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第4回 経済小説に経済の「今」を読む —本質を見極める目とは?—|幸田真音(作家)のマイン・スコープ|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

第4回 経済小説に経済の「今」を読む —本質を見極める目とは?—
第4回 経済小説に経済の「今」を読む —本質を見極める目とは?—

短期金利が日本銀行の金融政策によって決まっていく一方、長期金利は市場が決めるものです。そのため第3回で取り上げたように国債が急落し長期金利が急上昇する危険性も懸念されます。そのメカニズムを取り上げるとともに、長引く低金利政策にも関係の深い年金問題について考えます。

抑え込まれた金利がついに逆襲へ!?

 冒頭で、ひとつお断りしておかなければいけないことができました。

 当初、半年間で全6回というお約束でスタートしたこのコラム連載でしたが、主宰者側の都合で、残念ながら今回で終了することになりました。

 ということで、少しテンポアップしてお話を終えたいと思います。

 まず、前回お約束した「金利のメカニズム」についてですが、短期金利は、中央銀行である日本銀行が打ち出す、金融政策で決まっていきます。

 その決定のプロセスには、独立性と透明性が求められ、それが厳しく守られています。具体的には日本銀行の金融政策決定会合、毎月1〜2回、定期的に開かれていますが、ここでは総裁と2名の副総裁、それに6名の審議委員による合計9名が審議を重ね、多数決によって日本の金融や経済の基盤となる金融政策の方向性を決めるのです。

 日本銀行の仕事は、通貨や金融の調節によって物価を安定させ、国民生活を守ること。「通貨の番人」とも呼ばれ、「銀行の銀行」とも言われるのは、通貨や金利が国民経済の基本中の基本であるからなのですね。

 過去を振り返ると、相次ぐ経済危機や景気低迷の局面で、日本銀行は、ときの政府から、あるいは金融業界から、さらには国民から、さまざまな期待やプレッシャーを与えられてきました。

 そのなかで、日本の将来を見据えて、さらにはみずからの独立性を守るべく、闘ってきた歴史があります。

 たとえば現在の日本では、一万円札、五千円札、二千円札、千円札が流通していますが、その紙幣自体の製造コストは一枚わずか数十円程度にすぎません。でも、その小さな紙きれが、日本銀行から外に出た途端、一万円や五千円などといった価値を持つわけです。

 そして、それぞれの金額に相当する物や、サービスと交換が可能になる。国を出て、世界中でも立派に通用するのですね。

 なぜだろうと考えたことはありませんか? それはひとえに、その紙幣を発行している日本銀行が、ひいては日本の国そのものが、世界中からそれだけ信頼されているからです。

 たかがお金、されどお金。

 国民生活の根幹ともいうべき通貨を無節操に増刷し、「円」の価値を低下させるようなことがあってはなりません。

 ただ、日本の量的緩和策をあれほど批判していたはずの米国は、いまや似たような事態に陥り、「QE2(追加金融緩和策)」の期限切れを目前に控えるにいたっています。せっせとドル紙幣を刷り、米国債を買い入れて、資金を市場に放出しています。つまりはドルの価値の希釈化、ドル安要因のひとつになり、ひいては商品市場や新興国のバブルの原因にもなっています。

 日本では景気浮揚のため、低金利政策を容認する声は根強くあります。巨額の借金を抱えたいまの日本では、金利が高いとそれだけ利払い費がかさんできますから、国債の利息を支払うために、またその分の国債を発行する必要にも迫られますので、金利をあげられないという側面もあります。

不自然に抑え込んだ長期金利が思わぬ暴れ方をする可能性も

 長期金利は市場が決めます。市場参加者の需要と供給の力関係でおのずと変動していきます。ときには生き物のように、人間の思惑によって、思わぬ暴れ方をするのも長期金利です。

 長い間不自然に抑え込んだ金利に、逆襲される。いずれそんなときが来ないといいがと、いまの国債市場を見ていて心配になります。

 短期金利は金融政策で低く抑えているのに、長期金利は上昇する。そんな事態も起こりうる。不況なのに物価が上がるというスタグフレーション(不況下でのインフレ)という言葉も、欧米あたりでは話題になり始めてきましたね。

 日本では相変わらずデフレにしか目がいっていないのも心配です。ここでも、本質を見極める目が求められますが、このあたりを書き始めるとキリがなくなってきますね。一面だけをとらえて経済全体を語るのはとても難しく、危険でもあります。

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