ロート製薬株式会社様 Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例

ロート製薬株式会社様

2層構造のERPを軸とする業務基盤を刷新。グローバルでグループ全社に関するデータの可視化を実現

2024年に創立125周年を迎えたロート製薬は、グループでデータ連携を図りたい主要海外グループ会社約30社の会計とサプライチェーンに関するデータを一元化すべく、日立ソリューションズの支援のもと、「 Microsoft Dynamics 365 」(以下 Dynamics 365 )を導入しました。2層のERPからなる構成を採用することで、グループ個社の現行システム運用やリプレースタイミングへの影響を最小限にとどめる形で、グローバル視点での経営判断が可能なシステムを実現しました。

メインイメージ

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課題
効果
システムがサイロ化しており、データが分断されているため、グループ全体の経営を俯瞰して即座に把握・判断することが困難
「 Dynamics 365 」による2層ERP構造を採用し、データの分断を解消。DWHではなくERPを2層目に配置することで、ITの進化に柔軟に対応し、将来の次世代活用を見据えた構造を実現
データ形式や粒度などが揃っていないため、集計に多くの時間と手間を要していた
「Fabric」でデータ形式の違いを吸収し、効率的に集約。情報収集にかかる工数を低減できる見込み
グループ間でマスタ情報が統一されておらず意思決定に必要な情報の正確性・一貫性が損なわれている
2層目におけるマスタ体系・コード体系を統一することでグループ全体における情報の正確性と一貫性を確保
概要図

背景

海外グループ会社間のデータ分断解消をめざす

森 氏基幹情報システム部 部長
森 康充 氏

ロート製薬は、胃腸薬・目薬・「メンソレータム」などの一般用医薬品やスキンケアを主軸に、食や再生医療などの領域にも展開し、グローバルに事業を推進しています。

2025年、同社は海外グループ会社の会計およびサプライチェーンを担う業務基盤を新たに構築しました。森氏は今回の業務基盤刷新について、「各国のグループ会社は成長し続けてきました。各社の企業文化を尊重して生かしつつ、最適な業務基盤を構築することにより、グローバルでのシナジーを高め、さらなる成長を促進します」と狙いを語ります。

新たな業務基盤の構築の背景には、いくつかの課題がありました。従来は各国で個別に導入したERPが業務基盤として活用されていましたが、「システムがサイロ化しており、データが分断されていました。グローバルの貴重なデータを集約し、グループ全体の経営を俯瞰して即座に把握・判断することが困難でした」と木野氏は振り返ります。データ形式や粒度などが揃っていないことも問題でした。増田氏は「本社経営層が意思決定に必要とする情報を用意するには、データを収集し、整理・精査・分析が必要で、多くの時間と手間を要していました」と語ります。各種マスタやコードも各国のグループ各社で独自に管理していることにより、データ確認に多くの時間を要する事も課題でした。

取り組み

「 Dynamics 365 」で経営管理基盤を実現

前田 氏基幹情報システム部 グローバルITセンター デベロップメントチーム リーダー
前田 達也 氏
増田 氏経理財務部 アカウンティンググループマネージャー
兼 基幹情報システム部 グローバルITセンター
増田 新輝 氏

同社は2021年4月より主要国間で業務プロセスの相互理解を深める「Sharing & Learning」を実施し、新たな業務基盤のコンセプトとして、将来のIT進化に対応可能な2層構造のERPを採用しました。Tier1(第1層)がグループ各社で利用するERP、その上のTier2(2層目)のERPでグループ全体を統合するアーキテクチャです。

「Tier1のデータ形式の違いを『Fabric』で吸収し、会計とサプライチェーンの情報をTier2に集約します。この仕組みにより、各社のERPや業務プロセスなどの良さは保持したうえで、グループ全体でのデータの可視化が円滑かつ迅速に行え、グローバルで経営判断するための基盤として活用できます」(前田氏)

Tier2のERPは「ビジネスの成長とともにシステムも進化できることが不可欠です。そのためにはスクラッチ開発ではなく、パッケージとクラウドが最適と判断しました」と木野氏は方針を述べます。

2022年夏から約半年間PoCを実施し、2層ERPの実現性を含め、複数製品を比較検討した結果、「 Dynamics 365 」を採用しました。「グループ全体のデータ集約を大前提に、IT専任者がいないグループ会社での運用管理に対する安全性など、総合的に判断しました。現状のアップデートにとどまらず、将来を見越したレジリエンスな体制を整備できる点が評価ポイントでした」(増田氏)

日常業務で利用されている Excel との親和性の高さも採用を後押しました。あわせてBIレポート基盤に「 Power BI 」を採用。「データをつなぎ、分析するまでを同一の Microsoft プラットフォームで一貫して実現できるのが魅力でした」と前田氏は述べます。さらにTier2の構築と同時並行で、Tier1の1社である米国法人でも、基幹システムを「 Dynamics 365 」にリプレースすることにしました。

「 Dynamics 365 」と「 Power BI 」の導入パートナーには、日立ソリューションズを選定。「私達に常に寄り添い、当社がこだわっていることを一緒になって考えてくれました。信頼できるパートナーでしたね」(木野氏)

効果

2層のERPでグループ各社のデータを可視化

木野 氏基幹情報システム部 グローバルITセンター マネージャー
木野 恭子 氏

システム構築はアジャイルで進め、Tier2は2025年3月に本稼働を迎え、米国法人のTier1も同時期に稼働しました。「Tier2の『 Dynamics 365 』があらゆるデータの受け口になり、『Fabric』の柔軟性でグループ各社のデータをつないで、グローバルで一元的に可視化・データ活用が行える業務基盤ができあがりました。各社の既存ERPを生かせているのはもちろん、現行の管理会計システムの情報もヒューマンオペレーションを介すことなくTier2側へ取り込めています」(増田氏)

データ形式や粒度の違いはTier2で解消され、「現行運用と比較し、Tier1で管理会計システムへのデータ登録に要する時間は、従来と比較し2週間短縮できる見込みです」と増田氏は語ります。

Tier1のERPについても前田氏は、「米国法人はERPがTier2と同じ『 Dynamics 365 』になったことで、よりスムーズなデータ連携ができています。ほかのグループ各社は既存のERPを生かしながら、それぞれに適したタイミングで『 Dynamics 365 』に移行していくという自由度の高い体制にできました」と手ごたえを語ります。加えて、「 Power BI 」の活用も順次進めています。Tier1のデータをTier2でマスタ体系・コード体系を統一することで、業務基盤として活用するためのデータ整備も実現しました。あわせて、ガバナンス強化も、「 Dynamics 365 」を軸に実現しました。

今回の「 Dynamics 365 」導入を支援した日立ソリューションズへの印象を、木野氏は以下のように語ります。「コミュニケーションを密に取ってくれたことで、私達がめざすシステム像を確実に共有しているという安心感がありました。米国法人からの評価も高かったですね。当グループの関係者全員、 Microsoft や日立ソリューションズをはじめとした協力ベンダーとワンチームでプロジェクトを完遂できました」

展望

各国のグループ会社へ順次展開

今後は米国法人以外のTier1のグループ各社へ「 Dynamics 365 」を展開する予定です。

「米国法人の実績をもとに、テンプレートを作成して活用するなどの方法で、他国のグループ各社へ順次ロールアウトしていきます。すでに次国展開の準備に入っています。日立ソリューションズには、これらの取り組みへの支援を引き続き期待しています」(森氏)

消費者の健康と美容に対するニーズに応えるロート製薬のビジネスを、日立ソリューションズはこれからもITの力で支えてまいります。

ロート製薬株式会社

所在地 大阪府大阪市生野区巽西1-8-1 ロート製薬株式会社
設立 1949年9月15日
従業員数 1,753名[単体](2025年3月期現在)、9,144名[連結](2025年3月期現在)
事業内容 医薬品・化粧品・機能性食品などの製造販売
URL https://www.rohto.co.jp/

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本事例の内容は2025年9月12日公開当時のものです。

最終更新日:2025年9月12日