ISO/IEC 5230(OpenChain)認証取得支援の導入事例
ヤンマーホールディングス株式会社様実務に即したOSS管理体制を構築しISO/IEC 5230認証を取得。プロセスの標準化によりサプライチェーン全体でガバナンスを強化
スマート農業の推進に伴いオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の活用が拡大するヤンマーホールディングス株式会社では、サプライヤー対応を含む業務プロセスの効率化が課題となっていました。そこで、「ISO/IEC 5230(OpenChain)認証」の取得を見据えてガイドライン整備に着手した同社は、日立ソリューションズの支援のもと、同社の特徴に合わせたOSS管理体制を構築し認証を取得。業務の効率化や社内のコンプライアンス意識の向上を実現しました。今後は生成AI活用による新たなライセンスリスクや法規制対応を見据え、さらなるプロセス改革を進めていく考えです。
この事例に関するソリューション・商品
この事例に関するソリューション・商品
背景
サプライチェーン全体でOSS管理にばらつき
技術本部 電動電制システム開発部 主席松本 圭司 氏
トラクターやコンバインなどの農業機械・農業施設のほか、ミニショベル、ポータブル発電機などの建設機械、エネルギーシステム、産業用ディーゼルエンジン、マリンディーゼルエンジンなど、世界の都市・大地・海で人々の豊かな暮らしを支えているヤンマーホールディングス株式会社(以下、ヤンマー)。「A SUSTAINABLE FUTURE ―テクノロジーで、新しい豊かさへ。―」をブランドステートメントに掲げる同社は、未来につながる社会とその豊かな暮らしの実現に向けて、創業以来100年以上にわたりお客さまの課題、社会の課題に取り組んできました。
そのヤンマーが農業の高齢化、深刻な労働力不足の改善をめざして力を注ぐのが、最先端のテクノロジーを活用したスマート農業の推進です。機械メーカーでありながら、製品向けのソフトウェア開発を内製しているのも特徴であり、2018年には、無人で自動運転できるロボットトラクターを発表。同社のものづくりにOSSが活用されるようになったのも、このロボットトラクターがきっかけでした。以来、同社では、自動化やセキュリティ対応などにおいてOSSの活用を積極的に推進してきました。
しかし、自動運転機能の実装を進めるにつれ開発範囲は拡大。自社開発だけで対応しきれず、外部サプライヤーに開発を委託するケースも増えてきたのです。
「サプライヤーによってOSS活用に関する意識や体制にはばらつきがあります。指針となる統一的なOSSの管理手法が確立されていないと、納品物にOSSが含まれる場合に、必要な対応を求めるための業務負荷が大きく膨らんでしまいます」と松本氏。ライセンスコンプライアンスと効率化の両立を重要な課題として認識し始めた同社は、解決策の一つとしてOSS管理の国際標準規格「ISO/IEC 5230(OpenChain)認証」の取得を視野に入れつつ、まずは社内規程化にかかわるガイドライン策定に着手しました。
取り組み
ガイドラインの整備を経て認証を取得
技術本部 技術戦略部 PLM推進部 プロダクトコンプライアンスグループ渡邊 淳 氏
3カ月という短期間でガイドラインを整備しようと動き出したものの、その道のりは思いのほか簡単ではありませんでした。渡邊氏はこう振り返ります。
「我々自身で独自に情報を解釈してガイドラインを整備するには力不足でした。社内に対して説明する際にも、それで十分なのかと問われるシーンがあり、第三者の目を入れずに進めることに限界を感じました」
そこで同社は、日立ソリューションズに「OSSガイドライン策定支援」を依頼。日立ソリューションズは、同社が作成したガイドラインのレビューを実施しました。
「日立ソリューションズは、数々のコンサルティング実績があるだけでなく、国内唯一のOpenChain公式パートナーであること(2026年10月現在)も決め手になりました。また、立派なガイドラインがあっても実践できなければ意味がありません。いかに実用レベルに落とし込めるかが重要です。この点で、当社の特徴に合わせた対応を検討いただけたことが大きかったですね。もちろん、認証取得を見据え、要件を満たすかどうかも含めてチェックしていただきました」(松本氏)
ガイドラインの整備を完了した同社は、認証取得に向けて実務を通した改善活動に取り組み、約2年をかけて準備を進めた後、再び日立ソリューションズに支援を依頼。「ISO/IEC 5230(OpenChain)認証取得支援」を利用して、2026年に認証取得を実現しました。
効果
プロセスの標準化活動により業務効率が向上
認証取得からまだ間もないものの、徐々にそのメリットを実感しつつあるという渡邊氏は、「OSSの利用ルールや確認手順が標準化されたことで、課題だった外部サプライヤーとのやりとりが簡潔になり、業務負荷の大幅な軽減につながっています。日立ソリューションズには実務に即した的確な支援をいただき、社内のガバナンス体制を速やかに構築できました。組織としてOSSを適切に取り扱って製品開発していることを社内外にアピールできるようになり、サプライチェーン全体でガバナンスの強化が図れると期待しています」と手ごたえを語ります。
さらに、社内講習などを通じて従業員の意識にも変化が見られるとして、「社内講習などの成果もあり、オープンソースだから自由に使えるというのではなく、適切な手順のもとでコンプライアンスを遵守して利用しようという意識が確実に根付いてきたと感じています」と付け加えます。
展望
生成AIの活用を踏まえたOSS管理が課題に
製品開発におけるOSS活用がますます拡大していく見込みだというヤンマー。「今後は開発効率の向上を目的に生成AIを活用していく流れがあるなかで、AIが生成するソースコードにOSSが取り込まれ、知らぬ間にライセンス違反するという新たなリスクも懸念されます。また、MITやGPL(GNU General Public License)といった従来の主要なライセンスであれば、すでに社内で知見が共有されていますが、新たなライセンスが適用されたOSSを持ち込まれる可能性もあります。社内に正しい理解を促していくためにも、引き続き日立ソリューションズの力をお借りしていきたいと考えています」と渡邊氏。
一方で、2025年に食料生産とエネルギー変換の技術で未来の農地を守るプロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」を開始したヤンマーでは、SDx(Software-Defined anything)の進展に伴う開発範囲の拡大に加え、EUサイバーレジリエンス法(Cyber Resilience Act)をはじめとした法規制への対応といった課題も抱えています。
「これらの取り組みにリソースを確保していくためには、さらなる業務効率の向上をめざしたプロセス改革が欠かせません。多様なソリューションを持つ日立ソリューションズには、OSS管理にとどまらず幅広い領域でのサポートを期待しています」と松本氏。
「テクノロジーで新しい豊かさへ」を掲げるヤンマーは、引き続きデジタル投資を加速させながら、100年先の未来を見据えて歩みを進めようとしています。
ヤンマーホールディングス株式会社
| 所在地 | 大阪府大阪市北区茶屋町1-32 | ![]() |
|---|---|---|
| 創業 | 1912年3月(設立2013年4月1日) | |
| 従業員数 | (連結)26,886名(2026年3月末時点) | |
| 事業内容 | 農業機械、建機機械、マリン、エネルギーシステムほか | |
| URL | https://www.yanmar.com/jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2026年10月28日公開当時のものです。
最終更新日:2026年10月28日

