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RPA業務自動化ソリューション 【コラム】ニューノーマル時代に、企業がRPAを最大限活用するために考えるべき課題とは

RPAコンサルのプロが解説!RPAを活用する人材の育成のために
企業が変えるべきこと

新型コロナウイルス感染拡大以降テレワークが増えている今、RPAを上手に活用できる人材をどのように確保・育成していけばよいのか、悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。産業RPA活用アドバイザーである福田 敏博さんは、RPAを活用する人材育成について、「プログラミングなど特別なスキルは必要ない」「人材育成の前に、まず企業はRPA活用の仕方を見直すべき」と警鐘を鳴らしています。

福田敏博氏の写真

産業RPA活用アドバイザー・産業サイバーセキュリティコンサルタント

福田 敏博 氏

JT(日本たばこ産業株式会社)に入社し、たばこ工場における制御システムの設計・運用・保守などに携わる。その後、ジェイティ エンジニアリング(株)へ出向。システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントとして、数多くの産業系システムの構築を手がける。
現在は、経営工学(マネジメント)・IT(情報技術)・OT(制御技術)を融合したコンサルティングに強みを持って活動中。産業サイバーセキュリティの分野では、第一人者として著名である。また、「スライドさばきの達人」といわれる独自のセミナー講演も定評。

著書:『ひとり情シスのためのRPA導入ガイド』『ひとり情シス「セキュリティ寺」へ駆け込む!』(リックテレコム)、『図解入門ビジネス 工場・プラントのサイバー攻撃への対策と課題がよーくわかる本』(秀和システム)

「RPAは特別な人材しか扱えない」は大きな誤解!RPAを上手に活用している社員の特徴とは?

「RPAは特別な人材しか扱えない」は大きな誤解!RPAを上手に活用している社員の特徴とは?

RPAを動かすのに高度なプログラミングスキルは不要!?

私が今まで支援してきたRPAを導入・活用している企業では、RPAに携わる社員は以下3つの立場に分かれると考えられます。もちろん会社の企業規模や人員配置などによっては、複数の立場を兼任している場合も多いです。

  1. ① RPAを選定する人
  2. ② RPAが動くように設定する人
  3. ③ RPAを実際に動かす人

「RPAを上手に活用している社員」というと、高度なプログラミングスキルをもったシステム部門や開発部門の社員を思い浮かべる人もいるかもしれません。たとえば③のRPAを実際に動かすのはユーザー部門でも、①のRPAの選定や②のRPAの設定などはシステム部門や開発部門の社員でないと難しそう……と思っている人も多いのではないでしょうか。

当初はプログラミングスキルがなくても誰もが簡単にロボットを作成できると思われていたRPAですが、近年ではRPAの失敗事例や運用の難しさを説明するような情報がメディアに増え始めたこともあり、現在ではRPAはシステム部門など技術的なスキルを持った人しか扱えないと思う人が増えています。

しかし企業の現場を見てみると、実態はそうではありません。

このように勘違いされてしまう背景には、「RPA=自動化するためのロボット=高度なITの知識が必要」という誤った認識が広まっているからでしょう。実際は、RPAはロボットではなくアプリケーションソフトウェアであり、使いこなすには「プログラミングの雰囲気が分かる」ぐらいで十分なのです。

RPA企業の現場の実態

RPAの実際のユーザー像としては、プログラミングスキルをもっていない人事や経理、営業部門などの社員がほとんどです。なぜかといいますと、システム部門は現場の仕事を事細かに理解していないため、「何を自動化すればいいか」が分かりません。そのため、RPAの選定やライセンス管理は行いますが、実際の活用にはタッチしないケースがほとんどです。

このように書いても、「本当にプログラミングスキルのない現場の社員がRPAを活用できるの?」と不安に思う方もいると思います。製品によってはプログラムコードのような記述を扱うこともありますが、基本的には自動化したい業務のプロセスがきちんと整理できていれば、RPAに何をやってもらうか指示する設定(シナリオの構築)はできます。そこで具体的にイメージしやすいように、RPAを利用するシーンの例を紹介しましょう。

初心者でもRPAを操作できる便利な機能「レコーディング」

分かりやすいRPAの機能に「レコーディング」という機能があります。これは手作業で操作した動きを記録して、自動化してくれる機能です。RPA画面の録画ボタンを押した後に、利用者が一連のパソコンの動作を行います。

  • スタートメニューからOutlookを起動する
  • 「送受信」タブから「すべてのフォルダを送受信」を押す
  • 受信済メールの「件名」から“注文書”と書かれたメールを選択する
  • “注文書”のメールに添付されたPDFを開く
  • PDFに記載されている“注文内容”を読み取る
  • スタートメニューからExcelを起動する
  • 「ファイルメニュー」の「開く」から「受注管理表.xlsx」を選択する
  • シートに、PDFから読み取った“注文内容”を追記する

そして、停止ボタンを押すと、一連の操作がRPAのシナリオとして自動的に定義されます。
シナリオの修正にもプログラムのソースコードは必要なく、RPAの画面で自由に、画面の図をマウスで操作して簡単に修正することができます。高度なプログラミングスキルは必要ないことが、お分かりいただけたと思います。

さて、ここで本題の「RPAを上手に活用している社員の特徴」を挙げるとするなら、アプリケーションソフトを利用するため、“ITリテラシーの高さ”は必要でしょう。また、RPAは最初から上手にシナリオを書けるわけではなく、ブラッシュアップを重ねていくものなので、新しいツールを面白がって、どんどん使い込んでいく人、とも言えると思います。

RPAをうまく扱える社員を育てるために、企業はRPAの活用方法を見直す必要がある

RPAを上手に活用できる社員を育てようとする前に、企業はやるべきことがあります。それは「RPAの活用方法」自体を見直すことです。RPAは導入することが“目的”ではなく、導入して日頃の業務を効率化(自動化)するための“手段”です。

多くの企業で、いまだにRPAについて誤った認識をされている方がいらっしゃいます。「RPA=ロボット=工場でモノをつくる生産ロボット」のイメージが強いせいか、工場の組立作業のように事務作業を自動化できると思い込んでいるのではないでしょうか。

ですが、組立作業と事務作業では完成品(最終成果物)ができるまでの過程はかなり違います。たとえば自動車を生産する場合、完成する車の色や寸法、重さなどのスペック(仕様)は厳密です。よって、それをつくる組立作業の手順も非常に明確になります。作業者の気分次第で、いつもと手順が違う、なんてことはないはずです。

一方で、事務作業の最終成果物がExcelの「受注管理表(受注情報のデータ)」だったとします。受注管理表の仕様はどうでしょう。セルの書式や行列の項目などに、それほど厳密さはありません。担当者の判断で内容の見直しを行うことも多いはずです。最終成果物は要望しだいで仕様がよく変わります。また、Excelのどのセルから入力しても最終成果物は完成するでしょう。いくら定型業務といっても、事務作業にそこまで明確な手順は必要ないのです。

つまり、現状の事務作業をそのままRPAで自動化しようとすると、そもそも明確にできない無理なことまでシナリオにしてしまいます。そのようなRPAのシナリオを動かせば、トラブル多発で現場は大混乱です。受注情報の内容が少し変わるだけで、RPAはエラーを起こして止まってしまいます。あたり前のことですが、組立作業の「モノづくり」と事務作業の「情報づくり」は根本的に性質が違うのです。

このことをふまえたうえで、RPAを適切に活用して業務を効率化するためには、「最終成果物はどのようなものを、何のために用意しなくてはならないのか」を常に再定義していく必要があります。その上で適切な作業箇所にRPAを配置して、最終成果物ができる前の途中の工程を少しでも効率化していくことをめざしましょう。

企業によってはRPAの情報共有会が行われることも。RPA業務支援BPOサービス活用もおすすめ

企業によってはRPAの情報共有会が行われることも。RPA業務支援BPOサービス活用もおすすめ

RPAは全社的に利用するのではなく、人事部や経理部、営業部などの各部署が個別で利用しているケースが多いものです。そうなると、システム部門や他の部署からは「どのようにRPAを利用しているのか」がまったく分からずに、そのノウハウや知見が企業に蓄積されていきません。その結果、RPAを上手に活用できる社員を育てる環境も整いにくいでしょう。

そこで私がRPAを導入している企業の方に色々お話を伺ってみたところ、「RPA利用状況のお披露目会や共有会を実施している」という話をよく聞きます。「うちの部署ではこのように使っていて、ここが自動化されて、こんなメリットが生まれた」と報告しあうことで、全社の知見にすることができ、また他の部署のRPA活用のブラッシュアップにもつながります。

また、RPAの運用や、ナレッジ共有、開発者育成などの支援をする「RPA業務支援BPOサービス」というサービスもあります。このようなサービスを利用すると、社内のナレッジを共有できるだけでなく、開発者のレベルアップ、日々の運用業務から解放されて、社内でのRPA活用促進などより重要な業務に注力できるなど、「全社でRPAを活用する」ための手助けが得られるでしょう。

このようなサービスも利用しながら、RPAを上手に活用できる社員を育てることも有効です。

まとめ:RPAを活用するにはスキルよりも挑戦心が必要!企業は目的と手段の見直しを実施すること

RPAを上手に活用する社員には、ITリテラシーの高さや「まずは試してみよう」とする挑戦心が備わっています。 社員を「RPAを上手に活用する社員」に成長させるためには、まずは企業側がRPAに対する目的と手段への考え方を変えなければいけません。 企業は高度なスキルを持った人材やRPA導入を検討するよりも、まずはRPAを適切なところに配置し、活用するための土壌の見直しを行いましょう。 さらに、現場でRPAを実際に動かすユーザー部門が困らないよう、情報共有の場を設けるなど、RPAに関する情報を全社で共有しやすい環境に整えることも重要です。
次回は、RPAのリプレイス(再検討)について解説します。

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