電子契約ソリューション(電子署名サービス Docusign eSignature)の導入事例
株式会社日立製作所様電子署名サービス「Docusign eSignature」で、1年ごとに更新するシニア社員との再雇用契約の効率化を実現
シニア社員との再雇用契約は、無期雇用となる新卒・キャリア採用の雇用契約とは異なり、1年ごとに契約を更新する必要があります。また、被雇用者の諸条件が多岐にわたるため、紙での契約締結業務は煩雑を極めていました。そこで、日立製作所では、電子署名サービス「Docusign eSignature」を導入して契約締結業務を効率化。人事部門側だけでなく、被雇用者側の押印・郵送・保管などの負担も軽減しました。

この事例に関するソリューション・商品
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背景
ハンコレス・ペーパーレス化の推進
1年ごとに契約更新が必要となるシニア社員との再雇用契約。人事部門では、雇用契約書の取り交わしに至るまでにも、雇用継続意思の確認や想定職務連絡票の作成などのさまざまな対応を行っています。
「契約書は従来、紙で作成しており、印刷・確認・封入・投函・返信受領・ファイリングなどの一連の作業が発生します。シニア社員との再雇用契約では、この一連の作業が毎年2月から3月頃にかけて必要になり、ほかの社員の人事異動対応時期とも重なって作業負荷が高くなるため、業務の効率化が課題でした」(小松氏)
また、これまでの契約締結では、印刷や押印など、人事部門も被雇用者も出社して対応するケースが多くありましたが、検討時期が新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した時期と重なったこともあり、リモート対応への要望も高まっていました。
「日立グループではDX(Digital Transformation)推進の一環として、ハンコレス化、ペーパーレス化を推進しています。そこで、電子化へのスムーズな移行をめざし、“利用者にとってシンプルで使いやすいこと”を重視して、電子署名サービス『Docusign eSignature』の導入を検討し始めました」(小松氏)
取り組み
数多くある契約内容の整理

小松 世怜 氏
「『Docusign eSignature』の導入にあたって、契約の諸条件が異なるパターンが数多くあり、かつ対象者が多いことから、RPA(Robotic Process Automation)を使って契約書の作成を自動化することを考えました。このため、まずは契約内容を整理する必要がありました」(小松氏)
各事業所の人事担当から使用している契約書を回収して、必須項目の統一、適宜追記する情報の整理を行いました。
「最も時間がかかったのは、契約内容の標準化です。現場常駐の場合、出向先の就業時間に合わせるなど、勤務時間が通常と異なる場合がありました。契約の諸条件が異なるパターンが数多くあるので、統一する部分以外に、個別に表記する内容を精査していく必要がありました」(小松氏)
「Docusign eSignature」のテンプレート機能は、使用する契約書ファイルや署名の順序、メールの件名、本文などのほかに、任意の内容を入力できるフィールドを配置したものをテンプレートとして保存し、再利用できます。RPAと連携して個別の契約内容を追記できる仕様にするため、このテンプレート機能が活用されました。
業務フローについても、「これまでは、契約書を作成後、印刷・確認・封入・投函・返信受領・ファイリングなどのプロセスがありましたが、『Docusign eSignature』では、作成した契約書の送信と、被雇用者による電子署名・返信で業務が完結します。事前のユーザー登録やソフトウェアのインストールが不要で、契約の進捗管理やデータの保管も『Docusign eSignature』上でできるので、業務フローをシンプルにできました」(小松氏)
被雇用者には、雇用継続意思確認の面談時に、郵送の手間の削減や保管の安全性などのメリットを説明しました。また、署名の手順を説明する資料も配布しました。その結果、94%以上の被雇用者から「Docusign eSignature」で契約手続きを行う同意を得ました。
効果
業務時間を平均8.6日削減
人事部門の効果としては、作業時間の短縮やコスト削減があげられます。
「『Docusign eSignature』の導入で、契約内容が固まってから署名済みの契約書を受領するまでの業務時間が平均8.6日削減できました。実際には、契約書の送信から3日以内に8割近くの被雇用者から返信がきているので、現場の担当者の実感としてはもっと大きな時間短縮を感じていると思います」(小松氏)
また、約1,000名を対象とした2024年2月からの本番稼働では、郵送費など約200万円のコスト削減効果が算出されています。
被雇用者としては、押印などのために出社する必要がなくなり、紙の契約書を郵送したり保管したりする手間も省けるようになりました。さらに、紙の契約書の紛失リスクを低減、契約内容を随時確認できる安心感など、人事部門・被雇用者の双方にとっての効果は数多くあります。
「『Docusign eSignature』のフォローメール機能も役に立っています。あらかじめ指定した期間に返信がない場合は、リマインドメールを自動で送信できるので、フォローにかかる手間を削減できました」(小松氏)
重視していた“利用者にとってシンプルで使いやすいこと”というポイントについても、「今回の対象者から個別に問い合わせが入るなどの混乱はなく、満足度も高いとの感想が上がっているので、十分に達成できたと思います。また、先行運用開始後に、法的な改正に対応するため、契約書のフォーマットに変更が必要になりましたが、『Docusign eSignature』のテンプレートの修正、データ連携部分の改修だけで対応できました」(小松氏)
展望
対象部門を増やすなど、適用範囲を拡大
「Docusign eSignature」の導入は、2022年12月に検討を開始し、2023年2月から本社勤務の約150名を対象に先行運用を開始しました。
その後、「2024年2月から次年度の契約更新が必要となる約1,000名を対象とした本番稼働を開始しました。今後も対象部門を増やして、2,000名程度への適用拡大を見込んでいます」(小松氏)
さらに、定年を迎えた新規の再雇用契約も、紙の契約書から電子署名への移行を予定しています。
「人事部門はルーティンワークが多いので、DXを推進することで業務の効率化に大きな効果が見込めます。今後は勤怠確認業務などのDX推進に期待しています」(小松氏)
自社の新卒・キャリア採用時の雇用契約でも「Docusign eSignature」を使用している日立ソリューションズ。署名時にアクセスコードで認証を行うといったセキュリティ面と実運用を考慮したノウハウの共有も、今回の導入がスムーズに実現した要因となりました。日立ソリューションズは、これからも「Docusign eSignature」を活用したハンコレス・ペーパーレス化で日立製作所のDX推進を支援していきます。
株式会社日立製作所
所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 | ![]() |
---|---|---|
設立 | 1920年(大正9年)2月1日 | |
従業員数 | 28,111名(単独)/268,655名(連結)2024年3月末現在 | |
事業内容 | デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ分野における製品の開発、生産、販売、サービスなどの提供 | |
URL | https://www.hitachi.co.jp/ |
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本事例の内容は2025年5月20日公開当時のものです。
最終更新日:2025年5月20日