Chapter02「贈答品とは何か」を学ぶ
詳しいマナーを学ぶ前に、贈答品の種類や、歴史、体裁の意味など、基本的な知識を身に付けておきましょう。贈る意味や理由が分かれば、マナーも覚えやすくなるはずです。
日本の贈答品のルーツを探ると、冠婚葬祭に由来するものと、現代になって海外から入ってきた文化に大きく分かれます。
結婚のお祝いやお葬式の香典・供物といった贈答品は、古来、婚礼や葬儀の儀式の際に、ごちそうやお供えを持ち寄った習慣から始まり、それが時代の流れとともに形を変えていったと考えられています。
お中元・お歳暮の起源は「お供え」にあります。日本には古来より、お盆と暮れにご先祖さまをお迎えする際に、食べ物を供える習慣がありました。こうしたお供え物を親元や親戚に贈ったのが、お中元・お歳暮の始まりです。それが、商売が盛んになった江戸時代には、お客様にも贈られるようになり、やがて現在のように、「お世話になった人」にまで対象が広がったと考えられます。
一方、誕生日や父の日、母の日、クリスマス、バレンタインといった記念日・イベントにプレゼントを贈る習慣は、現代になって欧米から入ってきた文化です。クリスマスやバレンタインは海外の宗教的儀式でしたが、日本でイベント化され、今やすっかり一般的な習慣になっています。
土産 |
手土産、おわびの品、出張土産、旅のお土産 |
季節のごあいさつ |
お中元、お歳暮、年始のごあいさつ |
お祝い事 |
結婚祝い、出産祝い、結婚祝い、出産祝い、栄転(昇進)祝い、開店(開業)祝い、新築祝い、移転(引っ越し)祝い、入学・卒業祝い |
イベント |
誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、バレンタインのプレゼント、結婚記念日の贈り物、母の日・父の日の贈り物 |
そのほか |
お見舞い、お葬式の香典・供物、法要の香典・供物 |
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贈り物に「のし」と「水引」をつけ、「表書き」を書くという習慣は、日本独特のものです。
まず「のし」には、贈答品に生ものを添えて贈った風習が、神様に供える最高のものである「のしあわび」を添えて贈るようになったという由来があります。そのため、肉や魚などの生ものを贈るときや、「なまぐさもの」を避ける習わしがある弔事には、のしは不要です。
「水引」は、贈り物の上にかける紙を留めるために使われていた紙糸のこと。基本的に、何度も繰り返してほしいお祝い事にはちょう結び、繰り返してほしくないことには結び切りに結びました。現在も御祝儀袋などには本物の水引が使われていますが、贈答品では「のし」と「水引」が紙に印刷された「のし紙」を使うことがほとんどです。
「表書き」は、贈り物に、その内容を書いた「目録」を添えていた習慣の名残。目録を省略して、包装紙に品名と数量を書いたものが「表書き」なので、本来は、「御菓子」などと贈る品物名を記すところですが、現在では「御祝」、「御挨拶」、「御中元」などと贈答の目的を書くことが一般的になってきています。
表書きの基本の書き方を教えて!
水引の上のスペースに「御祝」、「御霊前」など、贈答の目的を書きます。下のスペースには「フルネーム」。お客様に贈る場合は「会社名+姓名」でもOK。
筆記具は、毛筆、または墨の筆ペンを使用。うす墨は弔事用なので、それ以外の用途では使わないように。
また、慣れないうちは、デパート等の売り場で「手土産用なのですが」などとお店の人に相談するのが安全です。
贈答品の役割とは?
贈答品の目的は、「おめでとう。よかったね」という共感や、「いつもありがとうございます」、「これからもよろしくお願いします」という思いやりなどの"気持ち"を贈ること。その気持ちを表すのに、言葉だけでは足りないというときに、物を添えて贈るのです。
特に、お中元・お歳暮に関しては、形式ばかりが強調されがちですが、歴史を振り返ると分かるように、本来は、ご先祖様や両親への感謝の気持ちを込めた贈り物。相手への思いを伝え、相手を喜ばせ、互いの距離をより近づけることが、贈答品の役割なのです。
また、ビジネスシーンでやり取りする贈答品には、お客様をご訪問するきっかけや会話のきっかけになるなど、ビジネスを円滑にし、相手と良好な関係を築くという役割もあります。と言っても、最低限のマナーを守らないと、相手に失礼になることも。正しいマナーを身に付けた上で、積極的に贈り物をしてみましょう。