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3ページ目|第2回 リーダー力アップのための3つのポイント|脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」
第2回 リーダー力アップのための3つのポイント

「ここぞ」という場面は、θ(シータ)リズムで。

 では最後に、「空間認知能には自信がある」という方のために、もう一つお話をします。いわば命がけの場面において脳の最高のパフォーマンスを引き出すための不思議なリズムのお話です。
 ビジネスでもスポーツでも、「ここぞ」という場面では命がけで脳も身体もがんばるものですが、最高のパフォーマンスを発揮する時には独特のリズムがあるのです。私はそれを、1992年のバルセロナ・オリンピックで金メダルを取った岩崎恭子さんの泳ぎのリズムから発見しました。
 それは、「イチ、ニ、サン、シ・ィー」といったように、間合いの部分である「ィー」を含んだθ(シータ)リズムと呼ばれるリズムです。この「ィー」の間合いをはかるということが重要になってきます。この間合いは、音楽用語でいうところの「シンコペーション」という、リズムの強弱やアクセントの位置を作為的にズラすということです。岩崎選手の場合は、その間合いを入れたθリズムで前半を泳ぎ、後半にはますます加速していたのです。そしてこの独特のリズムは、命がけで必死にがんばっている時の脳のリズムと関係していることがわかったのです。

 脳には海馬回という部位がありますが、その細胞は興奮しだすと止まらなくなって2日後には死んでしまいます。そうなっては困るので、その細胞のすぐ側には興奮を抑制するための細胞が並んでペアになっていて、興奮が起きるとすかさずそれを抑える活動が起きます。興奮/抑制、興奮/抑制というリズムが起きるわけですが、このリズムが「イチ、ニ、サン、シ・ィー」、あるいは、「イチ、ニ・イー、サン、シ・ィー」というθリズム+シンコペーションなのです。

 このθリズムを強く意識して身体を動かすと、脳の中で感情をつかさどるドーパミンA10神経群という場所を刺激し、さらにその刺激は、手足や身体の動きを支配する脳の部位へと伝えられます。そして、このリズムはどんどん加速していくので、後半になればなるほど心技体の力は限界を超えてどんどん発揮され、自分でも驚くパフォーマンスにつながっていくのです。

「イチ、ニ、サン、シ・ィー」(ワンシンコペーション)
θリズム

 私が水泳の北島選手を始め日本競泳チームの選手に教えたのも、このリズムです。スローテンポの時は「イチ、ニ・ィー、サン、シ・ィー」「イチ、ニ・ィー、サン、シ・ィー」のツーシンコペーション。「ニ・ィー」「シ・ィー」の二カ所に抑制の間合いを入れなさいということです。そして、これが速くなってくると「イチ、ニ、サン、シ・ィー」というワンシンコペーションのリズムに変わってくる。このリズムで泳ぐと、長時間気持ちよく泳げ、後半の加速もできてものすごい力が発揮できる。そういう話をしました。結果は皆さんもご存じのとおりです。

 この「イチ、ニ、サン、シ・ィー」のθリズムは、普段の場でも活用することができます。例えば歩く時、ジョギングする時、試しに頭の中で拍子を取りながら、このリズムでやってみてください。自然に加速がつき、疲れない上に気分も盛り上がってくるはずです。

 そして、普段からこのリズムを取り入れる訓練をしておけば、仕事の能率も上がるはずです。リーダーがこのことを知っていれば、自分自身にとっても、部下やチームにとっても、「ここぞ」という時の役にも立つはずです。ビジネスにおいて自分で思っていた以上の力を発揮する、つまり「勝負脳」を鍛えるためには欠かせない知識であるといえます。

 否定語を使わない、空間認知能を鍛える、ここぞという時にはθリズムを強く意識する。今回お話したこと、特に、初めの二つは、この講座をお読みいただいているリーダーの立場にある方には既知のことかもしれませんが、もう一度原点に立ち戻って取り組んでみてください。原点に戻る。それが今、一番大切なことだと私には思えてならないからです。

次回予告

第3回   組織力をアップさせる「自己報酬」のススメ

やる気に満ちた組織、ワクワクする活気に満ちた組織にするためのノウハウを、脳の重要な部位である「自己報酬神経群」の仕組みをもとに解説していただきます。また、講座の最後では、読者の方から寄せられたご質問に林先生がお答えします。

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