NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社様 Workivaの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

Workivaの導入事例

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社様

CSRDの新たな規制対応で情報開示プロセスを短期間で実装。海外を含む多拠点の連携を支える高効率・高信頼な開示基盤を構築

日本通運をはじめとするNXグループを統括するNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社(以下、NXホールディングス)は、欧州圏の新たなサステナビリティ規制であるCSRD対応のために、ゼロから情報開示プロセスを設計し「Workiva」上に実装。コンサルティング会社、日立製作所、日立ソリューションズとの連携により、対応期限が迫るなか短期間でプロジェクトを進め、データの一貫性、可視性の観点から、今後のアドバンテージとなる情報開示基盤を構築しました。

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課題
効果
情報開示に必要なデータの収集や報告書作成にあたり、手作業による業務負荷の増大が懸念される
データ収集のプロセスを効率化するとともに、一元管理されたデータを報告書に自動的に反映
変更履歴を継続的に追うことが難しく、データの一貫性を確保する方法がない
可視性の高いデータ収集プロセスを構築し、第三者保証を見据えた統制の取れた仕組みを構築
海外拠点も含めた多数の拠点で利用するため、共同作業によるオーバーヘッドや安全性に不安が残る
複数の人や部門の間で発生する共同作業を効率化し、細かな権限設定を通じてデータの安全性を確保
概要図

背景

CSRD対応に向けプロジェクトを始動

撰 氏サステナビリティ推進部 次長
撰 幸昌 氏

創業以来、ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきたNXホールディングス。創立100周年となる2037年に「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」となることをめざし、その達成に向けて策定した経営計画では、「サステナビリティと経営の統合」をコア戦略の1つに定めています。同社の取り組みは、カーボンニュートラル社会の実現や、地球環境の保全への貢献にとどまりません。社会的価値提供の観点で、持続的発展が可能な社会の仕組みづくりにも力を注いでいます。

たとえば、「誰にもやさしい倉庫」プロジェクトも、その一環です。具体的には、作業者の負荷を軽減する次世代モビリティを倉庫内に導入するとともに、自動誘導車や自律移動ロボットなどの無人搬送機を連携させることで、これまで倉庫で働くことが困難だった人々も倉庫内作業を行えるようにし、さらなる多様性に対応する取り組みです。これにより、従来はアプローチできていなかった労働市場への拡大を図り、労働力の確保と持続可能な社会の実現をめざす狙いです。

こうした企業のサステナビリティ経営のあり方が、市場や投資家からの評価にもつながる時代です。サステナビリティ情報の開示を求める動きが加速するなか、NXホールディングスにとっては欧州圏内の企業を対象としたCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)への対応が急務となっていました。

撰(えらみ)氏は、「グローバル規模で見ると、CSRD以外にも多くの基準が整備されつつあり、対象企業はそれぞれのルールに従って情報を集めてくる必要があります。当社では、これまで非財務情報を統一的に集める方法がなかったため、2022年にプロジェクトを立ち上げ、情報開示を見据えたプラットフォーム化に向けて本格的に動き出しました。それこそ初期段階は、具体的なシステムを検討するというより、どう対応していくべきかの議論からスタートしました」と振り返ります。

取り組み

業務プロセス構築とシステム構築を同時進行

CSRDの適用が開始される2025年4月を期限として検討を開始した同社は、2023年ごろからCSRD開示に向けた開示項目・範囲の整理、業務分析、データ管理元の調査・分析などに着手。情報開示に必要なデータの収集という新しい業務プロセスの構築を迫られる一方で、人手によるデータ収集の負荷を軽減し、開示用の資料を効率よく正確に作成するためのツールを検討。クラウドベースのレポーティングプラットフォーム「Workiva」の採用を決定しました。プラットフォームがあることは、CSRD対応に限らず、経営情報の一元管理や意思決定支援などにおいて、長期的な視点で強みになるとの判断もあったようです。

「『Workiva』はデータを集める仕組みと見せる仕組みにおいて自由度が高く、非常に優秀なツールです。しかし、どんなに優秀なツールであろうと、データが貯まっていかないことには始まりません。『Workiva』に貯めるべきデータをどう集めるかが当社側の課題であり、期限まで時間がない中で、欧州側の意見をヒアリングしながら、業務プロセスの構築とシステムの構築を並行で進めていきました。日立ソリューションズには、必要な業務要件を『Workiva』にどう実装するかを検討するうえで多くの支援をいただきました。『Workiva』でできることと、できないことを明確にしたうえで、技術的見地から的確なアドバイスや代替案を提示してもらえたのは非常に助かりましたね」と撰氏は語ります。

今回のプロジェクトでは、CSRD対応に必要な情報開示プロセスをゼロから構築するにあたり、コンサルティング会社が開発・提供するCSRDテンプレートを活用し、システム実装の短期化を図りました。複雑な開示規制要件を整理し、情報開示プロセスを設計するうえで、専門的な知見を生かしたテンプレートの存在は設計の助けとなり、将来的な規制変更にも柔軟な対応が期待できます。

また、第三者保証までを見据えての業務要件の整理を行ったコンサルティング会社、環境情報システムとの連携や「Workiva」によるシステム構築を担当した日立製作所や日立ソリューションズの各社と緊密に連携し、各社の強みを生かした役割分担により、プロジェクトを効果的に推進した点も、このプロジェクトの大きな特長と言えます。

効果

統制が効いた情報収集にアドバンテージ

2025年4月の本稼働後は、欧州エリアから活用を開始。現在は、子会社でのデータ入力が徐々に進んでいる状況です。情報開示に向けて、業務プロセスそのものがないところへの導入であり、既存環境との比較はできないものの、撰氏はその手応えをこう語ります。

「何もないところからのスタートだったからこそ、『Workiva』という器があって助かった部分は大きいと思います。また、『Workiva』の仕組みを使うことで紙でのやりとりを排除し、単なる効率化にとどまらず、各子会社から統制が効いた状態で情報収集できるようになったことは一番のメリットです。紙にサインするとなったら膨大な紙の山を管理することになり、それを確認する手間も膨らみます。そもそも人が介在するとどうしても抜け漏れやミスが発生します。この部分がシステム化されたことで、情報の流れや所在が明確になり、業務の見える化が実現できたことは、大きなアドバンテージだと感じています」

機能面では、「『Workiva』は貯めた情報を自由に加工できます。これまで手計算で算出していたような数字も、ルール化すれば自動的に可視化できることへの期待値は大きいですね。これから先の可能性の広がりを感じます」と評価しています。

展望

活用エリアを段階的に欧州以外にも拡大

同社では、今後ほかのエリアに段階的に展開していく計画です。撰氏は、日立ソリューションズへの期待を込めて、次のように述べています。

「グローバルに展開していくにあたり、ここまでのプロジェクトで蓄積してきた知見を生かしつつ、引き続き日立ソリューションズの知恵をお借りして、より良い活用方法を追求していきたいと考えています。グローバルのサステナビリティ規制の潮流は変化が激しいので、自由度の高い『Workiva』が寄与する場面はますます増えそうです」

物流が社会を豊かにしていく原動力であることを信じて、創意工夫を繰り返し、新しい道を切り拓き続けるNXホールディングス。企業価値の向上につながるサステナビリティへの取り組みも、「Workiva」とともに、さらに一歩先を見据えて歩みを進めていくことになりそうです。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

所在地 東京都千代田区神田和泉町2番地 NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
設立 2022年1月4日
従業員数 73,482名(2022年12月末現在)
事業内容 物流事業全般および関連事業
URL https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/

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本事例の内容は2025年9月19日公開当時のものです。

最終更新日:2025年9月19日