セイコーエプソン株式会社様 活文 Document Rights Managerの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

活文 Document Rights Managerの導入事例

セイコーエプソン株式会社様

※「活文 NAVIstaff」は「活文 Document Rights Manager」に名称が変わりました。本事例内容は公開当時のものです。

競争力となる機密情報の流失を防ぎ、強固なセキュリティを確保する環境を「活文 NAVIstaff」で実現

セイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)は、1942年の創業以来、「創造と挑戦」の気風を尊重しながら事業を展開してきた情報関連機器分野のリーディングカンパニー。プリンティング領域を中心にプロジェクターやデバイス・精密機器などの製造をワールドワイドに展開しています。
“Exceed Your Vision(お客様の期待や想いを超えること)”というグローバルタグラインを掲げ、独創的なコア技術を強みにしている同社にとって、新製品に関わる情報流出は業績を左右しかねない問題です。そこで、IRM(Information Rights Management)の観点から「活文 NAVIstaff」を導入し、機密情報の流出防止に取り組みました。

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導入の背景と課題

海外の生産工場からの機密情報流出というリスク認識を背景に

只野 明氏IT推進本部 情報化推進部 課長
只野 明氏

エプソンでは、コア技術を活かしたワールドワイドな事業展開はもちろん、生産・販売・R&Dのそれぞれにおいて強力なグローバル体制を構築しています。リードタイム短縮やコスト競争力の強化などを目的に海外での生産が進められていますが、ここには“機密情報の流失”という大きなリスクが潜んでいるのです。それは、エプソンから国内外の生産工場へ設計情報を受け渡すとき、安全・確実に情報が届いていることに加え、使用後はきちんと破棄されているかどうかということ。もちろんパートナー企業と機密保持契約を結んでいるものの、日々発生する大量の電子データの中に何気なく埋もれ、機密情報が漏れてしまう危険性がないとは言えません。

紙を含む文書管理の統合化を検討する中、全社的なIRMの必要性も浮かび上がりました。2009年4月、総務部門や関係部門と情報化推進部門が一体となって、社員のマインド醸成も含めて情報セキュリティ対策のプロジェクトが立ち上がりました。企業競争力を担保するという重要な対策に、慎重に検討が進められた結果、特に一般的な電子情報と重要な電子情報とではコストのかけ方や管理の仕方を区別するべきだという結論に達し、これを実現するための具体的な製品検討が始まりました。

製品選定の経緯

グローバル利用での優位性をはじめ、数々の優れた機能を高く評価

風田川 哲史氏IT推進本部 情報化推進部
風田川 哲史氏

製品の検討においては、以下の3点を重視しました。

(1)強固なセキュリティ環境を実現できるか
(2)10年後も復号化できる安定性があるか
(3)グローバルな利用に適しているか

まずは製品情報などの資料ベースでスクリーニングしました。候補に残ったのは3社。各社の製品を詳細に比較・検討した結果、最終的に日立ソリューションズの「活文 NAVIstaff」を導入することに決定しました。決定理由は、上記3点を十二分に満たす機能を備えていたからです。

第一の強固なセキュリティ環境の実現においては、暗号化したファイルであれば公開・配布後もアクセス権限と操作権限を動的にコントロールでき、万一流出が生じた場合でも閲覧不可にできるなどのドキュメント統制機能が格段に優れていました。また復号化の長期的な安定性とグローバル利用の適正の点でも、他社製品にはないメリットがあったことも大きなポイントになりました。エプソンでは、暗号化した機密文書を5年後、10年後に閲覧する可能性を考慮し、暗号化後のデータが製品独自の特殊なフォーマットではなく、パソコンの機種やOS環境に依存しないPDFファイルに変換される「活文 NAVIstaff」のメリットを高く評価したのです。PDFであればAdobe Readerのみで閲覧できることから、社内約3万台のパソコンに新たなソフトウェアを購入・インストールする必要がありません。国内外のパートナー企業にも新たな負担をかけることがない上、エプソンにとっても暗号化プログラムの輸出手続きの負担がない。これも大きなメリットとして受け止められました。

また、「活文 NAVIstaff」はグローバル利用では欠かせないマルチ言語対応ができている点、利用者が頻繁に使う機能だけを1つの画面に集約し利用者が迷うことなく利用できる操作性の良さについても非常に優れていました。

そのほか、「活文 NAVIstaff」ならではの動的な透かし印刷機能も決め手の一つになりました。「機密文書の流出を防止するためには、電子情報だけが守られていればいいわけではありません。権限を持った人間が文書を印刷して外に持ち出す可能性があるからです。『活文 NAVIstaff』では、同一のPDFファイルでも閲覧者によって透かし印刷の内容を動的に変えることができるため、電子情報はもちろん、印刷されて紙になった機密文書の流出も抑止できると高く評価されました」(只野氏)

導入時の取り組み

検討が積み重ねられた文書管理の規定とポリシー設計

導入に当たっては、どの範囲を機密文書とするのかなどの文書管理基準、IRMの基本的な考え方、そして導入計画が検討されました。機密文書の対象範囲は設計情報と決定していましたが、そもそも一口に設計情報といってもドラフト段階の文書のようにグレーゾーンのものもあります。検討の結果、新商品の企画情報やスペック情報、性能仕様書などが保護すべき機密文書として定義し、この定義を基に設計部や事業管理部などにヒアリングしながら、ポリシーの設計を進めました。

プロジェクトでは、意識することなく機密文書が保護されるようにIRM製品が働く仕組みを検討しましたが、機密情報の流失防止対策には社員の意識付けが重要であると、あえて手動によって操作する仕組みにしました。
社員が手動で保護する場合、操作が煩雑では利用を広めることができませんが、「活文 NAVIstaff」の特徴であるユーザビリティの良さが、展開の一役を担いました。

操作性や24時間・365日の運用に向けた構成なども、日立ソリューションズの担当者とともに検討が加えられました。
2010年4月、製品検討から約2年を経て、「活文 NAVIstaff」の運用が始まりました。

導入後の効果

設計者の流出不安を一掃するだけでなく、人的ミスを抑止する効果も

「『活文 NAVIstaff』導入後、設計者から『これでやっと枕を高くして寝ることができる』との言葉を聞き、それまで設計者が持っていた大きな不安感を一掃することができたことを、プロジェクトの一員としてうれしく思いました」(只野氏)

新製品の設計では、スピードと情報の機密性が求められますが、その二つを両立させるのはなかなか難しい。もちろん、従来からパートナー企業との間には信頼関係が築かれていましたが、機密情報の流失は悪意の有無に関わらず起こりうる事態です。「活文 NAVIstaff」の導入で設計者の安心感がいっそう増したのは、情報流失防止の仕組みを確立しただけでなく、暗号化と透かし印刷機能により、従業員の情報の取り扱い意識の向上に加え、プリントアウト時の人的ミスの抑止力としても効果を上げているからです。

2010年9月に1,000ユーザーを追加して全社で運用を開始。さらに2012年5月には利用者数の増加により200ユーザーを追加しました。 「『活文 NAVIstaff』は社内の標準ツールに制定され、更なるIRMの展開に取り組んでいるところです」(風田川氏)

例えば事業戦略などの経営情報や技術開発ロードマップ、販社との共有情報など、新たに運用対象となる機密文書が追加されるに伴い、経営層も含めてユーザーが増加しています。また、当初より考えられていた海外での利用では、アジアや南米などの生産拠点で、設計・製造関係者による閲覧が中心ですが、支社長などが経営情報を閲覧することもあります。

評価・今後の展望

他事業などへの社内利用拡大に加え、協業の可能性も視野に入れて

今後は、二つの方向性を考えています。一つは、当初計画に基づき、設計情報の漏洩防止に更に取り組むという方向です。現在、機密文書となっている設計情報は、企画・立案に関わる開発プロセスの上流に当たるものが中心ですが、設計にはデザインやユーザビリティなどのさまざまなフェーズがあり、これからそれらのフェーズまで広げていくことになります。

もう一つは、対象範囲を拡大する方向です。これは他事業への「活文 NAVIstaff」の活用と、事業をけん引する経営情報などへの活用です。実際に経営情報でも活用したいという声があるほか、販社や営業部門への将来的な展開も見込まれています。

「社内ニーズとしてモバイル対応への期待も非常に高まっています。社員のほとんどが利用するスマートフォンはもはや電話というよりパソコン。そうしたモバイル機器のセキュリティ確保も重要な課題となっているのです。こうしたことからも、強固なセキュリティ環境を実現する『活文 NAVIstaff』のモバイル対応に期待したいですね」(風田川氏)

「実は、私たちの考えでは『活文 NAVIstaff』の利用は社内だけにとどまりません。当社はモノづくり企業として新しいデバイスの開発に取り組んでいますが、今の時代はモノに搭載されるソフトやソリューションが極めて重要です。『活文 NAVIstaff』を搭載するといった形で、当社開発のデバイスの付加価値を高めるため、日立ソリューションズさんには今後ぜひビジネスパートナーとしても協力していただきたいと考えています」(只野氏)

エプソンにおけるドキュメントの流れ イメージ図 エプソンにおけるドキュメントの流れ イメージ図

セイコーエプソン株式会社様

ウオッチ開発で磨きあげた超微細・精密加工技術を基に、プリンターやプロジェクターなどの情報関連機器や電子デバイスなどの多彩な分野に進出し、グローバルに事業を展開している情報関連機器分野のリーディングカンパニー。“エネルギーを省く”、“モノを小さくする”、“精度を追求する”「省・小・精」技術を最大の強みとして、これまで数多くの世界初、国内外におけるトップシェア製品を生み出してきました。今後も、商品やサービスの提供を通じて、毎日の生活にお客さまの期待を超える感動を提供しています。

本社所在地 長野県諏訪市大和三丁目3番5号(本社) セイコーエプソン株式会社
創業 1942(昭和17)年5月18日
代表取締役社長 碓井 稔
従業員数 グループ68,761名/単体11,902名(2013年3月末日現在)
事業内容 情報関連機器、電子デバイス、精密機器、その他の開発・製造・販売・サービス
URL http://www.epson.jp/

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本事例の内容は2013年8月9日公開当時のものです。

最終更新日:2013年8月9日