SAPソリューション SAP S/4HANAの導入事例
扶桑薬品工業株式会社様ERPをSAPで刷新しデータベースを統合。医薬品の安定供給体制をシステム面から強化
透析剤のトップメーカーである扶桑薬品工業株式会社は、日立ソリューションズの支援のもと、独SAP社の「SAP S/4HANA」を導入し、ERPを刷新しました。その結果、従来のERPではシステムごとに必要であったデータベースを1つに統合し、システム間のシームレスなデータ連携が可能になりました。システムへの二重入力も解消し、医薬品の安定供給を支える基幹システムの最適化を実現しています。
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背景
ERPのシステム間連携に課題
上席執行役員 総務本部長 総務部長(兼)経理部長古市 晴彦 氏
ブドウ糖注射液の製造を事業の起源とする扶桑薬品工業。1964年には「人工腎臓潅流原液“フソー”」をいち早く市場に投入しました。現在は透析液のトップメーカーとして、人工腎臓透析用剤「キンダリー透析剤」を柱に、全国の透析治療を日々支えています。
「透析剤をはじめ輸液や注射剤など、医療に欠かせない基礎的医薬品を製造販売する当社にとって、製品の安定供給は社会的使命といえます。大規模自然災害などのリスクを考慮し、製造拠点を国内の東西4カ所に分散配置したり、物流拠点を全国12カ所に設けて医薬品を備蓄したりするなど、安定供給に長年努めています」(古市氏)
安定供給にはシステムが不可欠であり、なかでも基幹業務を担うERPは重要な存在です。同社は既存システムの保守切れを控えるにあたり、ERPの刷新に取り組みました。その際、課題解決も図りました。
「従来のERPは、製造や販売、財務会計など、それぞれの業務領域ごとにシステムが分かれており、データが分断されていました。システム連携はインターフェースを介して行わなければならず、不整合や遅延の恐れがありました。加えて、一部ではデータの二重入力が必要な部分がありました」(梅原氏)
スクラッチ開発したシステムでは業務が属人化していたこともあり、「Fit to Standardの考えに基づいた業務標準化も視野に入れました」と梅原氏は続けます。
さらに、長期的な視点からERPを中心とする業務改善を狙いました。「発送業務をFAXから電子化するなどして、効率化、トレーサビリティ向上などをめざすのはもちろんのこと、近い将来にはデータドリブン経営やAI活用による創薬などのDXにつなげていきます」と大場氏は語ります。
取り組み
「SAP S/4HANA」導入でERPを刷新
総務本部 情報システム部 部長梅原 邦彦 氏
複数のERPを比較検討した末、同社は独SAP SEの「SAP S/4HANA」を選びました。
「ほかに候補に挙がったERPはすべて、複数のデータベースを必要とする構成でした。SAPは1つのデータベースに統合されている点が大きな決め手となりました」(梅原氏)
SAP導入のパートナーには、日立ソリューションズを選びました。
「海外製のERP導入は初めてなので不安がありました。われわれはパートナー選びの際、技術力や経験だけでなく人柄も重視しました。日立ソリューションズはその点、私たちの要望や疑問に対して真摯に対峙してくれて、信頼できると感じました。導入実績は国内トップクラスの豊富さですから、安心感もありました」(梅原氏)
さらに、「製薬系のテンプレートをそろえている点も魅力でした」と大場氏は語り、総合的に判断して日立ソリューションズが一番良かったと言います。
2023年9月、システム構築をスタートし、2025年4月に本稼働を迎えました。その過程を大場氏は次のように振り返ります。
「移行データの準備には苦労しました。リハーサルや本番に向けて、現状のデータベースを念入りに分析して臨みました。1万4,000以上ある出荷パターンの作成は半年以上前から準備を進めましたね」(大場氏)
日立ソリューションズへの評価としては、SAPや製薬業界の知見の深さと併せて、手厚いサポート力を挙げます。「質問への回答が毎回素早くわかりやすいので助かりました」と梅原氏はほほ笑みます。古市氏は「終盤では私たちと膝を突き合わせ、ホワイトボードに課題を挙げていき、1つずつ着実に解決してくれました。おかげで無事、目標とする期日内に製品が出荷可能となり、安定供給の体制を築き上げることができました」と喜びます。
効果
二重入力の解消で業務効率化
DX推進室 室長大場 未知男 氏
扶桑薬品工業は「SAP S/4HANA」によるERP刷新で、さまざまな効果を得ています。
データベースを1つに統合できたため、「従来のようにインターフェースを介す必要がなくなり、システム間でデータをシームレスに連携できます。不整合や遅延のリスクを大幅に低減できました。二重入力もすべて解消され、業務効率がアップしました」と梅原氏は強調します。
大場氏は「営業担当者が分析に用いる受注実績など、必要なデータを素早く取得できるようになりました」とデータベース統合の効果を述べます。
業務標準化については、グローバルスタンダードな製品である「SAP S/4HANA」を導入したことにより、Fit to Standardの考えに基づく業務標準化を推進し、効果が出てきました。「現時点では現場へ浸透させていく途中で、マニュアルのブラッシュアップなどが優先されますが、次の段階として業務標準化の定量的な効果を評価していきたいです」と梅原氏は話します。
さらに、SCM強化の面でも導入効果が期待されます。「従来、分散していたサプライチェーン管理機能を、ERPによって集約して可視化します。これにより品質とコンプライアンスの両立、SCM全体のレジリエンス強化などを達成し、より確実に安定供給を継続できると見込んでいます」と古市氏は語ります。
展望
「SAP S/4HANA」のさらなる活用を促進
今後は「SAP S/4HANA」のバージョンアップおよびアーカイブを随時実施しつつ、活用の裾野を広げていきます。
「例えば、ERPのデータを用いて、リアルタイムで経営状況を確認できるダッシュボードの作成などを構想しています。日立ソリューションズには、私たちと同じチームとして、当社のシステム全般の最適化を一緒になって考えていってほしいですね」(大場氏)
医薬品メーカーとして医療の現場を支える同社のビジネスを、日立ソリューションズはこれからもITの力で支援してまいります。
扶桑薬品工業株式会社
| 所在地 | 大阪市中央区道修町1丁目7番10号 | ![]() |
|---|---|---|
| 設立 | 昭和12年3月25日(1937年) | |
| 従業員数 | 1,340名(2025年3月31日現在) | |
| 事業内容 | 医薬品の研究開発、製造、販売 | |
| URL | https://www.fuso-pharm.co.jp/ |
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本事例の内容は2026年2月3日公開当時のものです。
最終更新日:2026年2月3日


