安全保障貿易管理ソリューションの導入事例
ダイハツディーゼル株式会社様年間6万件の輸出管理をシステム化。審査期間の大幅短縮で競争力を強化
船舶用ディーゼルエンジンの大手メーカーであるダイハツディーゼル株式会社は、年間6万件に及ぶ輸出取引の管理業務を「安全保障貿易管理ソリューション」でシステム化しました。審査の証跡を確実に残す仕組みによって、コンプライアンス体制を確立。併せて、紙を使わないワークフローにより、起票~社内審査完了までの期間を大幅に短縮。競争が激しい保守部品供給ビジネスでの競争力向上に成功しました。
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背景と課題
紙業務での輸出管理業務を見直し、業務負荷軽減と審査期間短縮をめざす
上村 雄一 氏
大阪府大阪市に本社を置くダイハツディーゼル株式会社は、船舶用ディーゼルエンジンに強みを持つ企業として知られています。得意とする船舶・発電用では、国内、海外ともに高いシェアを誇ります。エンジン及び保守部品の輸出も多く、世界各地に販売担当の現地法人を置いています。
同社が輸出管理業務の完全システム化に取り組んだのは、年々増加する輸出審査案件に対し輸出担当部門の負担が看過できない状況になってきた背景がありました。
同社の当時の輸出件数は、エンジンと保守部品を合わせて年間約6万件ですが、外国為替及び外国貿易法・輸出貿易管理令のリスト規制に該当するものはごくわずか。ほとんどはキャッチオール規制の対象となっています。しかし、リスト規制品の品目にディーゼルエンジンの名称があり、輸出時に非該当品であるとの証明を求められることが多くあります。
輸出管理業務の具体的な流れは、まず、基幹システムのデータを基に担当者が Excel で審査票を起票・印刷してから、紙ベースで承認手続きを進めるというものです。
「売り上げの約80%を占める保守部品では、引き合いを受けてからいかに早く見積もりを提出できるかが勝負。起票~社内手続き完了までの業務負荷の軽減と審査期間を短縮することが求められていました。そのためには、紙ベースでの手作業の輸出管理業務を見直し、効率を飛躍的に高める必要がありました」(上村氏)
選定と導入
基幹システムと確実に連携。操作性もカスタマイズで実現
山根 淳 氏
製品選定に当たってダイハツディーゼルが特に重視したのは3点でした。
●輸出審査機能の充実
●カスタマイズによる基幹システムとの連携
● Excel の審査票と同等の操作画面
「基幹システムはスクラッチで作られていました。カスタマイズするには、当社の基幹システムと導入製品の両方で新しいプログラムを作らなければなりません。また、 Excel では過去の審査票からデータをコピー&ペーストしていました。その操作と似たデータ流用機能を導入製品でも実現する必要がありました」(山根氏)
同社の提案依頼書(RFP)に応じて提案書を提出したソフトウェアベンダーは、日立ソリューションズを含めて3社。その中から、同社の設定した要件をすべて満たし、価格も予算の範囲内に収まることを評価して、日立ソリューションズの「安全保障貿易管理ソリューション」を採用することが2016年10月に決まりました。日立ソリューションズは導入実績が豊富で、SEに輸出管理の知識があることもポイントでした。
「ソフトウェアパッケージ本体とカスタマイズ部分に分けて明確な見積もりが作られており、提案書や明細書も分かりやすい内容でした。特に営業の方には、依頼先の検討を行っている段階から何回も足を運んでいただき、私たちと一緒に並んで考えようとする姿勢に好感が持てました」(草野氏)
システム開発が始まったのは、2016年11月です。まずは輸出管理業務と基幹システム連携に求められる要件を定義し、設計~プログラム作成~テスト~本番移行という標準的なプロセスでシステム開発を進めていきました。
「開発着手から本番稼働までは、およそ1年。ソフトウェアパッケージの導入としてはやや長めですが、基幹システムと確実に連携させるにはこれだけの期間が必要でした」(福井氏)
カスタマイズのポイントの一つとなったのは、「従来の Excel の審査票と同等の操作画面」です。船名を指定すると、基幹システムに登録されている固定情報(船主名、管理会社名、エンジン形式、製作番号など)が審査票画面のヘッダーに自動反映されるようにしました。
「保守部品の輸出審査は時間との勝負。最短で同日に見積もりを発行できるようにするため、基幹システムから『安全保障貿易管理ソリューション』へのデータ反映は15分ごとに行う運用としました」(山根氏)
「本番稼働に先立って、輸出管理に携わる担当者向けの説明会を実施し、対象は本社のほか、工場、国内関係会社、海外現地法人など多岐にわたりました。テストシステムで操作を練習してもらうことにより、新輸出管理システムへの円滑な移行をめざしました」(福井氏)
成果と今後
グループ全体で迅速な審査を実現。ビジネスの競争力を高める
草野 路子 氏
福井 啓元 氏
本番稼働を開始した2017年11月以降、ダイハツディーゼルグループの輸出取引案件の審査は、すべて「安全保障貿易管理ソリューション」を使って行われています。
定性的な効果として輸出管理グループが確認・評価しているのは、次の3つです。
●担当部署の業務負荷を増やすことなく、輸出取引案件審査の証跡を確保
●基幹システムと連携することによって審査効率が向上し、来歴の検索が容易になった
●関係会社が行っている輸出審査の内容と承認状況についても輸出管理グループで掌握
「定量的な効果としては、審査に要する期間の短縮があります。 Excel で作成・印刷した審査票に関係者や決裁者のハンコを押してもらう従来のやり方では、起票から審査完了まで2日から3日かかるのが普通でした。今回、起票も承認ワークフローも『安全保障貿易管理ソリューション』でシステム化したので、その期間を半日から1日程度へと大幅に短縮できています。結果的に、競争が激しい保守部品供給ビジネスでの競争力も高まっていると考えています」(草野氏)
「輸出管理業務の担当者から新システムの操作性についてのクレームが来たことはありません。担当者にはおおむね満足していただけていると思います。経営会議でも『効果が出た』と報告しています」(山根氏)
「安全保障貿易管理ソリューション」のグループ展開によって、輸出管理レベルの向上を実現できたというダイハツディーゼル。しばらくは運用を続けてシステムの浸透を図っていきます。
「現状、海外現地法人でこのシステムを使っているのは日本人社員だけですが、システムとしては操作画面を英語表示に切り替える仕組みも標準で備えているので、いずれは現地採用の従業員にも利用してもらう予定です」(上村氏)
「システム改修が必要な時期になりましたら、日立ソリューションズにお願いしたいと考えています」(草野氏)
輸出管理のシステム化には業務の専門知識が不可欠です。「日立ソリューションズの営業・SEとも専門用語を理解しているので安心して任せられた」と同社輸出管理グループは評価しています。日立ソリューションズは豊富なノウハウを基に、今後も輸出管理業務の効率化を支援していきます。
ダイハツディーゼル株式会社
船舶用ディーゼルエンジンなどを開発・製造・販売。得意とする船舶向け発電用ディーゼルエンジンの分野では、国内、海外とも高いシェアを誇る。このほか、船舶推進用ディーゼルエンジンも開発・製造・販売。陸用では、非常用発電や非常用ポンプのためのディーゼルエンジン、ガスタービンも作っている。世界各地に現地法人を置く。
本社所在地 | 大阪府大阪市北区大淀中1-1-30 梅田スカイビルタワーウエスト17・18階 | |
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設立 | 1966年(創業:1907年) | |
従業員数 | 839人(2018年3月31日現在) | |
URL | http://www.dhtd.co.jp/ |
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本事例の内容は2018年10月10日公開当時のものです。
最終更新日:2018年10月10日