内海 由博の『PSI情報から読み取る製商品需給バランス~SCM改革で欠品による機会損失と過剰在庫のリスクを救え!~』(1/4)


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PSI情報から読み取る製商品需給バランス~SCM改革で欠品による機会損失と過剰在庫のリスクを救え!~

はじめに

 企業の生き残りと成長にとって最も重要なことは環境変化への適応であると言われる。2014年を迎え、経営環境はこれまで以上に大きく変化しようとしている。一層加速するグローバル化、製造装置の高度化による商品のコモディティ化、これらを追い風とする中国やアジア新興諸国の台頭、さらに異業種参入による競争も激化している。また日本国内では円安による原材料や燃料費の高騰、4月からの消費税増税の需要への影響などにより、近年にも増して市場環境の激変が想定され、それに伴う需給バランス悪化が予想されている。このような変化の中、生産設備や調達能力の制約下で、各企業はどのようにサプライチェーンをかじ取りして需給バランスをコントロールしていけばよいのだろう。それは多くの企業に共通した課題認識ではないだろうか。

 そこで本稿では、これまでSCM業務改善とIT導入による効率化を提案・実装してきた立場から、変化する市場に対し、迅速に変化を察知し、効果的にサプライチェーン内の課題を抽出して次の打ち手に繋げる手法を提案する。

需給プロセス

 企業の需給プロセスを見てみよう。図1は一般的な企業(ここでは製造メーカを想定)の需給プロセスの概略図である。

図1 需給プロセス

図1 需給プロセス

 需給計画立案の際には、事業計画などの期、半期、四半期、月別の製商品、製商品群別の販売予算や需要予測をもとに販売計画を立案し、在庫実績や部品の商品調達・製品製造のリードタイム(LT)を顧慮しながら、製造を担う自社工場や国内外の委託生産会社との間で生産・調達数量を調整し、在庫計画を決定する。

 この調整作業を年度や月のサイクルで実施する。その上で日々のサイクルにおいては、販売・出荷実績を取り込み、計画との差異を判定し、過不足分に対して在庫補充量の調整、在庫基準の見直し、需要予測モデルの見直しなどを行っていく。需給調整の作業量が、担当者一人あたり300以内程度のSKU(在庫保管単位:Stock Keeping Unit)であれば、日々発生する緊急オーダや納期変更などのイレギュラー処理に対応できるが、筆者のこれまでの経験では、1,000を超えるSKUを一人で担当しているケースが少なくなく驚かされる。このような状況下でExcelなどの表計算ソフトウェアを使い、KKD(経験・勘・度胸)法でどこまで適切に需給バランス調整を実施できるだろうか。こうした実態を考えると共に、経営状況を判断するマネージャや経営幹部が需給状況を判断するのにどのような情報が用いられているかを見ていきたい。

月次報告で“霞む”情報

 図2は業績会議などと呼ばれる月次報告会で用いられるレポートの例である。

図2 業績会議用レポート(表)

図2 業績会議用レポート(表)

 月別、製商品カテゴリー別に生産数量、販売実績、在庫数量などが集計され、予算や前年または前月等との対比が行われることが多い。多くの場合、月末や会計上の締日に合わせて各種情報を計算し直している。図3も同様の方法で数値を各種グラフで表現している。

図3 業績会議用レポート(グラフ)

図3 業績会議用レポート(グラフ)

 どちらのレポートも月などの集計単位(四半期や半期、期も含む)でサマリされているところに注目して欲しい。
 図2のケースでは数字だけでは直感的に分かりにくく傾向や見通しを見極めるのに時間がかかる。図3はグラフ化され傾向の把握は容易になるが問題となる品目にたどりつきにくくなる。一番の問題はサマリされた場合,日々発生している情報が埋もれてしまうことである。BI(Business Intelligence)などのソフトウェアの導入もよく候補に挙げられる。しかし、BIソフトはデータ分析加工用の汎用ソフトであるため、在庫情報を評価するには専用アプリケーションを作りこむ必要がある。PSI情報の一覧であるサムネイルの生成や描画スクロール、さらに評価用情報を計算させる処理性能など実用レベルにするためには相応のコストと時間が必要になるため、どうしても大掛かりになることは避けられない。

 図4を見てほしい。図の左右はそれぞれ同じSKUの在庫推移を示している。

図4 日次在庫評価の効果

図4 日次在庫評価の効果

 図の左側に示した月次在庫の情報から問題の判定をする場合、SKUの販売特性や生産・調達特性を熟知していれば、月次の情報を見るだけでそれぞれの時点での在庫水準が適正か否かを正しく判定できる確率が上がるであろう。しかし、SKUの特性を十分に把握出来ていない場合、それぞれの月次在庫推移だけで在庫水準が適切か否かを判断するのは難しいのではないだろうか。

 あらためて、図4の右側の在庫推移グラフを見てみよう。それぞれ同じSKUの在庫推移を日別にグラフ化したものである。日別にすると、入出庫状況が月次に比べ明らかに違って見えてくる。在庫のピーク値の水準が徐々に多くなる過剰在庫傾向や、在庫が一時的に底をついている欠品傾向、入出庫が停止している滞留在庫(不動在庫と呼ぶ場合もある)などの状態が、SKUの特性を把握できていなくても一目で見えてくる。さらに製商品の特性を熟知していれば、先手で対応できる可能性が高まるだろう。

 日次の在庫評価に必要なデータ量は月次評価に比べ30倍になるが、PSI情報の分析から得られる欠品・過剰在庫の防止効果は非常に大きい。

*:製造(Production)/調達(Purchase)、販売(Sales)、在庫(Inventory)

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