第11回 Automation 2.0 with Ansible Automation Platform

Red Hat

2024年3月28日

第11回 Automation 2.0 with Ansible Automation Platform

Ansible Automation Platform

今回は、インフラの自動化から始まり、組織間のワークフローまで自動化の範囲を広めた自動化2.0を実現する、Ansible Automation Platformについてご紹介します。

インフラ自動化の最新動向

従来のITインフラ自動化は、構築や運用を担当する作業者が自身の作業を効率化・安定化させるための手段として実施することが主でした。

近年ではこのような”作業を助ける”ツールとしてではなく、アプリ担当者など従来の運用の依頼者に使って貰う”セルフサービスな運用”を実現するための手段として実施されることが増えています。

図1 インフラ自動化の最新動向

図1 インフラ自動化の最新動向

取り組みが変化してきている背景は次のようなものがあります。

  • システムの複雑化やIT利用者の増加により、インフラ運用におけるコミュニケーション(作業調整、各種ドキュメント作成、レビューなど)が増加しており、インフラ部門の業務時間の多くがコミュニケーションに割かれています。
  • 結果として業務時間における”作業時間”の割合は限られているため、作業手順に着目した自動化では大きな効果を出すことが難しい状況となっています。
図2 インフラ部門の時間の使い方

図2 インフラ部門の時間の使い方

これにより、次のようなITインフラ業務における効率化への取組みの変化が起きています。

  • 作業に注目した効率化から、コミュニケーションに注目した自動化へ
  • 手順を置き換える自動化から、人と人のやり取りを置き換えるための自動化の活用へ
  • 自動化1.0から自動化2.0へのシフト
図3 ITインフラ業務における効率化への取組みの変化

図3 ITインフラ業務における効率化への取組みの変化

自動化2.0の最初のステップとしては、個別の運用のセルフサービス化から取りかかることをお勧めします。
なぜセルフサービス化から始めるのか、以下の3つのポイントが挙げられます。

  • 個別の運用ごとに対応ができ、小さく始められる
  • 運用自動化の効果が作業者・依頼者ともに感じられ、即効性が高い
  • 従来の自動化1.0の延長で取り組める
図4 自動化1.0→自動化2.0へのステップ

図4 自動化1.0→自動化2.0へのステップ

運用のセルフサービス化の狙いは、作業における登場人物を減らすことです。
運用フローの中で登場する関係者との調整が無くなり、運用の負担が低減されます。

図5 セルフサービス化のねらい

図5 セルフサービス化のねらい

自動化2.0(セルフサービス化)によって、人の手作業だけでなくその前に発生する調整や打合せを含めた効率化が行えます。以下はある自動化2.0による効率化の効果例です。

図6 自動化2.0による効率化の効果例

図6 自動化2.0による効率化の効果例

以下は、セルフサービス化される作業の具体例です。皆さんの社内やお客さま環境に置き換えてセルフサービス化のポイントが無いか確認してみてください。

図7 セルフサービス化される作業の具体例

図7 セルフサービス化される作業の具体例

以下は、仮想サーバーの払い出しをセルフサービス化する例です。
最初から網羅的にすべてをセルフサービス化するのではなく、段階的にセルフサービス化を行い、徐々に効率を進めるのがポイントです。

図8 仮想サーバーの払い出しをセルフサービス化する例

図8 仮想サーバーの払い出しをセルフサービス化する例

サービスの提供範囲は自由に設定可能です。無理のない範囲からスタートし、徐々に範囲を広めて段階的に自動化を進めましょう。

図9 段階的なサービス提供範囲の拡大

図9 段階的なサービス提供範囲の拡大

以上をまとめると、自動化2.0によるインフラ業務の効率化とは以下がポイントとなります。

  • 人と人の情報伝達に注目し、情報の受け側をセルフサービスに置き換えることで、情報伝達の機会・量を減らすことができる
  • 自動化1.0(手順の置き換え)の延長線から小さくスタートでき、即効性が高い
  • 機能や用途が限定されたサービス開発からはじめて、徐々に機能を拡充していく

自動化2.0を実現する Red Hat Ansible Automation Platform

Red Hat Ansible Automation Platformを利用すれば、インフラエンジニアのスキルレベルでWebアプリケーション開発が可能となります。

図10 Red Hat Ansible Automation Platform概略図

図10 Red Hat Ansible Automation Platform概略図

Red Hat Ansible Automation Platform の概要

下段の"標準化された自動コード" の部分が自動化1.0の範囲です。作業の自動化と、それらを1つに纏めて大きな作業の自動化にしています。
上段の"サービス化、サービスの連結、API化" の部分が自動化2.0の範囲です。自動化したものをサービスとして作業チーム外の人から利用できる形にします。サービスの権限管理やサービスの連結、API化によりほかのシステムからも利用できるようになります。
これらすべて、Red Hat Ansible Automation Platform により実現が可能です。

図11 Red Hat Ansible Automation Platformによる自動化2.0

図11 Red Hat Ansible Automation Platformによる自動化2.0

Ansibleは自動化の内容を可読性の高いシンプルなyaml形式で記述します(Ansibleプレイブック)。
特定の製品知識やプログラムの知識が不要で始められるため、サイロ化と属人化を防止し、自動化を標準化することができます。

図12 Ansibleプレイブック

図12 Ansibleプレイブック

誰でも使いやすいインターフェースにより、自動化のセルフサービス化やサービス連結を支援します。

図13 AnsibleのGUI

図13 AnsibleのGUI

組織全体で自動化を安全に、かつガバナンスの取れた形で実行するための機能を有しています。

図14 Ansibleによる管理面の特徴

図14 Ansibleによる管理面の特徴

Ansible Automation Platformでは、100社以上の3rd Partyベンダの製品・サービスに対する認定を行っています。インフラ自動化にとどまらない幅広いユースケースで自動化を実施することが可能です。

図15 Ansibleと連携する製品・サービス

図15 Ansibleと連携する製品・サービス

Red Hat Ansible Automation Platform の構造

稼働時における構成図です。1台のサーバーでAnsible Automation Controllerを稼働させ、さまざまな対象を自動化します。

図16 Ansibleの稼働時の構成イメージ

図16 Ansibleの稼働時の構成イメージ

Red Hat Ansible Automation Platform の強み

豊富な利用実績から生まれる大量の情報源があります。

  • もくもく会
  • Ansible Nights
  • 各種自動化の分科会
  • 動画を観て語る会
  • Ansiblejp slack チャンネル

Red Hat Ansible Automation Platform のポイント

  • 自動化2.0 を実現するためのソフトウェア
  • インフラエンジニアのスキルセットで、WEBアプリケーション開発(セルフサービス開発)を可能にする
  • 豊富な利用実績から生まれた大量の情報へのアクセスが可能

まとめ

  • インフラの効率化には自動化1.0から2.0へのシフトが必要
  • 自動化2.0は小さく始められ、即効性のあるセルフサービスから着手するのが有効
  • Red Hat Ansible Automation Platform は国内外において豊富な実績とナレッジを持つ

著者紹介

レッドハット株式会社
テクニカルセールス本部 エコシステムソリューションアーキテクト部
ソリューションアーキテクト 稲葉 海斗 様

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