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【第3回】日本と日本企業がサステナブルであるために進むべき道

「失われた時代」の30年をかけて気づいたこと

では、やがて訪れるアフターコロナの時代に、日本はどのような道を進むべきなのでしょうか。そのキーワードが、「メイド・ウィズ・ジャパン」だと私は考えています。

昭和の時代、特に1980年代の日本は、先進国の大量消費を満たすために、電化製品をはじめとする「メイド・イン・ジャパン」の製品の大量生産で大成功を収めました。それによって国民の生活が豊かになり、自信がときに傲慢にもなった時代でもあります。

ところが、それに恐れを抱いたアメリカからのバッシングがはじまりました。そこで、貿易摩擦を解消するため、海外に日本企業の工場を建てて製品をつくるので勘弁してください、という流れになったのです。これが、平成の1990年代からはじまる「メイド・バイ・ジャパン」のモデルです。

合理的なモデルチェンジだったように見えましたが、これが「失われた時代」のはじまりでした。当初、失われた時代は10年ほどで終わるだろうと、誰もが考えていました。「今は調子が悪いけれど、しばらくすれば以前のような栄光を取り戻せるはずだ」と期待していたのです。

ところが、その失われた時代は20年、30年と続き、「これは思っていたのとは違う」と感じるようになります。単なる一時的な停滞ではなく、それまでの在り方が根本から破壊されてしまったのです。言い換えれば、過去の成功体験の再現はもう無理だと気づくのに、30年もの年月が必要だったのです。

日本が進むべき道は「メイド・ウィズ・ジャパン」

昭和のメイド・イン・ジャパンの成功体験の背景には、人口動態のピラミッドの存在がありました。当時は、大量の若者世代が、少ないシニア世代を支えるという社会構図があったのです。

平成に入ると、人口が多い団塊の世代と、その子ども世代の団塊ジュニアを中心に、人口動態はひょうたん形に変わり、それが徐々に上の方にスライドしていきました。そして令和に入ると、少数派の若者世代の上に大量のシニア世代がいる逆ピラミッド型に移行します。

そんな2020年代は、日本の在り方を大きく変える好機だと私は感じています。今までの日本では見たことがない規模とスピード感で、世代交代が既に始まっているのです。過去の成功体験を築いてきた世代から、未来の成功体験をつくる世代へのバトンタッチです。

具体的に、どうやって新しい成功体験が展開するのかまでは分かりませんが、少なくとも、これだけはいえます。それは、過去のピラミッド型社会による成功体験の延長線上には、未来の成功体験は存在しないということです。これは間違いありません。

そう考えて世界を見わたすと、ピラミッド型の人口動態の国が数多くあることに気づきます。インドや特にアフリカの国々は、今後30年たってもまだピラミッド型であると予想される国が少なくありません。そうした国の若者たちが第一に求めているのは、仕事に就いてお金を稼いで家族を養いたいということです。日本では当たり前のことですが、新興国では必ずしも当たり前ではありません。そこに日本の成長の可能性があるように思います。

ミレニアル世代やZ世代は、日本では人口が少ないマイノリティで、シニア世代に押しつぶされそうな状態にしか見えません。しかし、もしデジタルネイティブである彼らが、「自分は日本で暮らしているけれど、世界とつながって、こんなことができるんじゃないか、あんなことができるかもしれない」とスイッチが入ると、何か新しいことが起きる予感がします。

もっと働いてお金を稼ぎたいという新興国の若者とつながることで、新興国の持続可能な成長を支えるお手伝いができるかもしれません。日本には、明治維新から築いてきた体験やノウハウがあります。それをベースにして、現地のニーズに合ったものをつくっていくことができれば、まさにそれがメイド・ウィズ・ジャパンではないでしょうか。

新興国の人たちの間に、「自分たちの生活が成り立ってるのは、日本が一緒に伴走してくれているからだ」という意識が広まるようになれば、そこに新しい日本の成功体験が生まれると信じています。

前回、渋沢栄一の『論語と算盤』を取り上げて、「と」はandであると説明しましたが、withもまた「と」です。メイド・ウィズ・ジャパンによって、「日本“と”新興国」がともに持続的な成長を遂げることができれば、渋沢栄一も大いに喜んでくれることでしょう。

次回は、もし現代に渋沢栄一が生きていたらと仮定して、現在の日本や世界の状況を見つめ直していきたいと思います。

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