障害通知の見逃しリスクは仕組みで解決。対策方法と事例を紹介
「システム障害が発生したときは、障害通知のアラートが発出されるので安心」と思い込んでいませんか? たとえば、深夜や休日に通知されたシステム障害を担当者が誰も把握していなかったり、アラートを一度見落としてしまうと対応できない仕組みになっていたりする場合、重大な障害が発生した際に対応の遅れを招くことにもなりかねません。 特にミッションクリティカルなシステムでは、運用保守SLA基準表などを作成して、障害発生から検知までの目標値を分単位で定めるケースも少なくありません。そのような重要なシステムの障害通知を見逃さないための対策はあるでしょうか。
この記事では、障害検知の通知を見落とす主な原因と講じておきたい対策について、わかりやすく解説しています。障害通知の見逃し防止に役立つツールのほか、見逃しリスクの低減に効果的な対策を講じている企業の事例もあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
障害検知の通知を見逃すリスクと主な原因
はじめに、障害検知の通知を見逃すことによってもたらされるリスクと、通知の見落としにつながる主な原因について解説します。自社の状況と照らし合わせて、当てはまる点がないかチェックしてみてください。
障害検知とは
障害検知とは、システムが安定的に運用されている状態とは異なる事態が発生しているおそれがある場合に、異常を知らせる機能のことです。システム障害の発生を早期に察知し、事業に与える影響を最小限にとどめるための支援をします。
多くのシステムには、障害を検知した際に何らかのアラートを発出する機能が標準搭載されています。一方で、こうした機能はあくまでも「通知する」役割のみを担っています。裏を返すと、システム運用担当者が通知を見逃していた場合、必要な対応を講じられない可能性も十分にあるのが実情です。
障害検知を見逃すリスク
障害検知を見逃してしまった場合、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。
第一に、早急な対応が必要なインシデントが発生していたとしても、対応が遅れてしまう恐れがあります。ユーザーから指摘を受けて、障害発生の事実に気づくことにもなりかねません。結果としてユーザーの満足度低下を招いたり、ユーザーが不信感を抱く直接的な原因となる可能性があります。
また、初動対応の遅れはMTTR(Mean Time To Repair:平均修理時間)の遅れにもつながります。結果的に復旧に向けた作業が長期化し、事業上の機会損失をもたらす原因となりがちです。このように、障害検知を見逃すリスクは決して小さなものではありません。
通知の見落としにつながる主な原因
障害通知の見落としが発生する原因は、大きく2つあります。
1つは、重要度の高いインシデントが見分けにくい状態になっていることです。早急に対応すべきインシデント以外にも常時多くのアラートが発出されていると、重大なインシデントを伝えるアラートが埋もれてしまいかねません。
もう1つの原因として、発出されるアラートの通知方法が限られていることが挙げられます。アラートの通知方法が「メールのみ」などに限定されていたり、アラートが「一度だけ」発出されたりする場合、「気づかなかった」「見過ごしていた」といった事態を招きがちです。
障害通知の見逃し防止を実現するポイント
ここまでに見てきたとおり、障害通知の見逃しは初動対応の遅れや復旧の長期化といった多大なリスクをもたらします。では、通知を見逃さないようにするには、どのような対策が必要になるのでしょうか。事前に講じておきたい3つの対策を紹介します。
担当者の労力に依存しない
まず、特定の担当者に依存しない仕組みを構築することが重要です。担当者が常にシステム運用状況を監視していることが前提になっているなど、個人的な努力に依存していると通知を見逃すリスクが高まります。
具体的な状況をイメージしてみましょう。もし勤務時間外や休日など、担当者が運用状況を確認できないタイミングで重大なインシデントが発生したら、一体どうなるのでしょうか? 担当者が通知を確認していない・見落としてしまったために、対応が遅れてしまうでしょう。担当者の労力に依存した運用体制にするのではなく、いかに「仕組み化」していくかがポイントといえます。
通知方法の多様化
複数の手段で障害通知が届く状態にしておくことも重要なポイントです。メールだけでなく、ビジネスチャットやSMS・電話など、現状の監視ツールに標準搭載されている通知方法以外の手段を確保しておくことをおすすめします。
障害通知がメールのみで通知されるケースについて、システム運用担当者の視点に立って考えてみましょう。担当者はプライベートの時間も含めて、常に新着メールを気にかけていなければなりません。 通知の見逃しが重大な事態を招くというプレッシャーから、落ち着かない状態が続くことになるでしょう。通知方法の多様化は、担当者の就業環境を改善する意味においても必要な対策といえます。
深夜・休日の見落とし防止
重大なインシデントは深夜や休日に発生することもあり得ます。このような事態に備えて、何らかの手段で担当者へ確実にアラートが届く仕組みを確立しておくことが大切です。
たとえば、特に重要度の高い障害に関しては「電話」で通知される仕組みにするのは有効な対策といえます。電話が鳴る=重大なインシデントが発生している、と即座に判断できるからです。 さらに、一人の担当者だけでなく複数名に通知が届く仕組みになっていれば、担当者の負担を分散させる効果が期待できるでしょう。 とくに深夜や休日は見落としが発生しやすくなるため、担当者と連絡が取れるまで複数回にわたって通知する仕組みを構築しておくことが大切です。
障害通知の見逃し防止に役立つ「TELstaff」の特長
障害通知の見逃し防止策を講じたい方には、「TELstaff」の活用をおすすめします。 TELstaffは、システムに障害や異常が発生した際に監視・管理ツールが検知したアラートを、信号灯や電話など複数の手段で関係者に通知するためのサービスです。 TELstaffの主な特長として、次の6点が挙げられます。
特長1:既存の監視ツールにプラスするだけ
TELstaffは現在ご利用の監視ツールにプラスするだけで、システムの異常発生を関係者へ自動通知できる点が大きな特長です。 豊富な通知手段の確保と通知の自動化により、重大なインシデントが発生した際の初動対応までの時間を短縮できます。
また、既存ツールとの連携に関しては、コマンドやREST APIといった信頼性の高い手段をはじめ、メールなどの簡易的な手段でも実現できるというメリットがあります(※)。 ※REST APIで連携する場合、スクリプトの作成が必要です。
特長2:検知したアラートを複数の手段で通知
監視ツールが発出したアラートを、複数の手段で通知できることもTELstaffの特長の1つです。 メールのほか、ビジネスチャットやSMS、電話、信号灯など、多様な通知方法を選択できます。 これにより、通知を受け取る担当者にとって最適な通知方法を指定できるようになることが大きなメリットです。
仮にアラートの通知手段がメールのみの場合、担当者がメールをチェックできないタイミングで発生した障害には迅速に対応できない恐れがあります。 結果としてリカバリーに向けた作業が難航したり、必要な手順が増えてしまったりすることにもなりかねません。 検知したアラートを最適な手段で受け取ることができるかどうかは、見逃しを防ぐうえで重要なポイントといえるでしょう。
特長3:深夜・休日も確実にお知らせ
TELstaffを活用することで、深夜や休日など担当者が通知を見逃しやすい状況下でも確実にお知らせが届きます。 重要度の高い障害に関しては電話で通知される設定にしたり、連絡体制(連絡網)にしたがって一斉通知をしたのち、個々の担当者へ順に電話連絡したりできるからです。
もし障害発生の通知方法がメールに限られていたとしたら、担当者はどのような心境になるでしょうか。
このように、担当者は常に気が休まらない状況に陥りがちです。 TELstaffを導入することで、電話が鳴らない限り重要なインシデントが発生していないことがわかるため、担当者が安心して休めるといったメリットを得られます。
特長4:連絡が取れるまで繰り返し通報
担当者と連絡が取れるまで繰り返し通報できることも、TELstaffの特長の1つです。 システム障害発生時に「一時的な通信障害が原因で通知を受け取れなかった」といった事態は十分に起こり得ます。結果的に担当者が異常の発生を認識していなかった・知る手段がなかった、といったことにもなりかねません。
システム障害の発生に関する通知そのものは、メールによる通知のみでも対応できるでしょう。一方で、障害報告までの時間を最小限に抑えるには、いかに短時間で障害を検知できるかがポイントとなります。 特に官公庁や医療機関など、ミッションクリティカルなシステム開発の際には、運用保守SLA基準表などを作成して、障害発生から検知までの目標値を分単位で定めるケースも少なくありません。 障害検知が数時間遅れたことによって、事業の一部停止や全面停止といった重大な事態に発展することもあり得るからです。繰り返し通報する機能は、障害発生を担当者により早く確実に伝えるうえで重要な要素といえます。
特長5:運用に合わせて通知先や通知手段を変更
さまざまな条件に応じて通知先や通知手段を柔軟に変更できることも、TELstaffの大きなメリットです。 たとえば、営業時間内/時間外で通知方法を変えたり、休日には電話による通知に切り替えたりできます。下記は、通知先・通知手段の設定方法の一例です。
【通知先・通知手段の設定例】
このように状況に合わせて通知先と通知手段を切り替えることで、障害通知を見逃すリスクを最小限に抑えられます。
特長6:クラウド環境でも利用可能
TELstaffはオンプレミス環境だけでなく、クラウド環境にも対応しています。クラウドサービスであれば、サーバーやOS、電話発信機器・電話回線などを準備する必要がありません。 すぐに利用を開始できるほか、初期コストや導入の手間を軽減できる点が大きなメリットです。クラウド環境の障害通知をより迅速かつ確実に受け取りたい事業者様は、TELstaffの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
TELstaffの紹介資料は、以下のリンクからダウンロードできます。ぜひご参照ください。
ダウンロード|統合通報管理システム TELstaff|日立ソリューションズ
障害通知の見逃しリスク低減の成功事例
障害通知の見逃しリスク低減策を講じ、成果を上げている企業の事例を紹介します。
事例1:障害発生時に電話で通報することで運用負荷を軽減|メーカー
A社は、従来システム障害が発生した際にメールで通知する仕組みを採用していました。 しかし、システム障害や夜間バッチの停止などのトラブルが発生した際、アラートに気づきにくく対応が遅れやすいことが課題となっていました。
そこで同社ではTELstaffを導入し、夜間にトラブルが発生した際には電話で通知されるように設定。 電話で通知される際のメッセージ内容も設定できるため、瞬時に最低限の状況を把握でき、初動対応を無駄なく進められるようになりました。また、輪番で複数の従業員に警告を回すことにより、負荷の分散と安心感にもつながっています。早期にトラブルを検知できれば、対応の選択肢をより多く確保できることも大きなメリットです。 対応が遅れるほどリカバリーの手順が増えるため、スピーディーに対応できる仕組みの導入が作業工程の低減にもつながっています。
事例2:システム異常を館内放送で通知|運輸業
運輸業を営むB社では、システムの異常発生を館内放送とポップアップで知らせる仕組みをTELstaffで実現しました。 アラートの種類ごとに1フロア30名へ一斉に通知できるようになったことで、見逃しリスクが顕著に低減されています。 事業所の形態に合った通知手段を選択したことにより、通知の見逃しリスクを効果的に抑えた好例といえるでしょう。
事例3:日中と夜間で通知手段を使い分け|金融業
C社(金融業)では、ネットワークから切り離された環境に対する監視および通報にTELstaffを活用しています。 日中は信号灯とメールで通知され、夜間は電話に通知される仕組みを取り入れたことで、早急に対応が必要な障害が発生した際にも時間帯を問わず初動対応を講じられるようになりました。初動対応の遅れは、事業に重大な影響を与えるリスクを増大させることにもなりかねません。 時間帯に応じて通知手段を使い分けることにより、初動対応を遅滞なく行える体制を構築している好例です。
通知手段の強化でシステム障害通知の見逃しリスクを防止
システム障害通知は、障害発生の事実がいかに早く確実に伝わるかが鍵を握っています。 初動対応がわずか数時間遅れたことによって、事業の一部停止や全面停止といった重大な事態に発展するケースも少なくありません。 現状、もしシステム運用担当者の労力に依存している面があるようなら、より負担が少なく確実に「伝わる」仕組みへと切り替えていく必要があるでしょう。 多様な通知方法を選択できることに加え、担当者が応答するまで繰り返し通知できるTELstaffを活用して、障害検知の通知を見逃すリスクを効果的に抑制してみてはいかがでしょうか。
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