第6回 日本経済の寿命はあと5年? それまでに変わるためには|知らなかったではもう済まされない 夏野剛の「複雑系思考講座」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

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夏野剛の「複雑系思考講座」

第6回 日本経済の寿命はあと5年? それまでに変わるためには
前回は時代の変化に合わせたビジネスプランの発想法を述べましたが、今回は人口減少という今までに経験したことのない"大きな変化"に直面する日本経済において、企業と個人が取るべき道を夏野氏が大胆に提案します。はたしてその提案とは……。

5年で青森県の人口に相当する人が減っている。急激な市場縮小に世界各国が固唾を飲んで見守っている。

 IT革命という有史以来最大の衝撃が起こり、世の中が「閉じた系」から「複雑系」へと大きくパラダイムシフトした"いま"、それに合わせて変わらなければ、日本の将来は非常に悲観的です。今一度、はっきりと申し上げます。日本社会は、日本経済は、そして日本の企業は、"いま"、変わらないと大変なことになるでしょう。

 では、なぜ、"いま"なのか?日本の人口は、2008年の約1億2800万人をピークとして減少に転じているのはご存知の通りです。その年を境にどんどん人口は減り続け、2015年1月時点で、すでに100万人ほど減っています。

 100万人減ったということは、わかりやすくいうと青森県の人口に相当する人が減ったのと同じことです。さらに、2020年までに300万人減り、2030年までに700万人減り、2045年には、とうとう人口1億人を割ってしまうとされています。これは確度の高い予見です。恐らくかなりの少子化対策を施したところでも、回避することはなかなか難しいでしょう。

 これは一言で言えば日本の市場が縮小しているということです。先にも述べた日本のGDPの7割以上を支えているサービス業を筆頭に、内需拡大の必要性が叫ばれていますが、その肝心の内需が今後しぼんでいく一方であるということです。しかも、それはかつてないスピードで進んでいます。今までと同じことをやっていたら、人口が減っているのですから、業種や分野を問わず、先細りは免れない。日本はものすごい危機に直面していて、これは人類史上初めてといっても過言でない現象で、先例がない。世界各国が、日本がどうやってこの危機に対処するかを固唾を飲んで見守っているのです。

日本経済の余命は5年?しかも企業が取るべき道は2つのみ。

 そういう状況の中で、企業がとるべき道は、2つしかない、と私は考えています。1つは、「今までやっていない、新しい付加価値を持った事業を興す」こと。もう1つは、「海外へ進出する」こと。この2つしか道は残されていないでしょう。

 「新しいことをやるにも、海外へ出るにもお金がかかるから無理だ」と反論する人が必ず出てきます。しかし、お金はあるんです。いまの日本は、ものすごくお金が余っています。家計の金融資産が1360兆円、企業の内部留保は史上最大の330兆円、あわせて1960兆円という、気の遠くなるような数字のお金を溜め込んでいるのです。また、日本は「ヒト」のレベルも高いです。普通のサラリーマンが、今春話題になったトマ・ピケティの「21世紀の資本」の話ができるほどの教養を持っているぐらいですから。このようなことは世界中で日本だけだと思います。突出した人材はいないかもしれませんが、アベレージはものすごく高い。この「人」と「金」というのは、経営者が唯一使える資源なのですが、この2つが揃っているというのは、日本の大きな強みです。

変革までに残された時間はあと5年足らずに迫っている
変革までに残された時間は
あと5年足らずに迫っている

 この強みをあと5年でどう生かしていくかを、いま決めなければいけません。あと5年というのは、もちろん2020年東京五輪まで。それまでは東日本大震災の復興需要と五輪特需でなんとか持つはずです。しかし、東京五輪が終われば、その反動もあるでしょうし、その頃には日本の人口は300万人ほど減っていると予想されますので、東京五輪終了後の落ち込みは、相当深刻なものが予想されます。だから、それまでになんとかしなければいけない。この時期にどれだけ、その後の日本経済のためになるような政策をきちんと織り込んでいけるか。企業で言えば、その時期にどれだけ体質改善を行えるか。それが、その後の日本の運命を決める、と考えています。

変革までに残された時間はあと5年足らずに迫っている
変革までに残された時間は
あと5年足らずに迫っている

 もし、変われなければ、その後の日本は資産を食い潰すだけの国になるでしょう。逆に言えば、東京オリンピックまでの5年間は、日本が変わる"最後のチャンス"といっても過言ではないのです。

 にも関わらず、今現在は守りの雰囲気に入っているように感じられるのは私だけでしょうか。将来に備えてますます貯めておこう、いま持っている利権をなんとか手放さないようにしよう、といった空気を感じます。実は企業よりも政府の方が危機感を持っているように私にはみえます。「地方創生」などは、新しい発想の転換として評価されるものです。今まで日本という国は、都会にいても地方にいても、皆が同じ暮らしができるようにという発想でやってきましたが、「地方創生」というのは、地方は地方で違う方向に進もう、ということですから。

 昨年、日本創生会議は、49.8%の自治体が2060年までに消滅する可能性が高い、という報告を行い、国全体に衝撃が走りました。それは、「危機感」です。企業よりも、国のほうが「危機感」を持っている。かつては経済一流、政治は三流などと言われましたが、私にしてみればいまの経済は四流ですね。

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