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2ページ目|第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる
第2回 スマイルカーブでビジネスをとらえる

黄金の三角形

米国の著名なコンサルタントであるエイドリアン・スライウォッキー氏は、その著書の中で下流のビジネスで成功するためには、製品・ビジネスモデル・ブランドの三つがバランスよくあることが重要であると指摘している。私はよく三角形を描きその三つの頂点にこの三つの要素を書き込むので、「黄金の三角形」と呼んでいる。

黄金の三角形とは、製品、ビジネスモデル、ブランドの三つがバランスよくあることが重要

先程あげたiPodのケースを考えてみよう。製品も素晴らしいが、iPodの成功の重要な特徴はiTunesというシステムをフル活用して様々なサービスを顧客に提供すると同時に、ここで収益を回収できる点にある。
 そしてMacで成功したアップルがあえてiTunes、iPhoneというデジタル時代を感じさせるブランド展開をしたことが大きな成功理由になっている。

比較対象としてあげて申し訳ないが、これをソニーなどが展開した携帯音楽機器と比較してみよう。ソニーの機器も製品としてみれば素晴らしいものだろう。ただ、アップルのiTunesのような斬新なビジネスモデルがなかった。
 製品さえよければ消費者は受け入れるだろうというメーカーなりの傲慢さがあったのだろうか。そしてそのブランド戦略であるが、このデジタル時代に、なぜアナログ時代のブランドであるウォークマンという名称を使ったのか、私には未だに理解できない。

下流において企業が製品だけで違いを出すのは非常に難しい。確実に利益を上げられるようなビジネスモデルと、価値を消費者に最大限にショーアップできるブランド戦略が重要になるのだ。黄金の三角形の三つの要素のどの一つが欠けても下流のビジネスはうまくいかない。

ところで、デフレの時代にあって業績を伸ばしているユニクロのビジネスについて、この黄金の三角形の視点から考察してみよう。まず製品であるが、ユニクロの製品は間違いなく優れている。百貨店で売っている高級ブランドのような品質とは言わないが、ファースト・ファッションと業界で呼ばれているように、ファッションという視点からも素材という視点からも優れている。

ただ、ユニクロのビジネスで注目すべきはそのビジネスモデルが優れた所である。ファッションという変化が激しい世界で、小売業がリスクをとって製品の開発から生産の調整まで行う、業界でSPAと呼ばれる手法で手堅い利益を確保している。
 商品のアイテム数を絞り込みながら大量の店舗を確保することで、消費者の選択を容易にするだけでなく、コスト削減に必要な生産ボリュームを確保するとともに、売れ残りのリスクを最小化している。あれだけ低価格で展開しているにもかかわらず、それなりに高いマージン(粗利)を確保しているはずだ。

そしてもう一つの要素であるブランドについても、ユニクロの展開は注目すべきだ。ファッション業界でのブランドというと、高級ブランドに注目が行きがちだが、本当に面白いのは大衆を対象としたブランド展開ではないだろうか。
 フランス製のバッグを持っている人は、その値段を誇示するようなブランド意識が根底にある。本来のスマート・コンシューマーはそうしたブランドには振り回されるべきではない。
 商品にこだわりは持っているが適正価格の商品しか買わない、それが現代のスマート・コンシューマーである。ユニクロのブランド展開は、現代の日本人の消費意識がより成熟していることをうまくとらえている。

スマイルカーブの下流で高い利益を上げようとすれば、製品の良さだけでは十分ではない。
残念ながら日本のメーカーには、よい商品を作れば売れるはずであるというメーカー的な論理が強く見られる。もっと消費者やユーザーの心の奥に潜んだニーズを読み取り、そして他の企業が追従できないようなビジネスモデルを展開する必要がある。

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