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第1回 「ミスを憎んで人を憎まず」組織活性はスタッフのモチベーションの質がすべて|星野佳路の「組織活性化」講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

~星野リゾート流 意識改革~ 星野佳路の「組織活性化」講座
第1回 「ミスを憎んで人を憎まず」組織活性はスタッフのモチベーションの質がすべて

「組織運営」。管理職にとって避けては通れない課題について、「良い組織」とは何かという究極の問いに下す星野代表の答えとは……。その考えに至る過程で参考にしたマネジメント理論や、実際に星野リゾート内で行われている組織マネジメント法を引き合いにスタッフのモチベーションを上げる方法を教えていただきます。

「良い運営」は「良い組織」によって生まれる

 星野リゾートは“再建請負人”というイメージで語られることが多いようですが、それは誤解です。縁があってお声掛けいただく案件の多くが新規リゾートの運営ではなく、「再建」の話だった時期がありました。

 時は1987年、リゾート法が施行され、大手デベロッパーの業界への参入が進みました。危機感を持った私は、1991年に社長就任するにあたって、「運営強化戦略」という方針を掲げました。装置産業※といわれる旅館やホテル業ですが、弱小の星野リゾートでは装置で勝負しても大手の資金力には到底かなわない。私たちは、“運営の達人”を目指す、運営に特化することを強みとするビジョンを掲げました。期を置かずして、バブルが崩壊。リゾートが経営危機に陥る中、持ち込まれる話も当然のごとく新規案件ではなく、「再建」だったのです。

 私たちが目指しているのは、あくまでも“運営の達人”。社名も1995年に「星野温泉旅館」から「星野リゾート」へと変更しました。3代にわたって使い続けてきた社名を変えるというのは極めて大きな決断でしたが、社員の意識を大きく変えるためにも必要だったのです。この“リゾート運営の達人になる”というビジョンは、今に至るまで弊社の揺るぎなき経営ビジョンとなっています。

 最近になり、すでに黒字化されている施設のさらなる「活性化」を任せられる案件が増えてきました。「再建」と「活性化」の違いをよく問われますが、正直なところ我々はその違いをほとんど意識しておりません。どちらも私たちの運営力を評価していただいたことに変わりはありませんから。「再建」でも「活性化」でも、目指すところは同じ。いかにして「良い運営」をするか、ただそれだけ。「良い組織」を構築することができれば良い運営はおのずからついて来る。それは弊社運営の30の施設で実証済みです。

※大規模な投資による大型の施設や設備を要する産業、資本の固定化が高く資本回転が低い産業。一般的にホテルや旅館は、初期の段階で大規模な投資のもとに施設を建設し、長期間にわたり資本を回収することから、サービス産業のなかでも特に装置産業的な要素が強い。

会社全体の印象を決める「真実の瞬間」

会社全体の印象を決めるのは最初の15秒。それが「真実の瞬間」。
会社全体の印象を決めるのは最初の15秒。それが「真実の瞬間」。

 では、「良い組織」とは何か? 第一に挙げるのは、「スタッフのモチベーションのレベルが高い」ということです。リゾート運営が他の業種と違う最大の特徴は、生産と消費との分離が不可であるということ。生産と消費が現場で同時に行われるので、現場で消費の性質を見抜き、瞬時に判断して適切な対応をすることで、消費する顧客の満足度を高めていかなくてはならない。つまり、提供するサービスの質を決定するのは、スタッフの判断力にかかっているわけです。しかも、スタッフがお客様対応にかける時間は、1回当たり平均十数秒程度。そのわずかな時間内でさまざまな判断を下さなければいけない。そうした現場スタッフの判断力や判断の質を高めるためには、やはり高いモチベーションが必要なのです。お客様と接したわずかな時間=瞬間の判断力で顧客満足度が大きく左右されるからです。

 スタッフが顧客と接するわずかな時間を、サービス業においては「真実の瞬間」と呼びます。スウェーデンの国内航空会社からスカンジナビア航空の社長に就任したヤン・カールソン氏が著した『Moments of Truth』という本の中でそう名づけているのです。この本は、オイルショック後の航空業界が未曽有の不況に陥った時代、スカンジナビア航空の業績をV字回復させた著者が、その時の様子を物語風に描いたもの。星野リゾートの社長になって間もない頃この本を手に取ったのですが、読み始めてすぐにサービス業がどうあるべきかについて強い説得力を持って書かれていることに気づき、衝撃を受けました。

 著者は、従業員がお客様と接した時の最初の15秒間が、その会社全体の印象を決めてしまう、と考えました。その15秒間を「真実の瞬間」と呼び、全従業員にその瞬間に注意を払うよう徹底。スカンジナビア航空を形成しているのは旅客機などの有形資産の集積だけではなく、それ以上に重要なことは顧客に直接接する最前線の従業員が提供するサービスの質であると言っています。これこそ、“運営の達人”を目指す星野リゾートに必要であると確信し、「真実の瞬間」を向上させるための施策を、忠実に実行しました。

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