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【平成の世にサムライを探して】東京大学 大学院理学系研究科物理学専攻 准教授 浅井祥仁「ついに発見されたヒッグス粒子。その謎に迫る この世のすべての物質を形成する『神の素粒子』

2012年7月、ジュネーブの研究施設において新しい素粒子が発見された。すべての物質に質量を与えることから「神の素粒子」とも呼ばれるヒッグス粒子である。宇宙の起源を解き明かす鍵になるとも言われているこのヒッグス粒子研究の最先端に立つ東京大学の浅井祥仁氏に話を聞いた。

存在するものを構成する最小単位

浅井祥仁(あさいしょうじ)プロフィール

1967年石川県生まれ。
95年、東京大学理学系研究科物理学専攻博士課程修了。
素粒子物理国際研究センターの助教授などを経て、2007年より現職。スイスのCERN(欧州合同原子核研究機構)の実験に参加する日本人グループの物理解析責任者を務める。

※黒字=浅井祥仁 氏

── はじめに、「素粒子とは何か」ということをご説明いただけますか。

一言で言えば、「この世界に存在するものすべてを構成する最小単位」ということになります。素粒子の「素」とは「これ以上分解できない」という意味です。分解できないということは、大きさが無いということです。大きさをもたない「粒」とでも言えばいいのでしょうか。

これまでに見つかっていた素粒子は、大きく分けて二種類、つまり、物質を形作っている素粒子と、力を伝える素粒子でした。2012年の7月に発見されたヒッグス粒子は、それらとはまったく違う、三種類目の素粒子ということになります。

── 大きさが無い素粒子が物質を構成しているのですか。

そこが難しいところです。素粒子は大きさをもたない粒と考えて下さい。しかし同時に「波」でもあるんです。通常は波のように広がっていて、ある瞬間には粒として見える。それが素粒子です。波として広がっているという点から考えれば、大きさはあるということになる。その波によって物質が構成されている。それが量子力学の考え方です。

── 難しいですね(笑)。

難しいです(笑)。これはもう常識的には「分からない」と言うしかありません。「分かった」と言う人がいたら、それは嘘です。分からないけれど、とりあえずそういうことにしておこう。そう考えるのが、量子力学という学問です。

すべての物質を生み出した素粒子

── なるほど。では、次にヒッグス粒子とは何か、について教えてください。

難解な質問にも丁寧に説明を続ける浅井氏
難解な質問にも丁寧な説明を続ける浅井氏

素粒子は量子力学の原理から言うと、質量、つまり重さをもちません。理論的にもってはならないんです。しかし、現実的には素粒子は物質を形作っているわけですから、その点では質量は存在することになります。この問題をどう考えればいいか。

現代物理学の答えはこうです。素粒子自体に質量は無い。しかし、ある作用が働くことによって、質量があるように見える。では、その作用を与えるものは何か。それこそがヒッグス粒子である──。

ですから、ヒッグス粒子は、物質を形作る素粒子とも、力を伝える素粒子とも異なる、まったく新しいカテゴリーの素粒子というわけです。ヒッグス粒子が見つかった時、多くの報道は「17番目の素粒子が見つかりました」といった表現をしていました。しかし、そんなに簡単な話ではないんですよ。

── 「ヒッグス粒子が質量を与える」ということについて、もう少しご説明いただけますか。

今回の発見の最大のポイントは、真空の中に「ヒッグス場」というものが満ちているということです。その「場」を通過することによって、大部分の素粒子に重さが与えられるわけです。そしてその「場」に非常に強いエネルギーを加えると、粒がポンと出てくる。それがヒッグス粒子です。

浅井氏(東京大学構内 時計台を背景に)現在、宇宙にどのくらいの物質があるかご存知ですか。重さにして、10の54乗キログラムくらいです。宇宙は無から誕生しました。何も無いところから、これほど膨大な物質が生まれたわけです。しかし、素粒子自体には質量が無い。質量が無ければ、物質を形成することはできません。その質量を与えているのがヒッグス粒子です。従って、この世のすべてのものはヒッグス粒子によって形成されたと言っても過言ではありません。それが、ヒッグス粒子が「神の素粒子」と呼ばれている理由です。

── ヒッグス粒子の発見は、しばしば「発見」とカギ括弧付きで表現されています。まだ、発見と断言することはできないということなのでしょうか。

ネガティブな意味で、「発見」と表現しているわけではないんです。何かが新たに発見されたことは間違いありません。ヒッグス粒子と思われるものが見つかった。これは揺るがぬ事実です。しかし、それが50年前に仮説として提唱されたヒッグス粒子そのものなのか、あるいはそれ以上の何かなのかは、さらに調査を繰り返さないと分からないのが現状です。ヒッグス粒子であると思われる、しかし、さらにすごい何かかもしれない。そういうポジティブな意味が「発見」という表現には込められていると考えてください。

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