Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例
日立建機株式会社様海外グループ会社のERPを「 Microsoft Dynamics 365 」で刷新。確実なグローバル展開と安定稼働、データ一元化を実現
建設機械の世界的なメーカーである日立建機は、海外の売上比率が8割を超えるグローバル企業です。同社は日立ソリューションズグループの支援のもと、海外グループ会社の基幹業務向けERPシステムを「 Microsoft Dynamics 365 」に刷新し、アジアをはじめとする各国の拠点へ展開しました。基幹業務を支えるとともに、基盤が統合されたためデータが一元管理できるようになり、グローバルでの経営可視化やデータ分析が実現しました。

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背景
海外グループ会社のERPを刷新

尾中 孝行 氏
油圧ショベルやホイールローダ、ダンプトラックをはじめとする建設機械の製造・販売を柱とする事業をグローバルで展開する日立建機株式会社。海外の売上比率は85%に上ります(2024年度上期実績ベース)。同社は、顧客の建設機械の稼働や点検の状況などを包括的に管理するサービス「ConSite」を代表に、ITの有効活用にも注力しています。
日立建機は1990年代から海外展開を本格化し、アジア、オセアニア、アフリカ、中東、欧州、北米へビジネスを拡大していきました。そのなかで、海外グループ会社の販売代理店や卸売業者向けに会計とSCMを軸とするERPシステムを導入してきましたが、2015年、老朽化などを理由にシステム刷新を検討しました。そこで、パッケージを核に構築する方針を立て、製品選定を進めました。
「原価や利益などの情報を建設機械1台ごとに管理できるなど、必要な機能を満たすことが大前提でした。くわえて、安定して長期間使用できること、グローバル展開しやすいことを重視しました」と尾中氏は要件について話します。さらに、海外グループ会社のデータを一元管理できる基盤の整備も視野に入れました。
検討の末、決定したのが「 Microsoft Dynamics 365 」です。「実績豊富なメジャー製品なので、海外各地で技術者やコンサルタントを確保しやすい点がグローバル展開に適しており、サービスの永続性の面でも安心できました。テンプレートを日本の本社で開発し、海外の各拠点へ順次展開していくことにしました」(尾中氏)
取り組み
現地の信頼を得たのち、導入を開始

伴 正宏 氏
今回のシステム構築とグローバル展開を全面的に支援したのが、日立ソリューションズと日立ソリューションズアジアパシフィックを主とする日立ソリューションズグループです。
伴氏は選定理由を「グローバル展開における強みが信頼できました。特定の国や地域に偏らず、世界の全領域を柔軟にカバーできることが魅力でした」と語ります。
同プロジェクトは2017年からテンプレート開発とインフラ設計・構築を始めました。「最初はクラウドのネットワークやセキュリティ、マルチテナント化などの設計に悩みましたが、日立ソリューションズグループのアドバイスのおかげで適切な判断ができました」と伴氏は振り返ります。野尻氏も「日立ソリューションズグループは『 Dynamics 365 』に精通しているうえ、当社と海外グループ各社の業務を深く理解してくれたので、齟齬なくシステム化できました」と話します。
新たなERPシステムは「IDMS」(Importer Dealer Management System)の名称で、2018年からオセアニアをはじめグローバル展開に取りかかり、日立建機とともに日立ソリューションズグループの担当者も一緒に現地入りして導入を支援しました。
「私は海外拠点に赴くといつも、さまざまな国籍のプロジェクトメンバーに対して、まずは私という人間を知ってもらうことを心掛けています。『同じ釜の飯を食った仲間』となり、一緒にやり遂げようという一体感を醸成してからシステム導入を進めます。日立ソリューションズグループの担当者も同様に、現地の社員とうまくコミュニケーションを取っていたので、円滑に進められました」(野尻氏)
当初は他ベンダーが担当し、スケジュールが大幅に遅れていた国で、日立ソリューションズグループが途中から立て直したなど、リカバリー力の高さも評価しています。柔軟性についても「販売代理店は各国で業務プロセスが少しずつ異なるのですが、問題なくすべてに対応してくれました」(野尻氏)と信頼を寄せます。
ほかにも、現地と日本で密に連携し、ガバナンスを効かせて導入できた点、テーラリングの巧みさなどでも、日立ソリューションズグループの実践力を感じたといいます。
効果
日系企業としても満足の品質でのグローバル展開を実現

野尻 尊之 氏
IDMSのグローバル展開は2024年10月の時点で17拠点が完了しました。尾中氏は次のような手応えを得ています。
「海外の各拠点で日系企業としても満足の品質が確実に導入できたことがまず何よりも大きいですね。当グループ全体で業務プロセスを効率化する礎を築けました。本社のチームの人数を増やすことなく、展開先の国を増やせたのも出色です」(尾中氏)
本稼働後は、日立ソリューションズグループのグローバル保守サービス「G-AMO」を利用しながら、安定稼働を続けています。
「24時間365日止められない基幹システムとして、世界各国で稼働し続けています。日立ソリューションズグループは導入後についても、人員配置など当社の運用サポート体制の最適化まで考えてくれました」(伴氏)
野尻氏も安定稼働による手離れの良さとともに、「開発時もあまり苦労しませんでした。日立ソリューションズグループは1人ひとりの底力が強く、対応も早いので安心できました」と技術力を評価します。
IDMSでシステム基盤が統合・標準化されたことで、海外グループ会社のデータを一元管理できる基盤整備が実現しました。
「日本本社で海外各拠点のデータを取得でき、経営の可視化がグローバルで可能になりました。くわえて、日本本社でも各拠点でもBIによる分析など、データ活用を進めています。海外拠点でも評判が良いですね」(尾中氏)
展望
AI活用などでシステム最適化を推進
今後はカナダなど、ほかの国へのIDMS展開を順次進めていきます。並行してシステムの拡張や最適化も実施していきます。
「グローバルECサイトの構築、『 Dynamics 365 』の『Intelligent Order Management』を用いた高度なSCM改革などを、日立ソリューションズグループと一緒に取り組んでいきたいですね」(尾中氏)
その一例がAI活用です。伴氏は「ユーザーサポートの一環として、AIチャットボット導入を構想しています。ほかにもデータ分析などにAIを幅広く活用したいですね」と展望を述べます。
同社のグローバル展開を、日立ソリューションズグループはこれからもITの力で支えてまいります。
日立建機株式会社
所在地 | 東京都台東区東上野二丁目16番1号 | ![]() |
---|---|---|
設立 | 1970年10月1日 | |
従業員数 | 連結:26,230名 単独:5,862名 | |
事業内容 | 建設機械・運搬機械及び環境関連製品等の製造・販売・レンタル・アフターサービス | |
URL | https://www.hitachicm.com/global/ja/ |
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本事例の内容は2025年5月14日公開当時のものです。
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最終更新日:2025年5月14日