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【ニューノーマルの世界を生きる知恵〜ガラリと変わるビジネスを先読み〜】第1回 「働き方はどう変わる?」

彼の名前は、シンジョー・ダイ(新常 態)。とある会社で経営部門のリーダーを務める。withコロナにおける会社の指針を探るべく、専門家のアドバイスを得ながら、ビジネスの「ニューノーマル」を読み解く。

登場人物の図

登場人物の図

テレワークの効果効能が見えてきた

シンジョー

はじめまして。シンジョー・ダイです。
これからみなさんのお知恵を借りながら、
ニューノーマル時代のビジネスがどう変わっていくか探っていきます。

シンジョー: はじめに働き方について考えてみたいと思います。まずテレワークですが、コロナが収束した後も、テレワークを導入する動きは止まらないと見られています。フィン教授、経済学の目から見て、テレワークにはどんな価値がありますか。

フィン教授: 経済的なメリットはいろいろあります。社員の交通費や出張費の軽減、オフィスの賃料の削減、外国人従業員を雇う際のビザの手続きも省略できます。柔軟な働き方を求める子育て世代の親たち、介護のため通勤がむずかしかった人たちなど、才能やスキルを持ちながら会社勤めができなかった人たちも仕事ができるようになります。経営的な視点から見れば、社員全体の創造性や生産性が高まり、企業に新たな成長をもたらす可能性を秘めているといえます。

work from homeの図

ソーサ教授: 最近アメリカでは「ワーク・フロム・ホーム(WORK FROM HOME)」という言い方が定着してきました。日本でいうところの在宅勤務ですね。「WFH」と略されたりもします。テレワークもリモートワークも働く場所は必ずしも自宅とは限りませんが、ワーク・フロム・ホームは文字通り、家をオフィスにする働き方です。

シンジョー: 在宅勤務は大きな可能性を秘めていますね。日本の場合、首都圏で働く人たちは通勤に往復で2時間以上かかることはざらです。その時間を仕事に当てることができれば、かなり生産性は高くなります。うちの会社でもテレワークが導入されてから、少しずつ成果が見えてきました。ソーサ教授、コロナ禍での在宅勤務はアメリカではどう評価をされているのでしょう。

ソーサ教授: やはり歓迎する声は多いです。たとえば『ハーバード・ビジネス・レビュー』で発表されたアメリカのホワイトカラーを対象にした調査では、WFH(在宅勤務)を続けたいと望む人が70%以上いました。これは2020年5月時点での結果です。在宅勤務を始めた当初は戸惑いがあったものの、次第に慣れて仕事のリズムを取り戻したという声が多かったようです。

シンジョー: 日本でも在宅勤務を肯定的に捉える企業が増えてきました。

ソーサ教授: アメリカの生産性ソフトウェアのスタートアップ、Prodoscoreが2020年5月に行ったユーザー調査で、コロナ禍によるテレワークの常態化で生産性が上がっているという結果を発表しました。詳しく見ていくと、電子メールや電話のやりとりが大幅に増加してるのに対して、カレンダーアプリへのアクセスが減少している。つまり過剰なミーティングや会議が減り、その分、仕事に集中できるようになったと分析しています。

シンジョー

フィン教授: ツイッター、スクエア、フェイスブックといったアメリカのIT企業は、今後もずっと在宅勤務を選択できるようにすることを発表しました。かつてアメリカではヤフーやIBMといった先進的なテック企業でも在宅勤務を認めない時代もありましたが、いまやそうした状況ではなくなりました。テレワークはオフィスワーカーだけと思われがちですが、最近では工場で働く人たちもテレワークを可能にするようなテクノロジーが生まれています。

トモ教授: SFの世界では自宅にいる本人の代わりにデジタル世界のアバターが仕事をこなすといった世界がよく描かれてきましたが、コロナ禍によって、そうした世界がますます現実味を帯びてきたといえます。

テレワークがトリガーとなるジョブ型雇用!

『メンバーシップ型雇用』と『ジョブ型雇用』の特徴」掲載図(@人事.2020年6月10掲載記事)をもとに作成 フィン教授

フィン教授: シンジョーさんの会社は「ジョブ型雇用」を導入していますか。

シンジョー: うちの会社は一部の専門職だけです。ただ、もっと多くの社員を対象にすべきだという声が高まり、全社的な導入を検討しているところです。

フィン教授: コロナ禍の影響で日本ではジョブ型雇用を一気に導入する企業が増えてきた感じがしますね。それも社会インフラを支える総合電機メーカー、モバイルネットワークを提供する通信会社、フィンテックを駆使する損保会社など日本を代表する大企業が多い。特に海外に拠点がある企業の場合、欧米ではすでにジョブ型雇用が当たり前なので、これを機に全社的な規模でジョブ型にスイッチしようという動きが強いですね。

ソーサ教授: 私個人の意見としては、日本企業はできる限り早くジョブ型のビジネス社会に転換すべきだと思います。日本が長らく採用してきたメンバーシップ型雇用は、いいところもありますが、どうしても生産性が低くなりがちです。

シンジョー: 確かに。スイスのビジネススクールIMDが発表した、2019年版の世界の競争力の総合順位は30位に後退していました。

フィン教授: メンバーシップ型は人が会社に就く「就社型」、ジョブ型は職務に人を就ける「就職型」ともいわれます。ジョブ型は入社の段階で能力やスキルが問われます。長く働いてきた人でも実力不足と判断されれば解雇も当たり前のように行われます。この「当たり前のように解雇される」という点が、日本でジョブ型が進まなかった大きな理由ですよね。

ソーサ教授
メンバーシップ型組織の賃金/生産性
出典:@人事
シンジョー

シンジョー: その通りです。長いあいだ続けてきた人材雇用の慣習を、日本はいろいろな面でアップデートする時機に来ていると思います。

ソーサ教授: 仕事の向き不向きもあるし、その会社の企業文化や人間関係などもあり、解雇されるのは別に特別なことじゃない。たとえ解雇されたとしても次がある。そんな社会に変わっていくと、ジョブ型雇用も定着しやすくなりますね。学び直しによって新たなビジネスのスキルを身につける「リカレント教育」も重要です。たとえばフィンランドでは社会人になってからも無償で教育を受けることができ、キャリア変更がしやすいというセーフティネットがあります。

フィン教授: ただジョブ型にも課題があり、新たな働き方を模索する動きがあります。その次の働き方のひとつとして検討されているのがタスク型です。ジョブをより細分化した個々のタスクに対して、仕事を請け負うやり方です。シリコンバレーでは、世界中のフリーランスとネットワークを築き、プロジェクトごとにチームを組んで仕事をするスタイルが普及していますが、より専門的なスキルが求められる分野では、こうした個人事業主のような働き方を会社に取り入れることが検討されています。タスクごとに仕事を発注するのは効率的ですが、管理コストがかかる。でもAIを導入することによって、低コストで理想的な仕事のマッチングができる時代になったのです。

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