
近年、「飲みニケーション」は悪しき習慣のように語られることも多く、上司世代にとっては若手を誘いづらい風潮になっています。しかし一方で、あえて昔ながらの飲み会を再評価し、奨励する企業も増えつつあるといいます。実際のところ、職場の飲み会はアリなのでしょうか?
そこで今回は20代、30代、40代へのアンケート調査や聞き取りから、「職場の飲み会」に対する本音を探りたいと思います。若手・中堅社員は上司との飲み会をどうとらえているのか? また、職場の飲み会にどんなことを求めているのか? 世代別の「飲み」に対する意識ギャップを見て行きましょう。
飲みニケーションを奨励する企業が増加中?
働き方改革が叫ばれる昨今、「飲みニケーション」は前時代の文化のようにとらえられる向きもあります。しかし一方で、その効果・メリットを見直し、積極的に活用しようという企業も増えているようです。
東京に本社を置く大手SI企業のA社では、約10年前から飲みニケーションを促す様々な取り組みをスタート。たとえば、部長と若手社員といった、仕事上の交流機会が少ない社員同士による懇談会に会社から飲食代を補助するなどの制度を設けています。
また、生保大手のB社では、3000名が働く東京本社ビルの社員食堂を、昼だけでなく夜も開放する試みを行っています。毎週金曜の夕方から夜まで利用可能で、手軽な飲み会の場として活用してもらい社員同士のコミュニケーションを促す狙いがあるようです。
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こうした動きは若手社員が主体のスタートアップでも見られます。ビジネスチャットのサービスを運営するC社では、創業期における社員同士の結束を高めるため社内飲み会を奨励。東京と大阪のオフィスで月1回の飲み会を開催し、費用を会社が負担していました。
インターネット広告・人材サービスのD社にも、様々な飲み会制度があります。たとえば、数年前からは全社員でハロウィンパーティーを実施。思い思いの仮装や早食い大会などの催しを通じ、社員のコミュニケーション増加と強固なチームワークの創出をはかる狙いがあるといいます。他にも、1月の新年会、4月の新入社員歓迎会・お花見など節目ごとのイベントを大事にし、飲み会費用を補助する制度もあるようです。
法人向けの名刺管理サービスを行うE社の飲み会支援制度もユニークです。3名を上限に「他部署で、過去に飲んだことのない人」との飲食費を補助してくれるといいます。これにはコミュニケーションの促進に加え、他部署の仕事への理解を深める狙いもあるようです。
大手からスタートアップまで、多くの企業がコストをかけて飲み会を奨励する背景には、社員同士の結束、コミュニケーションの活性化を促したい企業の思いが透けて見えます。また、裏を返せばそうした会社側からのお膳立てがなければ、なかなか社員同士で飲みに行く機会がないということの現れでもあるかもしれません。
