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株式会社 日立ソリューションズ

共和薬品工業株式会社様 SAPソリューション SAP S/4HANAの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

SAPソリューション SAP S/4HANAの導入事例

共和薬品工業株式会社様

9カ月の短期構築で業務基盤を刷新。日常業務の処理時間を1/2に短縮

精神科・神経内科向けの医薬品を開発・製造・販売する共和薬品工業株式会社は、業務システムの基盤をこれまで使用していたSAP ECC 6.0から「SAP S/4HANA」へ移行しました。業務処理のパフォーマンスが数倍に向上した結果、受注から出荷・請求の業務プロセスは従来の1/2の時間に短縮できました。さらに、業務効率化や企業価値向上をめざすプロジェクトも始まっています。

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課題
導入後
グループ全体で共用のSAPを使用していたため、機能の拡張が困難だった
自社専用の「SAP S/4HANA」基盤完成により、システム変更・拡張の柔軟性が向上
性能不足のため、受注・出荷・請求業務に遅れが発生していた
パフォーマンスが向上し、受注・出荷・請求業務の処理時間が短縮された

背景と課題

共用のSAPを使用していたため機能の拡張や処理速度が課題に

小川 氏ファイナンス・IT本部 IT統括部長
小川 昌彦 氏

1954年に設立した共和薬品工業は、中枢神経系用薬が販売品目の5割以上を占める、精神科・神経内科領域に特化したスペシャリティファーマです。2007年からインドの後発医薬品メーカーであるLupinグループの1社として事業を展開してきましたが、ユニゾン・キャピタルへの株式譲渡によって、2019年12月に再び独立企業となりました。

このときに懸念されたのが、「業務システムを1年以内に切り替えられるか」という点でした。当時の共和薬品工業はLupinグループのSAP ECC 6.0を使用しており、TSAの期限である2020年12月までに新システムを構築して移行する必要があったのです。

「Lupinグループでは、インド本社が運用しているSAP ECC 6.0を他国の子会社でも利用していました。そのため、日本独自の商習慣を踏まえた機能や帳票については、インド本社のシステムにカスタマイズして組み込み、2011年12月から製造・物流・販売・会計などの業務に使用していました」(小川氏)

移行にあたって、小川氏は「新しいシステムを構築するのであれば、これまで気になっていた課題も併せて解決し、現状の業務体制に適合したシステムに刷新したい」という思いを抱えていました。

「特に不自由を感じていたのは、当社がやりたいと思った機能変更や機能拡張をなかなか実現できなかった点です。組織の構造を変えるためにコード体系を変更したいとか、新しい帳票を追加したいといった要望を上げても、他の国の利用者に影響が及ぶという理由から受け付けてもらえないことがありました」(小川氏)

また、インドで稼働しているシステムを日本からネットワーク経由で利用しており、大量データ転送時のパフォーマンスの低さやネットワークの遅延も深刻な問題でした。

「日常の業務である受注から出荷、そして請求業務は、元々ぎりぎりのスケジュールで組まれているため、プロセスのどこかで問題が生じると、すぐに綱渡りの運用になってしまう状況でした」(一柳氏)

* Transition Service Agreement:M&A対象事業・企業の移行期間中におけるサービス提供に関する契約

選定と導入

実現可能性の高さを評価。業務内容の熟知にも期待

一柳 氏ファイナンス・IT本部 IT統括部 サプライチェーンサポート課 課長
一柳 篤志 氏

TSAのリミットまでは1年弱と差し迫っており、共和薬品工業のIT統括部はすぐに新システムの検討に取りかかりました。

絶対的な条件となるのは、新システムが2021年1月には稼働していなければならないということです。そのためには、基盤となるERPは旧システムと同じくSAPを使用し、業務プロセスについては現状と同じにする方針が最適であると判断しました。さらに、この条件を満たしたうえで、「機能変更や機能拡張を自由にできるようにする」「受注・出荷・請求処理に要する時間を短縮する」の2つを目標としました。

「IT統括部にはSAPに詳しい者が何人もいますので、基本的な方針は社内で決めることとし、外部コンサルタントには依頼しませんでした。SAPについては従来と同じECC 6.0にするか、最新の『S/4HANA』にするか迷うところではありましたが、すでに相当数の導入実績があり、パフォーマンス向上も期待できる『S/4HANA』を選択しました。さらに、運用管理工数を減らすために、オンプレミスでの自社運用ではなく、クラウドサービス環境で運用することにしました」(小川氏)

このような要件を取りまとめ、IT統括部は提案依頼書(RFP)を2019年12月後半に作成。年明け1月にITベンダー各社からの提案書を事業部門と合同で審査した結果、日立ソリューションズによる提案の採用を決定しました。

「最も実現性が高い提案であったことが採用理由です。失敗が許されないプロジェクトであったため、本番切り替え時のリハーサルは非常に重要でしたが、短期間にもかかわらず3回ものリハーサルを実行する慎重な計画を立案してくれました。そのため、関係者約20名全員、満場一致での決定でした。また、医薬品業界における実績も豊富であることから、当社の業務をよく理解しているという安心感もありました」(小川氏)

新システム構築プロジェクトは、2020年2月に要件定義フェーズからスタート。同年4月にAmazon Web Services(AWS)上での構築作業に取りかかり、7月からテストとユーザー教育を始めました。

「構築とカスタマイズのほとんどは日立ソリューションズに任せ、われわれは進行状況の確認や社内調整に専念しました。ただ、旧システムのデータは一部しか入手できなかったので、実態としては『S/4HANA』の新規導入と同じようなレベルの作業でした。カスタマイズ部分の検証も、動作を比較しながら行うという状態で、作業負荷は大きかったと思います」(一柳氏)

しかし、社内にプロジェクトマネージメントオフィス(PMO)を設置して緻密な工程管理を行ったことにより、プロジェクトはほぼ予定通りに進みました。2020年4月の緊急事態宣言発令後は、リモート体制へシフトするなど臨機応変に対応。本社・2工場・リサーチセンター(研究所)でのオンサイト移行教育を経て、新システムは2020年11月2日に本稼働を開始しました。

成果と今後

受注・出荷・請求のプロセスを1/2の時間で処理可能に

性能面での課題をクリアし、要件定義から約9カ月という短期間で新システムに切り替えられたことを、共和薬品工業は「100%以上の目標達成」と評価しています。業務処理のパフォーマンスは3~5倍に高まり、帳票の中には従来の数十倍のスピードで作成できるようになったものもあります。

「当社のコアとなる受注・出荷・請求の処理時間は従来の半分になり、今後も処理量増加を気にせず精力的に新たなビジネスにチャレンジできます。経営陣からも『時間もリソースも限られた中で素晴らしいシステムを完成させた』という評価を受けました」(小川氏)

「出荷や請求の業務担当者からは、処理スピードが向上したことにより残業が少なくなったという声を聞いています」(一柳氏)

日常業務の移行が無事に完了し、共和薬品工業は「SAP S/4HANA」の機能と能力をフル活用するためのさまざまな取り組みを始めています。

まず、「SAP S/4HANA」のデータベースに蓄積されているデータを経営判断のための指標として活用することを予定しています。具体的には、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の仕組みを使って経営データをダッシュボードやポータルサイトの画面に可視化し、関係者で共有できるようにして経営判断のスピード向上を図ります。

また、旧システムで積み残しになっていた機能変更や機能拡張を実装していくため、フェーズ2のプロジェクトもスタート。受注・出荷・請求、経営管理、原価分析などの業務についてさまざまな改良を加えていき、同業他社との差異化をめざしています。

「日立ソリューションズには、要件定義から稼働後フォローまでのすべての工程でサポートしてもらいました。おかげで短期スケジュールでの新システム移行を実現できました。本稼働でのトラブルもなく、安心して『S/4HANA』を運用できています」(小川氏)

「日立ソリューションズのエンジニアがSAPのすべてのモジュールについて熟知していたことには驚きました。一般的には、特定のモジュールを守備範囲とするエンジニアが多いものですが、製薬業向けの導入・運用も多数経験があり、業界特有の業務についても理解が深かったので、やり取りもスムーズでした」(一柳氏)

独立企業として心機一転、「SAP S/4HANA」で業務の効率化と企業価値の向上をめざす共和薬品工業。日立ソリューションズは、フェーズ2以降のシステム構築でも、さらなる躍進を続ける同社を支援していきます。

共和薬品工業株式会社

製薬企業として、医療用医薬品等の研究開発、製造、販売および輸出入に従事。「CNSトータルソリューションカンパニーを目指して」との経営ビジョンを掲げて精神科・神経内科の領域に特化し、自社ブランド「アメル」などの中枢神経系(CNS)用薬が販売品目の5割以上を占めている。研究開発拠点のリサーチセンターは兵庫県三田市、製造拠点は三田市と鳥取県鳥取市の2カ所。2019年12月にLupinグループ(インド)から独立した。

本社所在地 大阪府大阪市北区中之島3-2-4
中之島フェスティバルタワー・ウエスト27階
共和薬品工業株式会社
設立 1954年1月29日
従業員数 602人(2020年3月現在)
事業内容 医薬品製剤製造業
URL http://www.kyowayakuhin.co.jp/

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本事例の内容は2021年5月11日公開当時のものです。

最終更新日:2021年5月11日