日立ソリューションズは、お客様の全体最適の視点で豊富なソリューションを組み合わせて提供する『ハイブリッド インテグレーション』を実現します。

ニュースリリース

2014年11月25日
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
株式会社日立ソリューションズ

NCNPと日立ソリューションズが「Remudy WEB患者情報登録システム」の運用を開始

 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、総長:樋口輝彦)と株式会社日立ソリューションズ(東京都品川区、取締役社長:佐久間嘉一郎)は、NCNPが2009年に開始した神経・筋疾患の患者情報登録システム「Remudy」をWEB上で実現する「Remudy WEB患者情報登録システム」を共同開発し、11月26日より運用開始します。
 本システムは、NCNPの臨床研究や「Remudy」の実績と、日立ソリューションズの匿名化情報管理サービス「匿名バンク」を適用して構築したものです。インターネットを通して患者主体で遺伝情報を含む病気の情報を登録し、これらの情報を匿名化して活用することで、希少な難治性疾患を克服する治療法や創薬の開発に役立てられます。
 また、2015年3月末までに、日立製作所横浜研究所の検索可能暗号化技術を本システムに適用してセキュリティを強化し、NCNPと日立ソリューションズは複数の研究機関や医療機関が公平に情報活用できるシステムを提供します。

希少疾患の治療法開発や創薬には、正確な疫学情報と臨床試験の参加者を速やかに集める仕組みが必要です。その仕組みとして、NCNPは2009年に神経・筋疾患を対象とするナショナルレジストリー「Remudy」を開始しました。
 「Remudy WEB患者情報登録システム」は、患者さんがWEB上で情報を登録や更新することを可能にします。また、登録された患者さんは、このシステムを通じてよりタイムリーに研究や臨床試験に関する情報を受け取ることができます。

本システムの導入は、2012年から始まった筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(MDCTN)との連携によって、国際的な治療開発や臨床研究の推進にも大きく貢献するものです。
 NCNPでは、「Remudy」のノウハウを活かして開発された本システムを広く他の疾患へ応用することを進めており、希少な難治性疾患の治験や新しい治療法の開発、病態解明が一層進むものと期待されます。
 日立ソリューションズは、今後、システムの共通機能のモジュール化や検索可能暗号化技術の適用によって、クラウド上でシステムを提供し、他疾患への応用を支援していきます。
 全国規模での希少疾患の患者情報登録システムのクラウド運用は、日本のみならずアジア圏においても初の取り組みとなります。

■ 盤石なセキュリティで情報を管理

「Remudy WEB患者情報登録システム」は、日立ソリューションズの「匿名バンク」と日立製作所横浜研究所の検索可能暗号化技術を組み合わせた患者レジストリーシステムです。検索可能暗号化技術は鍵を保有するユーザー(研究機関等)だけが暗号化したまま情報を検索し、検索結果を復号することができる技術です。
 これらの技術により、個人情報や臨床情報が匿名化した状態でクラウド上に情報を保管できるようになり、高いセキュリティと堅牢なデータセンターでの情報管理によって、臨床研究に関する倫理指針に準じた情報活用が可能となります。

■ 機能やデザインの標準化により、他疾患への展開を可能に

患者情報の登録機能や画面デザインなど、疾病に関係なく共通する部分を標準化することで、短時間で他の疾患のレジストリーシステムへ応用することが可能となりました。

図:Remudy WEB患者情報登録システムの仕組み
Remudy WEB患者情報登録システムの仕組み

■ Remudyの活用について

Remudy WEB患者情報登録システムの仕組み
表1.Remudyの患者登録数推移
(デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー)

「Remudy」はジストロフィノパチー(ジストロフィン異常による筋ジストロフィー)患者のための情報登録システムです。2014年10月現在、登録患者数はデュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィーで1,322名(表1)、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーで157名となっています。
 神経筋疾患の多くは希少な難治性疾患であり、その根本治療法の開発が待ち望まれています。NCNPでは、これまでに「Remudy」の患者情報を活用し、以下のような研究を行っています。

1. 核酸医薬品の開発

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは遺伝子の変異により筋線維の膜を保護するジストロフィン・タンパク質が失われることで発症する病気であり、日本では出生男児3,500人に一人の割合で発症し、筋力低下からやがて死に至る最も頻度の高い重篤な遺伝性筋疾患です。これまでにデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬として、アンチセンス核酸医薬品が開発されており、2013年7月より医師主導治験がスタートしています。これ以外にも様々な国内・外で国際共同開発に、「Remudy」に登録された患者さんの情報が役立てられています。

2. 筋ジストロフィー臨床試験ネットワークによる多施設共同治験

2013年2月、全国規模で臨床試験を行い、情報を共有する「筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク」が発足され、多施設共同による医師主導治験が行われています。「Remudy WEB患者登録システム」は、本ネットワークにおいても、希少疾患の治療法開発の推進を図るためにその活用が期待されています。

3. 筋ジストロフィーに対するステロイド治療の長期効果を立証

2013年10月、NCNPでは「Remudy」に登録されたデータの詳細な解析を行い、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するステロイド治療が歩行可能期間を延長していることを明らかにし、その研究成果をJournal of Neurologyに発表しました。これは筋ジストロフィー患者に対する治療薬の長期効果を検証した初めての臨床研究であり、患者登録制度を活用した研究としても世界で初めてとなります。

■ システムに関するお問い合わせ

<商品・サービスに関するお問い合わせ先>

URL: https://www.hitachi-solutions.co.jp/inquiry/   Tel:0120-571-488

<報道機関からのお問い合わせ先>

担当部署:ブランド・コミュニケーション部 広報・宣伝グループ
担当:安藤
TEL:03-5479-5013  E-mail:koho@hitachi-solutions.com

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