日本製鉄株式会社様 空間情報ソリューション GeoMationの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

空間情報ソリューション GeoMationの導入事例

日本製鉄株式会社様

製鉄所内の敷地用途管理を地理情報システム(GIS)で効率化

大手鉄鋼メーカーとして知られる日本製鉄株式会社の九州製鉄所(八幡地区、大分地区)は、緑地などの図面による敷地用途管理を「GeoMation 地理情報システム(以下、GeoMation)」でWebシステム化しました。これにより、従来の管理方式に比べ、対象敷地の最新状況を誰でも効率よく正確に把握可能となり、管理者および敷地利用者の作業軽減を実現しました。

メインイメージ

写真右 株式会社Mモード 田畑 友麻 氏

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課題
導入後
製鉄所敷地内の緑地や資材置き場の状況を効率よく管理して、製鉄所内で容易に情報共有したい
緑地や資材置き場を一元的に管理する地理情報データベースを構築しWeb公開することで、敷地に関する申請作業がスムーズに。現場と図面の不一致による手戻りを解消
既存システムはブラックボックスとなっており、システム保守で苦労していた
「GeoMation」のSDK(開発キット)と技術サポートで、保守性がアップし独自開発も可能に

背景と課題

緑地や資材置き場の管理に効率面で大きな課題

油布 氏生産技術部 システム室 主幹(大分地区)
油布 正直 氏

日本で生まれたグローバルな鉄鋼メーカーである日本製鉄。国内の製鉄所は室蘭・東日本・名古屋・関西・瀬戸内・九州の6カ所で、そのうちの1つである九州製鉄所の事業所は、八幡(福岡県北九州市)と大分(大分県大分市)の2地区にあります。

八幡地区の敷地面積は約1,112万m2、大分地区は約700万m2と、どちらも極めて広大です。敷地の一部は生産施設だけでなく、緑地や協力会社向けの資材置き場などとして活用されています。

これらの緑地や資材置き場を管理しているのが、生産技術部の設備計画室です。工事などにより一時的に緑地を移動させたり、協力会社へ資材置き場として貸し出す際には、各部署から申請を受け付け、台帳を更新するという形で運用していましたが、どちらの地区でも現状把握や管理を効率的に行うことができていませんでした。

「大分地区の場合、緑地の図面はPDF化してファイルサーバーで共有していました。図面が28枚に分かれていたので、各部署の申請者が目的の緑地を探すのに手間がかかるという悩みがありました。また、変更箇所がある程度まとまった数になってから外部業者に図面製作を依頼していたので、最新の状態が図面に反映されているとは限らないという問題もありました」(油布氏)

「八幡地区では協力会社への資材置き場などの貸し出しを、占用管理ソフトウェアで管理していました。ただ、スタンドアロンで稼働させる形態でしたので、申請者はその都度設備計画室まで足を運ばなければなりません。ハードウェアの性能もそれほど高くなかったので、現状の確認や内容の変更に時間がかかっていました。また、既存ソフトウェアがブラックボックス化していて、思うような保守ができず困っていました」(大庭氏)

選定と導入

機能と費用から採用製品を決定しCADデータを補正して移行

大庭 氏生産技術部 システム室 主幹(八幡地区)
大庭 巧 氏

そこで大分地区のシステム企画チームが考えたのは、地理情報システム(GIS)を導入して敷地用途管理を効率化するプランでした。

検討がスタートしたのは、2019年の初めです。さまざまな検討の結果、製鉄所全体の地図と緑地や資材置き場の位置・面積を別々のレイヤーで正確に管理できるデータベースがあれば、敷地用途を効率的に管理できるという見通しが立ちました。システムへの要件としては、まず全図面を一枚絵としてデータベースに登録できること、そしてWeb環境で個々の緑地や資材置き場を絞り込んで検索できることの2点でした。

「当社が調査したところ、このような要件を満たす製品は2つでした。選定にあたっては機能の比較表を作成して要件への適合度をチェックしたほか、費用やマニュアルも確認しました。最終的に、機能の充足度と費用の妥当性を評価して、日立ソリューションズの『GeoMation』を選定しました。当社は日立グループとの付き合いが長く、信頼できるベンダーであったことも決め手となりました」(油布氏)

大分地区での採用決定は、2019年3月でした。2019年5月からの構築作業は、業務に精通した日鉄日立システムエンジニアリングと、空間情報技術を持つ日立ソリューションズによって行われ、28図面のCADデータの移行やカスタマイズによる機能拡張などの作業を実施しました。CADデータは図面ごとに作図方法や精度に差異があったため、移行作業時に日立ソリューションズ側と協議しながら補正しました。

八幡地区でも「GeoMation」を2020年1月に導入開始しました。システム構築・データ移行・カスタマイズの各作業は、日本製鉄グループのシステムインテグレーターである日鉄ソリューションズが担当しました。

「データの移行については、大分地区で実績がありましたので、日立ソリューションズに支援してもらいました。一方、カスタマイズ作業は日鉄ソリューションズ側で行い、従来から使用してきた占用管理ソフトウェアに加えていたカスタマイズと同じ仕様を『GeoMation』にも適用しました。また、SDK(開発キット)が用意されており、技術サポートも受けることができたので作業もスムーズに進みました」(角氏)

「GeoMation」をベースとしたWebシステムは、大分地区で2019年10月、八幡地区で2020年12月にそれぞれ稼働開始しました。誰でも直感的に操作できるWebシステムであることから、大分地区でも八幡地区でもエンドユーザー教育は実施せずに済みました。

成果と今後

敷地の用途を正確に把握。管理業務の効率が大幅に向上

角 氏日鉄ソリューションズ株式会社 鉄鋼ソリューション事業本部 鉄鋼ソリューション事業部 九州システムソリューション部 八幡システムセンター
角 浩一 氏

新しいシステムの稼働によって、両地区では敷地用途の把握と管理を従来よりも効率的に行うことができるようになりました。

「地理情報データベースの緑地データは、常に最新の状態を反映していますから、管理効率の向上に大きく寄与しています」(油布氏)

「旧システムにはレスポンスが良くないという問題もありましたが、最新の製品を利用した新システムに切り替えることによって、パフォーマンスの問題は解消しました」(大庭氏)

「GeoMation」が製鉄所内の敷地用途管理に役立つのを確認した八幡地区と大分地区は、その適用範囲をさらに広げていこうと考えています。例えば、協力会社に対する資材置き場の貸し出しは大分地区でも行われており、八幡地区と同じ仕組みを取り入れて管理業務を効率化しようという構想が持ち上がっています。

また、両地区の評価も高いことから、「GeoMation」は日本製鉄の標準ソフトウェアの1つとして認定され、同社のほかの事業所で採用される可能性も広がっています。

「日立ソリューションズの支援により、一番の課題でもあった旧システムのデータ移行もプロジェクトを滞りなく進めることができ、製品の使い方や開発に関するサポートも丁寧に対応してもらいました。今、当社は『GeoMation』の活用構想をいろいろと温めていますので、これからもさまざまな面で力になってもらいたいと思います」(油布氏)

製鉄所内緑地の適切な維持・管理は、工場立地に際して環境保全に配慮することを求めた工場立地法の規定を順守するためだけでなく、企業がサステナビリティー(持続可能性)の課題に取り組んでいくためにも大きな意味を持っています。そうした緑地管理の効率化に役立つのが、社内外のさまざまなデータを地図上に展開できる日立ソリューションズの「GeoMation 地理情報システム」です。サステナビリティー向上をめざす日本製鉄を、日立ソリューションズはGIS分野の豊富な実績を生かして、これからも支援していきます。

緑地管理表示(例)

日本製鉄株式会社

新日本製鐵株式会社と住友金属工業株式会社の経営統合によって2012年10月1日に発足した後、2019年4月1日に現商号となる。現在携わっている主な事業分野は、製鉄、エンジニアリング、ケミカル・マテリアル、システムソリューションなど。祖業の製鉄事業では年間約5,000万トンを超える粗鋼生産能力を誇り、その粗鋼から作り出された鋼板や鋼管などの製品は自動車産業、資源エネルギー産業、社会インフラなどの広範な領域で使われている。

本社所在地 東京都千代田区丸の内2-6-1 日本製鉄株式会社
設立 1950年4月
従業員数 106,599人(連結:2020年3月31日現在)
事業内容 製鉄業
URL https://www.nipponsteel.com/

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本事例の内容は2021年3月26日公開当時のものです。

最終更新日:2021年3月26日