オリンパス株式会社様 Microsoftソリューション(文書保護ソリューション)の導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

Microsoftソリューション(文書保護ソリューション)の導入事例

オリンパス株式会社様

文書共有機密保護を Microsoft SharePoint 環境で両立

医療・科学・映像の精密機器を製造・販売するオリンパス株式会社が求めていたのは、技術情報の流出を防ぎつつ、国内外の拠点で情報を共有できるシステムです。“ダウンロードなしの共有”を実現するためにオリンパスが選んだのは、「Microsoftソリューション(文書保護ソリューション)」でした。
*以下、文書保護ソリューション

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この事例に関するソリューション・商品

課題
導入後
文書表示に時間がかかり、高速化が求められていた
応答速度・表示速度に優れるソリューションで修理業務を効率化
専用ビューアーを全拠点のパソコンに配布するには多くの工数と長い期間が必要だった
Webブラウザだけで文書を表示し、各拠点への展開が容易に
閲覧時に文字の前後が入れ替わったり、脱落したりするケースが発生していた
正確な文書表示で、技術文書や経営資料も安心して共有

従来からの課題

文書をうまく表示できず、現場からの問い合わせ対応の作業が増加

渡部 卓郎 氏IT本部 IT企画開発1部 企画開発3グループ チームリーダー
渡部 卓郎 氏

内視鏡などの医療機器をはじめとする精密機械メーカーのオリンパス株式会社は、国内外に置いた拠点・関係会社や代理店を通じて、販売・アフターサポート・修理を世界レベルで展開しています。そのために欠かせないのが、販売マニュアルや製品技術資料などの文書類です。知的財産や営業秘密といった機密情報が含まれていることから、その取り扱いには十分に注意する必要がありました。

「機密情報の流出による経営リスクを考えると、情報共有はしたいが文書そのものは渡したくない。さまざまな事情で紙の資料を渡さざるを得ない場合は通し番号を打ち、何かあったら追跡できるようにしていたため大きな工数がかかっていました」(渡部氏)

オリンパスが運用している情報共有システムは、2014年に完成した Microsoft SharePoint ベースのもの。PDFファイルに変換した文書や図面、 Microsoft Excel のファイルなどを Microsoft SharePoint の文書データベースで一括管理し、同社のセキュリティーポリシーに基づくアクセス権設定の範囲内で利用を許可する仕組みです。

ただ、 Microsoft SharePoint の標準の状態では、利用者のパソコンに文書ファイルをダウンロードされてしまいます。この“穴”をふさぐためのプログラムを社内で開発するのは難しいと判断したオリンパスは、サードパーティー製の文書表示機能と組み合わせて対処することを決意。共有文書を Microsoft SharePoint 標準の機能で画面表示するのではなく、セキュリティ対策機能を搭載した専用ビューアーに表示させることによって、共有と保護を両立させていました。

「ところが、その文書表示機能のサーバーが突然停止することがあり、現場からは『業務に支障が出ている』という声があがっていました。IT本部としてもその都度至急に対処しなければならず、作業量増加の一因となっていました」(渡部氏)

「また、パソコンに専用ビューアーのインストールが必要だったため、世界の全拠点に配布するには半年ほどかかり、工数も必要でした。さらに、文書によっては、前後の文章が入れ替わったり、文字が脱落したりしてしまうこともあり、早急な対応が求められていました」(槙野氏)

導入の経緯

要望通りの製品が見つからず「文書保護ソリューション」で問題解決

槙野 理恵 氏IT本部 IT企画開発1部 企画開発3グループ
槙野 理恵 氏

事態を重く見たオリンパスのIT本部は、2016年に文書表示機能の見直しに取りかかります。ただ、当時は“ダウンロードなし”で Microsoft SharePoint の文書を利用者のパソコンに表示できる製品が他になく、問題を解決できる見通しは立っていませんでした。

そうした状況に転機が訪れたのは2017年4月のことです。オリンパスを担当していた日立ソリューションズのSEが、日立ソリューションズの「文書保護ソリューション」を渡部氏に紹介したことから話が進み始めました。

「当社の抱えている問題を解決できるのならトライしてみようと思い、いくつかの要件を設定したうえで、まずは実現可能性の調査から始めることにしました」(渡部氏)

オリンパスが設定した主な要件と要望項目は5つありました。

●業務に支障を及ぼす動作停止を起こさないこと

●既存のシステム運用監視ツールでサービス監視ができること

●共有文書を正確に表示すること

●共有文書をダウンロードさせずに閲覧できること

●利用者のパソコンに専用ビューアーをインストールしなくても使えること

両社で1カ月ほどかけて調査した結果、「文書保護ソリューション」へのリプレースで問題を解決できる可能性が高いとの結論に至りました。

導入時の取り組み

国内外の多種多様なデバイス上で文書の正確な表示を検証

この調査を引き継ぐ形で、2017年5月にはテスト環境を使った検証作業がスタート。機能要件、非機能要件、運用性などの確認が進められていきました。

「機能面では、 Microsoft SharePoint の共有文書を正確に表示できるかどうかを念入りに調べました。『文書保護ソリューション』はWebブラウザだけで共有文書を表示する仕組みになっていました」(槙野氏)

「当社の拠点は世界中にありますので、まずは、日本語、英語、中国語のパソコン環境で同じように動作するかどうかを確かめました。併せて、回線シミュレーターやエミュレーターを使って海外拠点でのネットワーク環境を疑似的に作り、利用者にとっての応答速度を国内と海外でほぼ同等にできるかもチェックしました」(渡部氏)

その他の検証項目は、「障害発生時のイベントをシステム管理ツールにうまく引き継げるか」「共有文書の表示やスクロールの速度は従来のビューアーと同等以上か」など。すべての検証項目にパスしたことを確かめたうえで、2017年8月、オリンパスは「文書保護ソリューション」の導入を正式に決定しました。

「検証作業では、日立ソリューションズから提供された技術支援が大いに役立ちました。リバースProxyの設定の仕方や、iPadのWebブラウザで動作させる方法など、試行錯誤も多々ありましたが、その都度、的確で親身なアドバイスをいただくことができました」(渡部氏)

「日立ソリューションズのSEを通じて、『文書保護ソリューション』の開発チームとも連絡を取ることができました。検証作業をスムーズに進められたのも、開発チームの方からほぼリアルタイムでの支援を受けられたおかげだと感謝しています」(槙野氏)

導入の効果

応答速度は約1.2倍、共有文書の表示速度は約60倍に

検証の段階で問題点を徹底的に洗い出しておいた結果、本稼働用の環境構築に要した期間はわずか1カ月。2017年10月に、「文書保護ソリューション」がオリンパスの国内外の全拠点で利用できるようになりました。専用の物理サーバーを用意するのではなく、商用データセンターに設けているプライベートクラウドの中で仮想マシンを動作させるスタイルです。

「サーバーにかかる負荷が旧システムより小さいことは検証の段階で分かっていましたが、将来の拡張を見越して、当面は旧環境と同等のスペックにしました。結果的に、サーバーにかかる負荷は旧システムに比べて30~50%小さくなっています」(渡部氏)

2018年1月現在、「文書保護ソリューション」の停止回数はゼロ。リプレースの最大の狙いだった「安定動作」も実現することができました。また、 Microsoft SharePoint のファイル一覧表からの呼び出し方法が旧システムと変わらず、文書画面の表示と操作方法も Adobe Acrobat Reader DC とほぼ同等であるためか、各拠点の利用者からの問い合わせもほぼありません。システムの入れ替えに伴うユーザー教育は特に必要ありませんでした。

「システム管理を担当する者としては、専用ビューアーを使わない方式なので、各拠点への展開に時間がかからなかったことがとても助かりました。また、応答速度は旧システムの約1.2倍、 Microsoft SharePoint 共有文書の表示速度は最大で約60倍と、大幅なスピードアップもできましたので、現場での修理業務などの効率化にも貢献できていると思います」(槙野氏)

今後の展望

社内各部署からの要望に応えて共有対象の業務や文書を拡大中

2018年初めの時点で「文書保護ソリューション」を利用しているのは、医療・科学の2事業とコーポレート部門の一部です。セキュアな文書共有をしたいというニーズはさまざまな部署から寄せられており、対象文書の種類と件数は今も増加中です。

「経営管理の部署からは『インサイダー取引を未然に防止するために、合併買収(M&A)時の資産査定(D/D)に使われる資料は直接の関係者でもダウンロードできないようにしたい』という個別の要望もありました。正確に文書を表示できる新システムなら大丈夫。技術文書用とは別の仮想マシンでこのシステムを稼働させ、その環境上で使ってもらえるように進めています」(渡部氏)

内視鏡をはじめとする医療機器に限らず、オリンパスが製造・販売している製品には同社が生み出した世界最先端の研究開発の成果が投入されています。日立ソリューションズは、今後も機密情報の流出防止対策と業務の効率化を支援していきます。

オリンパス株式会社

1919年に創業者が築いた光学技術により、顕微鏡事業で創業。この技術が受け継がれ、カメラや内視鏡の技術へと発展。近年は、光学と最新のデジタル技術を融合した「Opto-Digital Technology(オプトデジタル テクノロジー)」を他社にはまねのできない核となる技術力として、世界レベルでの一流企業をめざす。

本社所在地 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス オリンパス株式会社
設立 1919年10月12日
従業員数 34,687人(連結、2017年3月31日現在)
事業内容 医療、科学、映像などの精密機械器具の製造販売
URL https://www.olympus.co.jp/

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本事例の内容は2018年10月17日公開当時のものです。

最終更新日:2018年10月17日