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【第10回】日米のリサイクル文化の違いと取り組み

日本と米国のゴミ分別の違い

こうしたリサイクルを進めるにあたり、まず重要なのはゴミの分別です。日本は日本人の生真面目な性格からか、人手によってゴミの分別をしっかりキッチリ行うことが大事だとなっており、弊社の本社オフィスでも12種類に分別することが定められています。また各自治体によって分別方針は異なっていますが、日本一細かい徳島県上勝町では13種類45分別にも渡るそうで、これによってリサイクル率81%を達成しているとのことです(2022年現在)。

一方、米国では州や地域そして回収する業者によっても異なりますが、おおまかには一般ゴミと瓶・缶等リサイクルゴミの2種類で、もう少し細かく一般ゴミを堆肥用と埋め立て用に分け、合計3種類に分別することもあります。筆者が住んでいるレッドウッドシティ市内の例ですが、筆者のアパートメントの回収サービスは2種類の分別ですが、一軒家に住むメンバーが依頼している回収サービスは3種類の分別、といったように同一地域内でも異なります。ただいずれにしても筆者のオフィスなどを見る限り、実際は正しく分別されていないことも多いです。とは言え、近年はリサイクル意識の高まりから、回収サービスを提供するウェイストコネクション(Waste Connection)では6種類の分別とするなど細かいゴミの分別ルールも設けられてきていますが、まだ日本ほどではありません。

米国におけるリサイクルテクノロジーの例

あまりゴミの分別がされていない米国では、米国らしくテクノロジーを活用して解決するという発想のもと、このリサイクルの分野においても様々なスタートアップが登場しています。

ケンタッキー州ルイビルにあるエーエムピーロボティックス(AMP Robotics)というスタートアップでは、リサイクル可能な材料を選別するロボットシステムを提供しています。AIを用いた画像認識プラットフォームによって、金属、電池、コンデンサ、プラスティック、PCB、ワイヤー、カートン、ボトルキャップ、木材、段ボール、カップ、他10種類以上の多くの材料を選別しリサイクルすることが可能とのことで、性質として透明度、不透明度、折り畳み構造や形状も判断し、選別します。さらにブランドの認識も可能なので、どのブランドがリサイクルされているかの示唆を得ることもできます。実際99%の精度でマテリアルの分析が可能とのことです。 既に20州以上の施設で10億個以上のリサイクル品を処理しており、温室効果ガスの排出量は約50万トンの削減に相当するとのことです。

またバイオ的なアプローチとして、カリフォルニア州オークランドにあるイントロピックマテリアルズ)Intropic Materialsというスタートアップでは、ゴミに添加剤を付加してプラスティック等のマテリアルを取り出して再利用し、それ以外は堆肥として自然に返すことで廃棄量ゼロをめざしています。この先進性が評価され、10月にサンフランシスコで行われたカンファレンス「TechCrunch Disrupt」のStartup Battlefield 20というスタートアップのピッチイベントでは準優勝となりました。

さいごに

日米のリサイクルに対する違いを比較して見てみましたが、日本がより細かくゴミの分別を行ってリサイクル率を高める方向なのに対して米国はテクノロジーを活用してゴミの分別を自動化・効率化してリサイクル率を高めるというアプローチの違いが国の特性・文化の違いを表しているようで面白いです。

少しジャンルは異なりますが、ゴミ箱の量を監視したり自動で袋を密閉したりしてくれるスマートゴミ箱は米国で誕生して現在では日本でも販売・活用されています。今回紹介したテクノロジーも近い将来日本でも導入されていき、より効率的にリサイクルが進んでいくのではないかと期待しています。

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