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【ニューノーマルの世界を生きる知恵〜ガラリと変わるビジネスを先読み〜】第2回 「会社はどう変わる?」

彼の名前は、シンジョー・ダイ(新常 態)。とある会社で経営部門のリーダーを務める。withコロナにおける会社の指針を探るべく、専門家のアドバイスを得ながら、ビジネスの「ニューノーマル」を読み解く。

登場人物の図

登場人物の図

まず経営者の意識が変わりはじめた

シンジョー

前回は働き方について、みなさんと一緒に考えてみました。
テーマとしてはビジネスパーソン個人の問題が多かったのですが、
今回は会社という組織がどう変わるかについて考えてみたいと思います。
まず完成が待たれる新型コロナウイルスのワクチン開発について、
マキ教授にお聞きしたいと思います。

マキ教授

マキ教授: アメリカのファイザーやイギリスのアストラゼネカなどの製薬会社から有効なワクチンが登場してコロナ問題が解決するような兆しが生まれつつありますが、実際にはもう少し時間を必要とすると思われます。
「ワクチンと予防接種のための世界同盟(Global Alliance for Vaccines and Immunization)を改名した「GAVI」という官民連携の団体がありますが、その最高経営責任者(CEO)のセス・バークレー氏は2020年10月「ワクチン開発の大部分は成功しない。裕福な国でもワクチンが入手できる保証はない」と発言しています。ワクチン開発だけでなく、ワクチン分配の国際的な枠組みを構築することも重要なのです。ワクチンが行き渡るのを待っていては、時代の変化に取り残される可能性があります。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65965780X01C20A1I00000/

「リモートワークの達人」高橋璃子訳(早川書房)
「リモートワークの達人」高橋璃子訳(早川書房)

シンジョー: 変化への対応は待ったなし、という感じですね。

トモ教授: そうですね。アメリカではちょっと前に『REMOTE:OFFICE NOT REQUIRED』という本が話題を呼びました。2013年に出版されたものです。日本では『強いチームはオフィスを捨てる』という題名で2014年に出版されました。その書籍が2020年、日本で『リモートワークの達人(早川書房)』と改題して発刊され、再び注目を集めていますね。

シンジョー: 私も読みました。今から7年前に書かれた本ですが、まったく内容が古びていない。まさにwithコロナ時代の働き方を先取りしているところがありますね。

ソーサ教授: この本を書いたのはBasecampというソフトウェアの会社を起こしたジェイソン・フリード氏らで、経営者自身がリモートワーク推進者であるところが当時としては先進的でした。今ではツイッターのCEO、ジャック・ドーシー氏がアフリカに移住して仕事をしたいと発言するなど、自らがリモートで働きたいと考える経営者も増えていますね。
この本の中には興味深い考察がいくつかあります。たとえば「リモートワークでは、能力をごまかすことが難しい」。リモートで仕事ができる人は、もともと仕事ができる人で、リモートワークになれば、力量の足りない人はすぐに明らかになる、としています。
ちょっと厳しい見方ではありますが、実際にリモートワークやテレワークが普及している現在、その通りと共感する人は多いのではないでしょうか。

フィン教授: コロナ禍だから仕方がなく在宅勤務を認めたというのではだめで、経営者自らがリモートワークやテレワークを行い、その長所や欠点を理解したうえで、新しい会社のルールをつくっていくことが大切だと思います。

社員を評価する「ものさし」が変わる

イメージ

フィン教授: 在宅勤務の広がりがあらためて浮き彫りにしたのは、「仕事とは会社に行くことではなく、価値を生み出すこと」という認識ではないでしょうか。いらない通勤、いらない会議、いらない書類、いらない稟議、いらないルール。これまでのオフィスワークで当たり前のようにあったものが、実は必ずしも重要ではなかった、という気づきを与えました。

シンジョー: 会社という組織がどんどんシンプルになっていく。こうなると、人事評価のシステムも変わってきますね。

ソーサ教授: 前回のセッションでジョブ型雇用が話題になりましたが、日本でもホワイトカラーの人事評価は、ジョブディスクリプションに基づく成果を見るやり方に変わっていくでしょう。

シンジョー: これまで日本では遅刻や欠勤をしない真面目な人だとか、明るくて元気がよくてムードメーカーになっている、なんてことが人事の評価につながることがありましたが、そうしたパーソナリティの良さみたいなものは評価の対象外となるんでしょうね。

ソーサ教授: そうですね、残念ですが評価がむずかしいですね。オフィスに出勤しない以上、魅力的なパーソナリティが発揮される場も少なくなり、その人の持ち味が伝わりにくいかもしれない。ただ、そうした人たちは会社どころか社会全体に貢献する資質をもっていると思うので、ジョブディスクリプションとは別の評価軸を残しておく必要があると思います。そうでないと、見えないところで会社を支えていた優秀な人材を失うことになります。

シンジョー: 在宅勤務でも社員はちゃんと働いているんだろうか、という疑念をもつ経営層も多いと思いますが。

フィン教授: リモートワークの一般化に伴って「TATTLE WARE(タトルウェア)」といわれる、在宅勤務をする社員をAIで監視するようなシステムも登場しています。「TATTLE」というのは、告げ口のことです。在宅勤務中に業務とは関係のないSNSを見ていたり、動画に興じているのを、同僚に代わって告げ口してくれるソフトウェア、というニュアンスを含んでいます。

トモ教授: 勤務態度を管理する意味では有用なソフトウェアなのかもしれません。ただ、監視システムがあまりエスカレートしすぎると、SF作品でよく描かれるようなディストピア的な世界になる。あくまで私個人の意見ですが、社員を信用して自由にやらせるほうが、よっぽど生産性が上がるのではと思っています。創造力を開放するワークスタイルであるはずのリモートワークが、真逆の方向に行ってしまう可能性もありますからね。
今後デジタルトランスフォーメーションを推進する企業がますます増えてくると思いますが、人事評価にAIを導入する場合は「HUMAN CENTERD(人間中心)」であることに、最大限の注意を払うべきだと考えています。そうしたなかで、AI研究の第一人者、フェイフェイ・リー氏らが立ち上げたスタンフォード大学の「人間中心のAI研究所(Institute for Human-Centered Artificial Intelligence:HAI)」には注目したいですね。

人間中心のAI原則
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