パイプライン管理とは
パイプライン管理とは、業務におけるプロセス全体を管理し、分析・改善を行うマネジメント手法です。営業においては、顧客の呼び込みから商談、契約、アフターフォローまでの一連の活動を管理します。
パイプライン管理を行えば営業活動の生産性が向上するとともに、各プロセスの精度が向上します。
パイプライン管理の重要性
現代は働き方改革などを背景に業務効率化や生産性向上が求められているものの、営業活動が担当者ごとに属人化しているケースも多いでしょう。
パイプライン管理を行うと、営業活動の一連の流れを見える化できるため、ボトルネックとなっているプロセスの改善と営業活動の効率化が実現できます。案件が不足している場合には新規案件創出にリソースを割けるようになるなど、さまざまな営業プロセスに良い効果を発揮するでしょう。
パイプライン管理のメリットとは
パイプライン管理を行うメリットには、主に以下の4つが挙げられます。
課題の早期発見ができる
パイプライン管理を行えば、営業プロセスごとにデータ分析ができるようになります。成績の良い営業チームとほかの営業チームのデータを比較することで、どのプロセスに原因があるかがすぐにわかり、早期の課題発見ができます。
また、営業活動における課題は1つの営業チーム限定ではなく全体に共通しているものも多くあります。課題の原因と対策を営業部全体で共有できれば、課題の解決も速やかに行えるようになるでしょう。
マーケティング活動に生かせる
広告やSEOなどマーケティング施策のデータを収集して分析を行えば、受注につながりやすいターゲットやチャネルの傾向がわかります。傾向分析ができると、受注率が高い層に注力する、受注率が低い層の改善を行う、まだアプローチできていない新規層へのリーチを行うなどのマーケティング戦略を立てることができます。結果として営業リソースの浪費を防ぎ、営業活動の効率化につながるでしょう。
精度の高い売上予測ができる
パイプライン管理を行うと、商談数に対する受注率や一連の営業活動にかかった工数などを把握できます。これらをデータとして蓄積していけば、実行可能な営業活動量からどの程度の売上が見込めるのか算出できるようになります。また、目標とする売上に対してどの程度の活動量が必要になるかもわかるため、リソースの配分もしやすくなるでしょう。データをもとに売上計画や営業目標のシミュレーションを行えば、現実と乖離しない目標を設定でき、目標達成率の向上につながります。
人材育成に生かせる
パイプライン管理では、営業担当者それぞれの行動データも収集します。良い成績を挙げている担当者のデータと比較すれば、各担当者がどのような改善を行えばよいかが見えてきます。行動データをもとにした適切なアドバイスができるようになるとともに、実際のデータとして目に見える形で提示できるぶん、各営業担当者に納得してもらいながら行動改善できるようになるでしょう。
パイプライン管理のデメリットとは
パイプライン管理には多くのメリットがある一方、デメリットとなる部分もあります。パイプライン管理を行う際は、そのデメリットを把握したうえで、そのデメリットをフォローしつつ取り組むようにしましょう。
データ入力の手間がかかる
パイプライン管理でデータを収集するためには、各営業担当者にデータを入力してもらう必要があります。営業活動で忙しい中、データの入力も必要となると、各営業担当者の負担が増えてしまいます。プロセスを細分化し過ぎるとデータ入力に時間がかかり本質的ではないため、全体像が把握できる粒度のデータ入力にとどめましょう。また、ITツールの導入やデータ入力フォームの簡略化など、データ入力にかかる工数削減の工夫を施しましょう。
モチベーションの低下につながる恐れがある
パイプライン管理では営業活動の進捗や目標達成率が可視化されるため、成績が良くない担当者のモチベーションが低下してしまう恐れがあります。
パイプライン管理の本質は、データを分析し営業活動全体の効率化を図ることです。悪い部分にばかり目を向けず、各営業担当者の長所を伸ばすことも意識しましょう。
パイプライン管理の進め方
パイプライン管理のメリット・デメリットを解説したところで、ここからはパイプライン管理の具体的な進め方をご紹介します。
営業プロセスを分解する
まずは自社の営業プロセスを細分化し、それぞれの定義付けを行いましょう。例えばWebフォームからの問い合わせ、アポイント、ヒアリング、決裁者へのリーチ、ソリューションの提案、クロージング、契約、アフターフォローといったように営業プロセスを細分化し、それぞれに定義付けをします。前述のとおり、プロセスを細分化しすぎても本質から外れてしまいます。プロセスの細分化は内部的なものではなく、あくまで顧客の行動を軸に定義しましょう。
課題を抽出して目標を設定する
営業プロセスを細分化したら、営業プロセスの中でボトルネックとなっている課題を抽出し、目標を明確に設定します。例えば、クロージングから契約までのCVR(コンバージョン率)が悪いのであれば、CVRを○%まで向上させるという具体的な目標を設定します。目標を設定する際は、人によって認識の差が生じないよう目標数字や条件を明確にしましょう。
課題にあわせて改善策を策定する
課題の抽出と目標の設定ができたら、実際のデータにもとづいて課題の分析と改善策の策定をします。
クロージングから契約までのCVRが低いといっても、顧客の属性によってCVRが偏っている場合もあります。その場合、CVRが低い顧客へのクロージング方法を改善すれば全体のCVRの底上げができます。このように、ボトルネックとなっている部分をさらに分析し、改善策の検討を行いましょう。
効果検証・見直しをする
改善策を実行したからといって、すべてがうまくいくわけではありません。実行後のデータを収集し、改善策によって目標は達成できたのか・できなかったのか、結果の原因は何かを分析し、さらなる改善を行いましょう。この仮説→効果検証の流れこそが自社のノウハウとなり、強みとなる部分のため、目標が達成できたからといって原因分析を疎かにしないよう注意しましょう。
パイプライン管理のポイント
パイプライン管理を行う際には以下のポイントを押さえましょう。
情報共有を徹底する
営業活動の状況は日々変化していきます。適切なパイプライン管理を行うためには、リアルタイムかつ正確な情報を把握することが欠かせません。営業担当者には情報共有を徹底させるとともに、BANT条件などを用いて必須入力となる情報を統一しましょう。
また、Excelのようなツールでは複数人が同時に編集しにくく、社外からの共有方法にも難があります。情報を共有するツールは、共同編集ができると同時に社外からの利用もしやすいツールを選定するのがおすすめです。
パイプライン管理の認識をすり合わせる
営業プロセスを細分化する際、プロセスの定義が人によって異なっていると、正確な数値を算出できなくなります。何の条件を満たしたら次のプロセスに進むのかについて、全員が共通認識を持てるよう擦り合わせをしておきましょう。プロセスの定義が明確になれば、営業担当者も次のプロセスに向けたアクションを実行しやすくなります。
ツールを導入する
パイプライン管理に適したツールを導入すれば、データ入力が容易になることに加え、データの可視化やデータにもとづく売上予測、改善策の検討がしやすくなります。また、1つのツールで一元管理できるため、担当者ごとに統一されたフォーマットで情報を入力でき、情報が分散しません。
パイプライン管理にはSales Cloud
パイプライン管理に適したツールとしては、Sales Cloudがおすすめです。Sales Cloudでは営業のフェーズごとに商談管理ができ、ワークフローや業務の自動化などの営業支援機能が充実しています。また、AIによる売上予測機能も備わっているため、より精度の高い売上予測ができるようになります。
多くの企業で導入実績があり、実際に成果を上げているツールのため、パイプライン管理を強化したい企業にぜひおすすめのツールです。
日立ソリューションズのパイプライン管理事例
日立ソリューションズではSFAを導入したものの、活用しきれていないといった課題がありました。以前から利用していたシステムやエクセルへの入力を残したまま、SFAへの入力作業が追加された状況となっていたことが原因の一つでした。
必須の入力項目を可能な限り絞ることを実施することで現場への負荷を極力抑え、SFAのデータの質と量の向上を実現しました。その結果SFAの再構築をおこなった後において、すべての期間で業績目標を達成しています。
Salesforce導入実態調査
株式会社日立ソリューションズは、「Salesforceの活用状況に関する実態調査」を実施しました。
年商規模100億以上の企業に所属する販売・営業部門/企画部門/システム企画部門に所属する会社員・団体職員・経営者・役員の100名を対象に、「Salesforceの導入の有無」「Salesforceの導入を決めた理由」「Salesforceの導入時期」「Salesforceの導入後の満足度」「Salesforceの導入によるメリット」「Salesforceを導入していない理由」「所属部門の現状の課題」「所属部門の課題の解決方法」「Salesforce導入/活用のために必要なもの」などをお聞きしました。
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SFA・CRM・MAに関するさまざまなテーマについて日立ソリューションズの知見をもとに有益な情報を発信していきます。
記事のまとめ
営業活動の一連のプロセスを管理するパイプライン管理は、営業活動の効率化に欠かせないものです。パイプライン管理を行えば、課題の早期発見と改善、マーケティング活動の成果アップ、精度の高い売上予測、人材育成の効率化などが実現できます。
ただし、実際のパイプライン管理にはデータ入力の負担やデータ分析の難しさといった問題も発生します。パイプライン管理に適したツールも活用しながら、効果的なパイプライン管理をぜひ実現してください。