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2022.05.31

自動運転、「レベル3量産時代」に突入 企業はどう立ち向かうべきか

レベル3量産時代、企業はどう立ち向かうべきか

自動車メーカーはどう動くべきか?

レベル3量産時代を迎え、各自動車メーカーはどのような戦略を採っているのか。ホンダやメルセデス・ベンツのように前向きにレベル3開発を進めているメーカーもあれば、急がず慎重に開発を進めているメーカーや、レベル3は開発せずレベル4に注力しているメーカーもある。

慎重派の多くはほぼ実用域のレベル3技術を有しているものの、さらなる技術の向上や社会受容性の向上、法環境のさらなる整備などを理由に、「見」の立場をとっているように感じる。

ただ、ホンダに加えダイムラーなどがレベル3を実用化し、世界各地で社会実装が始まれば社会受容性は大きく向上し、安全状況を見極めて速度制限などの規制も徐々に緩和される可能性が高い。その際に出遅れることがないよう、状況を見極めながら水面下でしっかりと開発を続けていくものと思われる。

また、スウェーデンのボルボ・カーズやフォードのように、レベル3を開発せずレベル4に注力しているメーカーも存在する。手動運転と自動運転が混在する危険性を考慮し、レベル3を飛び越えレベル4の開発を進めているのだ。

サービス用途のレベル4車両の開発を進めた方がビジネス的に優位性を発揮しやすい面もあるため、各社の戦略が分かれるところだ。

システム開発企業はどう動くべきか?

では、自動車産業を取り巻くシステム開発企業などはどう動くべきか。レベル3車両には、核となる自動運転システム以外にも必要とされる技術は山ほどある。

例えば、ドライバーの状態を的確に監視・把握し、注意喚起や車両制御を行うドライバーモニタリングシステム(DMS)や、コネクテッド化された自動車を外部からの不正侵入から守るサイバーセキュリティはレベル3に必須の技術だ。

これらの技術はレベル4以降にも通じるほか、高度化が進むADASにおいても今後重要視される技術となる。すべての車両がコネクテッド化され、ハンズオフ運転を可能にする乗用車が増加していくためだ。

近年注目度が高まっているドライブレコーダーも、大きなポテンシャルを有する。車両周囲の状況を監視・記録する従来の役目はもちろん、車内カメラによるDMS機能や簡易ADAS機能なども実現域に達している。

「課題を明確にする」という視点

今後は、カメラの画像データの有効活用にも注目が集まるところだ。リアルタイムのプローブ情報として道路交通情報を構築可能なほか、高精度3次元地図の作製・更新への活用にも期待が寄せられている。ドライブレコーダーをセンサーとして捉えることで、その可能性が大きく広がっていくのだ。

また、車内の移動時間の過ごし方にも注目すべきだ。現在、通信技術の高度化とともに車載インフォテインメントシステムの高度化が進んでおり、スマートフォン連携などの機能はもはやスタンダードなものとなっている。

レベル2までの車両においては、あくまで運転操作の邪魔にならないものや他の乗員向けのコンテンツが主流となるが、レベル3はドライバーも運転操作から解放されるため、より多彩な機能を活用できる環境が生まれるのだ。

こうしたサービスは、自動運転技術の高度化に伴って拡大していくことは間違いない。将来を見越し、さまざまなサービスを提供可能なコックピットシステムや車載インフォテインメントシステム、車中エンタテインメント向けのプラットフォームなどの開発も求められるところだろう。

異業種企業はどう動くべきか?

レベル3、レベル4、レベル5と自動運転技術が高度化していくのに伴い、ドライバーや乗員の車内における行動や車内空間は自由度を増していく。運転からの解放は、車内の移動時間に自由をもたらすのだ。

言い換えれば、こうした移動時間は「可処分時間」となり、その有効活用が求められていくことになる。どういった機能・サービスが需要を喚起することができるのか、またそこから逆算し、レベル3で実現できることは何か――といった観点でビジネスチャンスを探っていく視点を持つことが肝要となりそうだ。

レベル3は自動運転の入門編、未来を見据えた開発を

レベル3は自動運転の「入門編」と言える。ここから速度域や走行エリアなどのODDを広げ、精度をいっそう高めていくことで自動運転技術はさらなるレベルアップを図っていくのだ。

つまり、レベル3はレベル4やレベル5といった将来技術に直結するものであり、付随する車載インフォテインメントシステムなども同様にレベル4以降を意識したものへと進化を遂げていく。

現在目の前にあるものに留まらず、また既存の自動車の概念に縛られることなく、将来実現する未来から逆算したシステム開発がよりいっそう重要性を増していくことになる。シミュレーション技術やモデルベース開発など有効な開発手法を積極的に導入し、未来を見据えた研究開発が求められることになりそうだ。

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