工場向けセキュリティアセスメントの導入事例
株式会社日立製作所様ATM製造拠点へ第三者によるセキュリティアセスメントを実施。各工場へ展開していく際の新たな選択肢の一つに
大手総合電機メーカーの株式会社日立製作所は、巧妙化するサイバー攻撃の増加を背景に、ものづくりを支える各工場のセキュリティ対策を強化しています。これまでは日立製作所の工場セキュリティガイドラインに沿って、サイバーセキュリティ対策をとりまとめている部署がアセスメントを実施してきました。今回、新たな選択肢の一つとして、日立ソリューションズの「工場向けセキュリティアセスメント」を検討。モデルケースとしてATM製造拠点で実施したアセスメントに手応えを得て、各工場への展開の可能性を探っています。
この事例に関するソリューション・商品
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背景
過去の教訓から工場セキュリティを強化
モノづくり戦略本部 DX推進部 担当部長佐藤 元幸 氏
1910年の創業以来、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、事業を通じてお客さまと社会の発展に寄与してきた株式会社日立製作所。データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現し、人々の幸せを支える社会イノベーション事業を多様な業種でグローバルに推進する同社は、こうした取り組みに貢献するITへの変革を促すため、経営の求める成長・スピード・効率を実現するデジタル経営基盤構築を進めています。DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速する基盤やツールの整備・導入もその一環です。
日立グループ全体のDXの流れを受け、製造現場でもDX推進が進んでいます。そして、DXと切り離せない関係にあるのがサイバーセキュリティ対策です。遠隔監視やIoT、AIの活用など、データ収集を必要とする仕組みの導入が進み、工場の制御システムが外部ネットワークに接続するようになったことで、攻撃に遭うリスクは増加しています。レガシーシステムの場合にはインターネット接続によるリスクを回避するため、オフラインで利用されるケースもありますが、その場合でも、分析用データの取得やメンテナンスの際に、外部記録媒体を介してマルウェアが侵入するリスクがあるのです。製造現場が攻撃の標的になれば、生産ラインがストップする可能性もあり、被害総額は大きく膨らみます。そのため、日立グループでは、製造現場のサイバーセキュリティ対策を強化してきました。
取り組み
自社主導のセキュリティアセスメントを再考
日立製作所ではこれまで、同社の工場セキュリティガイドラインにしたがって、各工場が具体策を講じるとともに、サイバーセキュリティ対策をとりまとめている部署による定期的なアセスメントを通じて、正しく運用されていることを確認してきました。日立製作所で製造現場のサイバーセキュリティ対策をとりまとめている佐藤氏は、「日立ソリューションズから『工場向けセキュリティアセスメント』のご紹介を受け、どのような点に着目してアセスメントを実施されるのか、当社が実施している内容と大きな差があるのかを確認してみたいと考えました。というのも、我々主導でアセスメントの実施を進めているものの、日立グループ全体でみると、対策も含めまだ道半ばという工場がいくつかあるわけです。海外の工場もありますし、長期的にみて我々だけではとても全体をカバーしきれないため、今後各工場に紹介できるサービスの一つとして検討してみることにしたのです」
同社が着目した日立ソリューションズの「工場向けセキュリティアセスメント」は、単純にチェック項目にしたがって評価するのではなく、お客さまの事業や業務内容、業務環境を把握したうえで、セキュリティリスクを抽出し、対策の優先度付けを行います。また、抽出したリスクについては対策案をまとめるだけではなく、お客さまの実体に合った具体的なソリューションをご提案することが可能です。
効果
ATM製造工場でのアセスメント実施に手応え
同社は日立ソリューションズの「工場向けセキュリティアセスメント」を評価するにあたり、日立グループが抱える工場の中で最もセキュリティレベルの高いATMの製造拠点を選択。依頼を受けた日立ソリューションズは、2024年11月から12月の2カ月間にわたり情報収集・分析作業を行い、2025年1月に分析結果の報告を行いました。
「高い専門知識を持つセキュリティのエキスパートがアセスメントを実施してくれるので、内容に不足はなく満足しています。事前のヒアリングや複数回にわたる打ち合わせを通じて、工場ならではの事情を考慮したアセスメントを実施してもらえることがわかり、安心感がありましたし、現場からの質問にも速やかに対応いただけました」(佐藤氏)
日立製作所のように巨大組織を抱えるグローバル企業の場合、工場のサイバーセキュリティ対策をとりまとめている部署が存在するケースもあります。当然ながら、アセスメントを実施する第三者と、とりまとめ部署の主張が対立すると、アセスメントは進めにくくなります。したがって、「第三者にアセスメントを任せる場合、工場ならではの事情を加味するとともに、とりまとめ部署の意見をいかに尊重できるかが重要なポイントになります。日立ソリューションズには、この点に十分に配慮しながらコミュニケーションしていただいた印象です」と佐藤氏は振り返ります。
また、日立製作所の工場セキュリティガイドラインを考慮したうえで網羅的にアセスメントが実施されたことについて、「今まで当社で実施してきた内容が正しかったことの裏付けにもなり、自信につながりました。さらに、今回の工場に限らず、ほかのどの工場に対しても問題なく適用できそうで、アセスメントをお任せしやすいと感じました。工場によってはセキュリティアセスメントにまで人的リソースを確保できない現状があるため、日立ソリューションズの支援に頼るのも一つの選択肢になりそうです」と期待をのぞかせます。
展望
各工場でのアセスメントに新たな選択肢
分析結果の報告が完了し、次の段階では日立ソリューションズから改善策のより具体的な提案が行われる予定です。モデルケースとなるATM製造拠点で手応えを得て、ほかの工場への展開の可能性も見えてきています。
佐藤氏は、「最終報告の中でも今後の改善策には触れられていましたので、まずはそのレベルでも十分満足しています」としつつ、「提示された改善策を具体化するにあたり、幅広いソリューション群と豊富な事例を持つ日立ソリューションズの知恵を借りられるのは心強いですね。また今後は、新しい機器を導入するといったような、セキュリティに関わる環境変化があったときに、最新のセキュリティ動向をふまえた具体策を一緒に考えてくれる相談先としても期待しています」と語ります。
工場にとってセキュリティ強化は喫緊の課題。多様なセキュリティ課題にワンストップで伴走支援できるパートナーの存在は、大きな強みとなりそうです。
株式会社日立製作所
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 | ![]() |
|---|---|---|
| 設立 | 1920年2月1日 | |
| 従業員数 | 単独28,111名、連結268,655名(2024年3月31日現在) | |
| 事業内容 | ソフトウェアサービス事業、情報処理機器販売事業 | |
| URL | https://www.hitachi.co.jp/ |
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本事例の内容は2025年6月3日公開当時のものです。
最終更新日:2025年6月3日


