アトラシアン(Atlassian)社製品の導入事例
NTT東日本株式会社様組織横断でプロジェクトの業務状況を統合的に可視化し、限られたリソースで事業拡大をめざすための改善を推進
通信業界のリーディングカンパニーであるNTT東日本グループ。その事業を支えるプライベートクラウドの開発・運用を手がける先端テクノロジー部では、限られたリソースで事業を拡大していくうえで、業務フローのモダナイズが課題となっていました。解決に向けて「Atlassian Cloud」を導入した同社は、組織横断での各プロジェクトの業務状況を可視化。業務量の平準化や業務の効率化に向けた取り組みに加え、次年度に向けた工数算定や採用の検討にも影響力を持つようになっています。
この事例に関するソリューション・商品
背景
業務フローのモダナイズに向けテコ入れ
先端テクノロジー部 クラウドサーバ技術部門 次世代デジタルPF担当 チーフ中島 共生 氏
「地域の未来を支えるソーシャルイノベーション企業」として、最先端のICT技術を生かした新たなサービスの開発・販売、通信回線や基幹ネットワークの構築・運用、グループの事業戦略立案・推進を通じて、地域の企業や自治体の課題解決を支援し、安心・安全かつ活力ある地域社会の実現に貢献してきたNTT東日本。
近年複雑化するさまざまな地域課題を最先端の技術で解決するために、2023年10月、社長直結組織として新設されたのが「先端テクノロジー部」です。同部のミッションは、次世代デジタル基盤の開発を通じて、世界の最先端技術をより広く効果的に活用できる環境を整備し、地域のお客さまのイノベーションや価値創造を支援すること。その実現にあたり、NTT東日本グループの事業を支えるプライベートクラウドの開発・運用や、地域に向けた取り組みの一環として、安価かつ高品質な地域エッジクラウド タイプVのサービス提供などを行っています。
また仮想基盤は、数千台の物理サーバーと、数百以上のシステムで構成されるミッションクリティカルな環境です。今後も拡張を計画しており、業務フローのモダナイズが不可欠でした。そこで、テコ入れの対象となったのが、プロジェクト単位での開発の進捗管理業務と、基盤の維持管理業務です。後者には、社内からの問い合わせ対応も含まれます。
「以前は Excel ベースでプロジェクトを管理しており、全体を俯瞰できないだけでなく、各プロジェクトのステータスや業務状況を可視化できないことが一番の問題点でした。忙しくて大変ですと言われたときに、 Excel 上でタスクの数はカウントできても、はたして人が足りているのか足りていないのかを客観的に判断する術がなかったのです」と中島氏。また、問い合わせの場面では、「個人の属人的な判断で、業務報告用に使用している『 Microsoft Teams 』のチャット機能で直接担当者に連絡して解決するケースも多く、問題発生の記録があちこちに分散してしまっていました。おそらく管理しきれていない情報もあったのではないかと思います」と石井氏は説明します。
取り組み
業務状況を統合的に可視化する仕組みを構築
先端テクノロジー部 クラウドサーバ技術部門 次世代デジタルPF担当石井 壯幸 氏
「Atlassian Cloud」の導入は、課題解決に向けた選択のひとつでした。同社は、各プロジェクトの管理業務に「Jira」を活用するとともに、「Jira」と「Confluence」との自動連携によりプロジェクトに関連する情報を「Confluence」上に集約。問い合わせ対応を含む維持管理業務には、ITSMプラクティスに必要な機能を備えた「Jira Service Management」を活用し、ポータル画面を通じた問い合わせの受付から、その内容の記録、担当者のアサイン、関連部門への連絡まで、リクエストに関わる情報を一元管理できる環境を構築しました。
また、「Atlassian Cloud」自体の運用において、IPアドレスの制限、二段階認証などによるセキュリティの向上が求められることから、Atlassian製品のセキュリティを強化する「Atlassian Guard」を利用。「 Microsoft Entra ID 」との連携により、シングルサインオン(SSO)の適用、製品にアクセス可能なIPアドレスの制限を実現しています。
「主に開発業務と維持管理業務という大きく2つの特徴的な業務があるなかで、1つの組織として全体を一元管理できる仕組みを実現することを重視しました。2つの業務に関するタスクの稼働状況を『Confluence』が統合的に可視化してくれる点が、当社の業務スタイルにマッチしていると感じました」と語る中島氏は、Atlassian Pty Ltd(本社:オーストラリア・シドニー、日本法人:アトラシアン株式会社)の「Service Management Specialization」にも認定されている日立ソリューションズの印象をこう評価します。
「ドキュメントベースで知識を伝えてくれるベンダーは少なくありませんが、実践ベースでのナレッジが非常に豊富で、導入にあたっての推奨事項や注意事項を的確にアドバイスしてくれました」
はじめは困ったらすぐ相談していたという石井氏も、「当社側でのナレッジの蓄積を意識しながらサポートしてくれたことで、日立ソリューションズにすべてをお任せするのではなく、定着化に向けて効果的に進められました」と振り返ります。
効果
業務負荷の分散に向けた検討が加速
同社が「Atlassian Cloud」の導入を通じて最も実現したかったことのひとつが、業務状況の可視化です。実際、特定の組織の業務フローを「Jira」のフローに乗せることで、同社が求めていた情報が可視化されつつあるとして、中島氏は、「『Jira』に蓄積されたデータの分析にも着手しており、特定の部門への業務量の偏りに早い段階で気づき、負荷を分散するための対応を検討する動きも生まれています。可視化の効果は、エグゼクティブレポートにも反映され、次年度の工数算定や採用計画に影響を与えています」と手応えを語ります。
また、「Atlassian Cloud」の導入をきっかけとしたワークフローの自動化推進により、効率化された業務は少なくありません。細かい部分では、「『Jira Service Management』のアセット管理機能が重宝しています」と石井氏。「新しい担当者が着任したタイミングでアセットの申請画面からボタンを1つ押すだけで、検証環境上に自動的に仮想マシンが作成されます。この例のように、『Jira Service Management』を仲介役として運用フローの自動化を進めるケースが増えつつあります」
展望
さらなる活用に向け生成AIの実装を計画
今後もますます「Atlassian Cloud」の活用を拡大していくという同社。特に生成AIの動向から目が離せないとして、「『Atlassian Cloud』で可視化された業務負荷を軽減するために、AIをどこにどう実装すべきかを検討していきます。まずは、『Jira Service Management』において、生成AIによる回答の自動作成やFAQの自動生成から着手する計画です。問い合わせ内容に応じて適切な担当部署へ自動的に誘導する機能など、生成AIによる業務支援の可能性を模索しています。一歩踏み出した活用を取り入れていくには、これからも日立ソリューションズの力添えが必要不可欠だと考えています」と中島氏。
また、「『Atlassian Cloud』は使い勝手が良く、現段階でも非常に満足度が高いのですが、製品そのものもさらに進化し続けていくと思います。これまでも日立ソリューションズの豊富なナレッジに助けられたり、当社に代わって調査してもらうなど、自力では追いきれない情報を提供いただきながら進めてきたので、さらなる機能拡充に向けて知恵をお借りしたいですね」と石井氏が語るように、導入と定着化を支えてきたパートナーとの二人三脚に期待を寄せています。
NTT東日本株式会社
| 所在地 | 東京都新宿区西新宿3-19-2 | ![]() |
|---|---|---|
| 設立 | 1999年7月1日 | |
| 従業員数 | 4,708名(2024年3月31日現在) | |
| 事業内容 | 東日本地域における地域電気通信業務及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務 | |
| URL | https://www.ntt-east.co.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2025年12月9日公開当時のものです。
最終更新日:2025年12月9日


