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第5回 「成功は失敗のもと」。昨日の成功に甘えず、組織をさらに活性化させるさまざまな方法。|星野佳路の「組織活性化」講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

~星野リゾート流 意識改革~ 星野佳路の「組織活性化」講座
第5回 「成功は失敗のもと」。昨日の成功に甘えず、組織をさらに活性化させるさまざまな方法。

星野リゾートでは、「経営に変化を促し継続する仕組み」づくりのひとつとして、業績の良いときこそ積極的に人事異動を行う。単に変革の歩みを止めないという理由だけでなく、その好業績は誰がやっても好業績を生んだのではないか、もっとよい人事があったのではないかというあくなき追求が秘められている。
すべてが公平な星野リゾートの人事において非常にシビアな一面を語っています。

明確な経営ビジョンが企業を成長させる

 時代を超え際立った存在であり続ける企業は、社員の指針となる明快な経営ビジョンを持ち、それを会社の隅々にまで浸透させています。そのような会社をジェームズ・C・コリンズは『ビジョナリー・カンパニー』と称え、企業のあるべき姿だと著書で訴えています。

 感銘を受けた私は、とくに「経営ビジョンが企業の成長にプラスになる」という指摘に惹きつけられました。さらに、「長期的な視点から事業を見た時、経営ビジョンの共有が正しい戦略である」との確信を得たのです。

 私が社長に就任した1991年から1998年ぐらいまでずっと、星野リゾートでは「経営改革を進めたいのに、人材がどうしても集まらない」という課題を抱えていました。新卒者の合同就職説明会に参加しても、私たちに興味を持ってくれる学生はほとんどいなかったのです。私は会社の現状を語っても魅力を感じてもらえないことを悟ったうえで、発想を変えました。
「将来についての話をしよう。目指す将来像に向かって、最短距離で進んでいる会社であることを説明しよう」と。

 会社をよく知らない人に、その会社の将来を伝えるうえで何が必要でしょうか。まずは目指している将来像を分かりやすい言葉で表現することでしょう。ただし、くどくどと説明しても誰も相手にしてくれません。人を惹きつける魅力的な一言で言い表すことが大切です。

 弊社においての将来像は“リゾート運営の達人になる”という経営ビジョンでした。当時、日本の旅館やホテルで「運営に特化する」会社はありませんでしたが、海外ではすでに有力ホテルチェーンを筆頭に、「Owner(所有者)」と「Operator(運営者)」を分離する動きが広がっていました。私は日本でもリゾート施設を所有する投資家が現れ、同時に運営を引き受ける会社が活躍するチャンスが必ずやって来る。私たちがその第一人者になろう、そんな将来像を描き、経営ビジョンを定めました。こうした明快な経営ビジョンを学生に向かって語ることで、「何だか面白そうな会社だ」と興味を持ってくれる人が徐々に増えていったのです。

ビジョンを実現するための数字目標が大切

 はじめはリクルーティングの際の会社のビジョンを分かりやすく伝えるためにつくった経営ビジョンの言葉でしたが、存外に伝わりやすいことに気が付き、全社員に向けて事あるごとに語るようになりました。また、ビジョンは語るだけでは意味がない。たとえ少しずつでもビジョンに近い存在になることが大切です。しかし、ビジョンは目に見えません。目に見えないものに向かって努力するのは非常に難しいのです。

 そのため弊社では、“リゾート運営の達人になる”という経営ビジョンをどれぐらい実現したかが瞬時にわかる「売上高経常利益率」「顧客満足度」「エコロジカルポイント」という3つの具体的な数値目標を設定しました。

 まずは経営の良し悪しを測る「売上高経常利益率」。運営に特化した「Operator」である私たちは、「Owner」からの委託を受けて運営を行うわけですから、もう一人の顧客は「Owner」となります。「Owner」が望むのは当然のことながら利潤ですので、私たちは「利潤を生み出すための運営」の仕組みをつくっていかなくてはならないのです。次にお客様のアンケートから集計した「顧客満足度」で、3点満点の7段階評価です。さらに環境配慮を示すエコロジカルポイント(NPO法人グリーン購入ネットワークによる評価)の3項目です。

 しかし、顧客満足度を向上させることと利益を追求することは、本来相反する課題でもあって両立させるのはなかなか難しい。さらに社会的役割も考えたエコロジカルポイントも加え、いずれも極めて高い水準で設定しており、3つの数値目標を同時に達成するのは至難の業です。それでも我々はあえて高い目標を水準に定めて、努力しています。

経営ビジョンの共有だけではなく、具体的な数値目標とその取り組み方を示す
経営ビジョンの共有だけではなく、具体的な数値目標とその取り組み方を示す

 しかし、ただ目標を示して数字達成を掲げてもスタッフに具体的な取り組み方を示さなければ数字に到達できません。それらを踏まえたうえで、我々は「数字を達成するための仕組み」として次の5つを考えました。「モチベーションを高める仕組み」「経営を顧客志向にする仕組み」「安定集客を可能にする仕組み」「収益を確保する仕組み」「経営に変化を促し継続する仕組み」です。ここまで考えてこそ初めて経営ビジョンは成立すると私は思っています。組織において理念や哲学を標榜するのはそれほど難しいことではありません。それを実現化するための仕組みや方法を具体的に生み出して実践していく。それが組織経営の醍醐味といえるでしょう。

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