| TOP | 潮流を知る | なぜ今、サステナビリティ経営が必要なのか | 第4回 |

【第4回】激動の時代において渋沢栄一に学ぶこと

渋沢栄一の発言や行動には、時代を超えていつの時代にも通じる普遍的な「道理」があります。そんな渋沢栄一が現代に生きていたら、今の日本を見てどのような評価を下すのでしょうか。

※本記事は2022年5月に掲載されたものです

渋澤 健(しぶさわ・けん)
渋澤 健(しぶさわ・けん)
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
講師プロフィール
1961年生まれ。渋沢栄一の5代目の子孫。83年テキサス大学化学工学部卒業。財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。米系投資銀行、ヘッジファンドを経て、2001年にシブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信株式会社に改名し、会長に就任)。2021年にブランズウィック・グループのシニアアドバイザーに就任。経済同友会幹事、岸田内閣「新しい資本主義実現会議」有識者メンバー、UNDP(国連開発計画)SDGs Impact 運営委員会委員などを務める。
著書『渋沢栄一100の訓言』、他多数。

今の日本を見て、渋沢栄一は嘆き、怒るはず

もし、現代に渋沢栄一が生きていたら、日本の社会や経済を見て「正しい道理はどこに行ったのだ」と嘆き、大いに怒っていることでしょう。

『論語と算盤』の「ただ王道あるのみ」という一節に、次のような記述があります。

「法の制定されているのはよいが、法が制定されておるからといっても、一も二もなくそれに裁断を仰ぐということは、なるべくせんようにしたい」

ルールの範囲内で動いていれば問題ない、ルールさえ破らなければいいという考え方に対して、渋沢栄一は異議を唱えたのです。ルールばかりを意識して思考停止になることなく、何が正しいかをきちんと自分の頭で考えて行動しなさいというのが、渋沢栄一のいう「道理」だと私は理解しています。

教育についても一家言をもっていた渋沢栄一

渋沢栄一の説く「道理」は、まさに今の日本に必要なことだと思います。何が正しいかを自分の頭で考えることをせず、ルールの前で思考停止になってしまうのが多くの日本人の姿ではないでしょうか。

その根本原因は日本の教育にあると私は考えます。日本の今の教育は、なにが正解でなにが不正解かというハウツーのスキルアップばかりが重要視され、「なぜ?」という疑問を発する訓練をしてきませんでした。

とくに私が育った昭和時代はそうでした。戦後でリセットされた日本では、先進国の大量消費を満たすための大量生産が必要となり、恒常的に質の高いものを比較的安価に生産することで日本は大繁盛しました。教育現場でもそうした労働市場の求めに応じて、一定の規格に合った人たちをどんどんつくりだしたのです。

確かに当時はそれでよかったのですが、今では通用しません。競合国が増えて日本のシェアが奪われ、大量生産では世の中が豊かになれないことを日本人自身も気づいてきました。

こうした状況を打破するには、「そもそも、なぜこれをするのか?」「なぜ勉強するのか?」「なぜ働くのか?」という根源的な問いを自分自身に発して、自分なりの答えを求めていける教育が不可欠です。大きく時代が動いている中で、教育だけが旧態依然でいいわけがありません。

「時代の変化に教育が追いついているのか?」

実は、こう述べたのは渋沢栄一その人です。明治末から大正になって物質的には豊かになったが、はたして精神的に追いついているのかと栄一は疑問を呈していました。時代を引っ張る優秀な人材を輩出させるのではなく、100人が100人同じレベルの人材を出すような教育に対して、皮肉を込めて批判しています。

まさに現代の日本と似た状況だったのです。もし栄一が生きていたら、現在の教育のあり方に対して怒っていたに違いありません。

  一覧へ戻る 1   2 次のページへ  

「潮流を知る -Opinion-」カテゴリの他のコンテンツも見る

「潮流を知る -Opinion-」
カテゴリの他のコンテンツも見る

  •  プロワイズコレクション -Prowise collection-
  • なぜ今、サステナビリティ経営が必要なのか
  • ニューノーマルの世界を生きる知恵
※本ページの内容は、取材または原稿制作当時のものです。
スマートフォンからもご覧いただけます
プロワイズウェブの歴史

是非フォローを
お願いいたします!

プロワイズ事務局 Twitterアカウントへのご案内 プロワイズ事務局 Instagramアカウントへのご案内