのワンピースで登場された時は、まるでスタジオに春風が吹き抜けたようでした。撮影中は撮影者に熱心に専門的な質問を投げかけ、インタビューでは一つひとつの質問に言葉を選びながら答えてくださり、そんな真摯な様子にスタッフ一同がファンになりました。出張撮影サービスで「きれいで幸せな高齢者」が増え、高齢化社会が明るく楽しいものになることを切に願います。

特集 山田真由美/了
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