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コラム

モバイルワークとは?在宅勤務との違いや導入のポイントを解説

モバイルワークとは?在宅勤務との違いや導入のポイントを解説

昨今の働き方改革によって、よく耳にするようになった「モバイルワーク」。その一方、「テレワーク」という言葉が使われることもありますが、その違いをご存知でしょうか。ここではモバイルワークについて、言葉の意味から、メリット・デメリット、導入を成功させるポイントまで解説します。

モバイルワークとは?

「モバイルワーク」と「テレワーク」は、同じような場面で使われていますが、厳密には異なる意味を持つ言葉です。同一視されがちな「在宅勤務」や「サテライトオフィス勤務」との違いも含めて、以下で解説します。

モバイルワークの意味

モバイルワークとは、カフェやホテル、さらに移動中の車内など、いつどこででも業務を行うことができる勤務形態です。
似た言葉として、テレワークがありますが、テレワークは「テレ=遠隔の」と「ワーク=仕事」を組み合わせた造語です。総務省による定義では、「ICT(情報通信技術)を活用した時間や場所に縛られない柔軟な働き方」とされています。モバイルワークよりも広い概念の言葉であり、モバイルワークはテレワークの一種ということです。

在宅勤務やサテライトオフィスとの違い

テレワークには、モバイルワーク以外にも、在宅勤務やサテライトオフィスワークといったものも含まれます。 在宅勤務とは、自宅を就業場所とする勤務形態です。業務に使用するパソコンやタブレット端末などについては、会社から支給されるケース、私物を使用するケースの両方があります。 サテライトオフィスワークとは、コワーキングスペースやシェアオフィスなど、自社オフィスではない遠隔勤務用の施設を就労場所とする勤務形態です。オフィス機能を備えたスペースのため、デスクや椅子、インターネット回線だけでなく、プリンターやホワイトボード、ドリンクコーナーなどが用意されているものもあり、通常のオフィス同様に働きやすい環境が整っています。 また、在宅勤務やサテライトオフィスワーク、モバイルワークに共通することとして、オフィスにまったく出向かない場合もあれば、「週に数日まで」といった形で導入される場合もあり、導入方法は企業によって異なります。

日本におけるテレワーク導入の現状

政府は働き方改革の一環としてテレワーク導入を推奨しており、助成金を支給するなどのサポートも行っています。新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークを導入している企業はかなり増加しました。

テレワークの導入状況をみると、「導入している」企業の割合が 47.4%となっており、前年(令和元年)の 20.1%から 27.3 ポイントの増加となっている。「導入している」と「導入していないが、今後導入予定がある」の両方を合わせると 58.0%となり、前年の 29.5%から上昇した。
テレワーク導入企業のテレワークの導入形態をみると、「在宅勤務」の割合が 87.4%と最も高く、次いで、「モバイルワーク」(33.4%)、「サテライトオフィス勤務」(10.7%)となっている。

総務省「令和2年通信利用動向調査報告書」より引用

社会全体としては、テレワークが浸透しつつある一方で、大企業に比べて中小企業での導入率は低く、また業種によっても導入率は大きく異なっています。

モバイルワークにおすすめの職種

モバイルワークに向いていると言われている職種は、営業職です。テレワークが社会に浸透してきて、社内だけでなく社外の方ともWeb会議ツールを使ってコミュニケーションが取ることが増えてきているとは言え、扱う商材によっては、まだ対面での商談が必要な場合もあります。そのため、営業職は他の職種に比べて外出や出張が多くなります。ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどを使って、移動中に連絡を取り合ったり、宿泊先のホテルから社内システムにアクセスして提案資料を作成できるモバイルワークなら、時間を有効的に活用することができます。同様の理由で、会合への出席や接待などで外出することの多い経営層もモバイルワークに適していると言えます。

モバイルワーク導入のメリット・デメリット

働き方改革を進めるうえで、モバイルワークを含めたテレワークの導入が重要であり、政府が進めていることはすでに述べましたが、企業にとって、モバイルワークはどんなメリットがあるのでしょうか。また、どんなデメリットがあるのでしょうか。

モバイルワーク導入のメリット

メリットその1:業務効率化ができる

営業職の場合は、1日で何社も取引先や顧客のもとへ訪問することがありますが、その都度オフィスに戻って、デスクワークをしていては時間の無駄です。モバイルワークなら、出先から出先への移動中や、次の顧客と約束している時間までの空き時間に仕事をすることが可能です。すきま時間を有効活用することで、業務を効率化することができます。

メリットその2:コストが削減できる

毎日オフィスに出向く必要がなくなるので、企業としては通勤費を削減することができます。また、オフィスを大きく構える必要がないため、賃料や設備にかかる経費も抑えることができます。

メリットその3:従業員の健康維持につながる

モバイルワークであれば、オフィスに出向く回数が少なくなり、通勤ラッシュによるストレスも少なくなります。また、業務効率化により、プライベートの時間が増え、心身の健康保持につながります。

モバイルワーク導入のデメリット

デメリットその1:セキュリティーリスクがある

モバイルワークでは、社外で仕事をするため、業務に関わる大事な情報が入ったノートパソコンやスマートフォンを外出先で紛失する可能性があります。また、フリーWi-Fiを利用した場合には、通信傍受などによって情報が漏洩するリスクがあります。

デメリットその2:勤怠管理が難しい

上司や同僚の目の届かないところで仕事をするため、実際にどのくらい働いているのかを確かめることができません。いつどこでも仕事ができるからと言っても、長時間労働にならないよう気をつける必要があります。

デメリットその3:業務の品質が低下する可能性がある

直接顔を合わせる機会が減るため、オフィス勤務よりもコミュニケーション不足になりがちです。情報共有がなされないことでミスに気づけなかったり、意見を交換する場がないことで新しいアイデアが生まれなかったりと、業務品質の低下を招きかねません。

モバイルワークの導入を成功させるポイント

上記のとおり、モバイルワークにはメリットだけではなく、デメリットもあります。モバイルワーク導入を成功させるためには、これらのデメリットに注意し、適切な対策を講じる必要があります。ここからは、具体的な対策方法を3つご紹介します。

セキュリティー対策の徹底

情報漏洩は企業にとって大きな損害を与えるものであり、死活問題になりかねません。そのため、モバイルワークのデメリットであるセキュリティーリスクに対しては徹底的に対策を講じる必要があります。具体的には、ノートパソコンやスマートフォンを紛失した際に備えて、遠隔からロックやデータ消去ができるようなツールを導入します。もしくは、端末にはデータを残さず、常にクラウドにデータ保存をするようにすることも有効です。さらに、外部脅威への対策ソフトの導入や社内システムにアクセスする際の経路制御など、情報漏洩に対するセキュリティーを強化します。また、従業員にセキュリティー意識を高く持ってもらうためにも、ガイドラインを策定し、周知徹底しておくことも重要です。

関連情報:スマートデバイス活用支援ソリューション

適切な勤怠管理

従業員を雇用する企業は、労働基準法によって適切に労働時間管理を行うことを義務付けられています。もちろんモバイルワークでもこの法規制にしたがう必要があります。まずはモバイルワークを行う際の勤怠管理についてルールを定め、従業員に周知します。

厚生労働省が策定したガイドライン(*)によると、勤怠管理の方法は「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」とされています。
勤怠管理システムを導入する際には、こういったことを踏まえて選定することをおすすめします。
また、同ガイドラインでは、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされています。移動中の車内や出張先のホテルなどで業務を行った場合にも、使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われるものについては、労働時間として取り扱う必要がある点には注意が必要です。

*労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)

関連情報:人事総合ソリューションリシテア

コミュニケーションツールの導入

上記のとおり、コミュニケーション不足は、業務品質の低下につながる可能性があります。それ以外にも、従業員がやりがいを感じられなくなり、離職をしてしまうケースもあります。こういった課題に対処するために、コミュニケーションツールを導入しましょう。多くの企業では、メールよりも手軽にコミュニケーションが取れるビジネスチャットツールと、顔を見ながら会話ができるWeb会議ツールが導入されています。気をつけるべきは、ツールを導入するだけで終わらず、しっかりと活用することです。Web会議ツールを使って、朝会を実施したり、上司と部下が定期的に1on1ミーティングをしたり、業務に関する情報共有だけでなく、雑談もしながら、積極的にコミュニケーションを取るように心がけましょう。

モバイルワークの導入の成功事例

ここからは実際にモバイルワーク導入を成功させ、さまざまな効果を得られている企業の事例を3つご紹介します。同じような課題を持っている企業の方にとっては特に参考になると思いますので、ぜひご一読ください。

労働時間を削減

以前からワークライフバランス改善に取り組んできたA社では、所定の時刻になると社内のパソコンを自動的にシャットダウンすることで、長時間労働を抑制していました。モバイルパソコンにも同じシステムを導入することで、モバイルワークの場合でも、所定時刻になると自動的にパソコンが使えなくなります。もし、残業をするためにパソコンを使用する場合には、上司の承認が必要なため、従業員が事前に申告をします。これにより、適切な労働時間の把握と長時間労働の抑制ができ、労働時間の大幅な削減に成功しました。

業務効率化を実現

以前から在宅勤務制度を導入していたB社では、段階的に働き方改革を推進。就労場所や日数に制限のないモバイルワークを導入し、成果が実感できたことで、現在ではオフィス勤務ではなく、モバイルワークを原則としています。これにより、従業員は通勤によるストレスがなく、通勤時間を有効的に活用できるようになりました。また、モバイルワークに対応するために導入したコミュニケーションツールによって、社内コミュニケーションが活性化。また、電子契約システムなどのITツールも積極的に取り入れたことで、業務効率化を実現しました。

ワークライフバランスが向上

一人ひとりが自分に合った働き方を選択できるように取り組むC社では、就業時間の繰り上げや繰り下げを個人単位で行えるスライドワーク(時差出勤)を以前から導入。育児や介護との両立がしやすい職場づくりを進めていました。そこからモバイルワークを含めたテレワーク制度を拡大し、より柔軟な働き方を実現してきました。しかし一方で、モバイル端末のセキュリティーが課題でした。そこでモバイル端末管理ツールを導入し、データが端末に残らないようにすることで、セキュリティーを担保しながら全社員がリモートワークをできる環境を整えました。結果として、多くの社員がワークライフバランスの向上を実感しています。

まとめ

モバイルワークを導入する場合は、不特定な場所で業務を行うことになるため、セキュリティー面での対策は特に重要です。それ以外には、在宅勤務と同様、長時間労働やコミュニケーション不足といった課題にも対策をする必要があります。昨今ではさまざまなITツールが販売されており、それらを活用することで、上記のような課題にも対応することが可能です。
なお、日立ソリューションズでは、臨場感のあるプレゼンテーションをリモートで実現する「Personify Presenter」、Web会議ツールの背景設定に関する悩みを解決する「ChromaCam」、長時間労働を防止する「PC自動シャットダウン」、バーチャル空間でのイベントを実現する「6Connex Virtual Event Platform」など、ニューノーマルにおける働き方を支えるさまざまな製品やソリューションを提供しています。モバイルワーク導入に不安のある方は、お気軽にご相談ください。

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