独立行政法人国立病院機構相模原病院様 日立オープンミドルウェア&プラットフォームソリューションの導入事例紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

株式会社 日立ソリューションズ

日立オープンミドルウェア&プラットフォームソリューション 導入事例

独立行政法人国立病院機構相模原病院様

全国の関節リウマチ患者の治療実態を把握エビデンスに基づく新しい医療の確立へ

膠原病のなかでも患者の多い関節リウマチ。全国に60万人の患者がいるといわれる。原因は未解明だが、治療法は進んできた。ただ、国としての疾病対策を立てるうえで、現在行われている治療法の全貌を知る手がかりがなく、臨床医学に欠かせない大規模な疫学調査も十分とはいえなかった。
2001年から国立病院機構相模原病院が取り組む、リウマチ性疾患疫学調査システムは、こうした現状を打開する突破口になろうとしている。

写真:相模原病院

国が取り組む19の政策医療分野の一つ アレルギー、リウマチ研究の総本山

これまでの国立病院が改組され、2004年から発足した独立行政法人国立病院機構。全国146の病院が一つの法人として運営されている。結核、感染症、がんなど国民の関心が高い病気について、全国的なネットワークを作りながら取り組む一方で、地域のニーズにあった医療サービスを提供している。

その一つ、神奈川県相模原市の相模原病院は70年の歴史をもつ。現在は22の診療科と病棟、各種研究施設を抱える総合医療施設として地域医療の核になる役割を果たしている。同時にここは、アレルギーや膠原病など免疫異常に関する医療・臨床研究の日本の総本山でもある。アレルギーや膠原病は国が政策として取り組む19の政策医療分野の一つ。相模原病院は、この分野における全国の国立病院機構のネットワークの中心、高度専門医療施設(準ナショナルセンター)という位置づけにある。

膠原病は関節や骨、筋肉、腱などが痛んだり、こわばったりする病気。代表的なのは関節リウマチだ。関節リウマチは自己免疫の異常から起こるとされるが、詳しい原因はいまだ明らかではない。女性は男性の3、4倍も発症率が高く、30~50歳代によくみられる。国内には60万人の患者がいると推計されている。

運動、食事などの基礎療法に加え、これまでは非ステロイド性の抗炎症剤投与が治療の中心だった。死に至る病ではないが、完治はなかなか困難で、悪化や寛解(症状が軽くなること)が繰り返される。関節リウマチでは、関節内の炎症が進行すると関節そのものが破壊されてしまうことがある。関節の炎症や破壊を食い止めることがこれまではなかなかできなかったのだ。しかし、病気と関連のあるたんぱく質が特定され、それをもとに1990年代の終わり頃に新しい生物学的製剤が登場するようになると状況は大きく変わった。従来の抗リウマチ薬とは違って、投与して数日内に痛みや腫れが目に見えて減るという著しい薬効が確認されたのだ。
「これまでの治療方針を大きく変えるような画期的な薬の登場です。しかし、同時にこれを投与すると結核などの感染症が増えるという例も多数報告されていました。スペインではリウマチ患者さんの結核罹患率が100倍にも増えたという報告もありました。生物学的製剤は日本でも2003年に承認されましたが、私たちがデータベースづくりに取り組み始めたのは、まさにその前夜。現在の患者さんがどのような病態で、どのような治療を受けているのか、そして私たちの治療が患者さんのためになっているのかどうか、ある治療によって痛みが減ったり、血液検査の結果が好転する患者さんがどの程度いるのか、そうした全体像を掴むことが不可欠だったのです」

写真: 當間重人 氏

相模原病院 臨床研究センター
リウマチ性疾患研究部
部長 當間 重人 氏

というのは、同病院臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部の當間重人部長。日本ではもちろん初めて、世界でも珍しいリウマチ性疾患データベースの構築に主導的な役割を果たした医師である。

毎年4,000のリウマチ症例を収集 Webで情報発信も行っている

データベースの構築が始まったのは2001年のこと。北海道から沖縄まで国立病院を中心にリウマチ科をもつ33の医療機関が名乗りをあげ、現在20の機関が情報を提供している。情報収集項目は、患者プロフィールのほか、年間の通院状況、入院・手術の有無、関節の痛みや腫れへの評価、薬剤の使用状況など約50項目におよぶ。たんなる患者へのアンケートではなく、専門医のフィルターを通した科学的データであることが特長だ。

情報の収集は、HOSPnet(独立行政法人国立病院機構総合情報ネットワークシステム)を用いたオンライン送信と電子媒体を用いたオフラインによる方法が併用されている。データベースを集約し管理するのは相模原病院に設置された統合サーバ。データベースに集められた症例を解析し研究するために、国立病院機構免疫異常ネットワークリウマチ部門(iR-net)を核とした多施設共同研究班が組織された。

2002年度には1,600の症例が集まった。それ以降は毎年約4,000ずつ症例が集まっている。データの一部は、相模原病院のWeb上で一般に公開されている。NinJaと名づけられた公開データベースでは、薬剤の使用状況、入院や手術を要した患者の割合やその理由をはじめさまざまな切り口で解析結果を見ることができる。国際的な研究にも役立つよう、英語版も用意されている。
「症例数はまだ全体の患者さん60万人の0.7%にすぎません。目標としているのは1万。とりあえず1%、6,000人の症例が集まれば統計上の信頼性も高くなるし、それをもとにした臨床研究が進むはずです。現状でも、データベースを解析した結果、全国の病院でどのような薬物療法や手術法が増えているか、疾患の状態を評価する方法の有用性や問題点などが少しずつ見えてきています。生物学的製剤の導入初期、日本でも関節リウマチ患者の結核罹病率が高くなっていることなどもわかってきました」(當間医師)

こうしたデータベースがなければ、生物学的製剤導入以降の、新しい治療方針を確立することもできない。副作用の実態を調べリスク評価をするうえでも、このデータベースの構築は必須のものだった。どのような病気の治療法でも、それが効果的であることを示す証拠(エビデンス)が必要だ。このデータベースは、関節リウマチ医療のエビデンスを確立するための一里塚になる。

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使い勝手を最大に考慮したシステムに

當間医師の指導のもと、リウマチ患者データベースと共同臨床研究システムの構築を技術面で担当したのが日立ソフトの公共社会システム事業部だ。

もともとこのシステムは、インターネットを活用して複数の施設が共同で臨床研究を進めるというもの。共同臨床研究に取り組むこと自体が、日本の医療のあり方の新しいフェイズを示している。それを実効のあるものにするためには、各医院の医師が入力しやすい、使いやすいシステムでなくてはならない。
「情報収集は単年度で終わるものではなく、永続しなければならず、入力者のモチベーションを維持しなければなりません。そのためには、たんにデータを送りっぱなしではなく、データがすぐにフィードバックされることが重要。一画面で操作が完結するような、簡便なユーザ・インターフェイス、データをビジュアルに表示する工夫なども欠かせません。私が“このデータをこういうふうに見せることはできないか”と言うと、日立ソフトのエンジニアがすぐにその機能を実装してくれる、システム開発はその繰り返しでした」と當間医師は振り返る。

数値データを簡単にグラフ化できることは、コンピュータ・データベースの利点だが、今回のような疫学的なデータベースでは、他の機関がもっている関連データと比較検討できるような仕組みも重要になる。たとえば、関節リウマチの患者に結核が多いかどうかを知るためには、一般の患者の結核罹病率を比較しなければならない。そうしたデータ比較の機能もポイントになった。

医学の研究は日進月歩で、リウマチ治療においても、たえず新しい発見がある。途中からでも簡単に調査項目を追加したり削除したりできたほうがいい。データベース設計では、パラメータの設定の自由度も重視された。システムの本稼働後も登録患者検索機能を追加するなど、見直しやエンハンスはたえず行われ、登録作業の効率化を図っている。
「これで完成という終わりのないシステム。これまでも日立ソフトのみなさんには夜遅くまでつき合っていただいたけれども、それはこれからも続くでしょうね」と當間医師。

医学の世界に踏み込んで 心のこもったシステム構築

日立ソフトにはこれまでも医療情報システムの構築実績があるが、たんに機械的に仕様を実現できる能力だけが、當間医師に評価されているのではない。
「構築作業が進むうちに、現場のエンジニアが“なぜ、それが必要なのですか?”と質問をしてくるようになりました。システムの世界から医学の世界へ一歩入り込んできたというか、システムづくりに“心”がこもってきましたね。我々が意図しているものを共有してくれているとわかったときは、嬉しかったですね」

今回のようなデータベース構築は、今後、日本における個別疾患の共同臨床研究のために欠かせないものになるだろう。

リウマチ患者データベースはその雛形になる可能性がある。それが治療情報の正確な開示や共有につながり、ひいては、治療法の標準化・高度化、そして患者のQOL(生活の質)につながっていくことが期待されている。

企業紹介

所在地:神奈川県相模原市桜台18-1

1938年、臨時東京第3陸軍病医院として戦時下に発足。戦後、厚生省移管となり国立相模原病院と改称。2004年から独法化。1973年には難病であるリウマチ、アレルギー疾患の基幹施設に指定され、1975年には国立病院として初めて同疾患の臨床研究部(現在は臨床研究センター)を設置した。リウマチ・アレルギー疾患の治療には複数の診療科がかかわることが多いが、同病院では、臨床研究センターを軸に複数科がつねに協力して日常診療、臨床研究に当たっている。
内科、消化器科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、外科など22の診療科をもつ総合医療施設として専門医療の提供、免疫異常(アレルギー・リウマチ)の高度専門医療施設としての診療のほか、臨床研究、教育研修、情報発信、病診連携・病病連携の強化、説明と同意(インフォームドコンセント)の徹底、情報開示の推進、良質・安全で効率的医療などを基本方針にしている。

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