『イノベーション』それは単なる「新しいアイデア」や「技術革新」を意味する言葉ではありません。本来の意味は、「既存の価値観や仕組みを根本から変え、新たな価値を創出すること」にあります。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションは「新結合」によって生まれると提唱しており、異なる要素や視点が出会い、融合することで初めて新しい価値が生まれるとしています。

企業活動においても、イノベーションは競争力の源泉であり、持続的成長の鍵を握る存在です。しかし、イノベーションは偶然の産物ではなく、意図的に“起こす”もの。つまり、組織の中に「つながり」や「越境」がなければ、イノベーションは生まれにくいのです。特に社内では、部署ごとに異なる専門性や文化が存在しており、それらが交わる機会が少ないと、イノベーションの芽が埋もれてしまいます。だからこそ、社内における“つながり”の設計が、イノベーション創出の第一歩となります。

社内には多様なスキルや経験を持つ人財が存在しているにもかかわらず、それらが十分に活用されていない現状があります。
部署ごとに異なる文化や目的を持つ組織では、横のつながりが希薄になりがちで、必要な知見や人財にアクセスすることが困難です。結果として、イノベーションの芽が育ちにくい環境が生まれてしまいます。
このような課題に対し、従来は異動や兼務といった手段が取られてきましたが、敷居が高く、利用率も伸び悩みます。本業への影響や過重労働の懸念もあり、柔軟な人財活用が難しいという声が多く聞かれます。

こうした課題を解消するために社内のスキルマッチングを活用するのはいかがでしょうか。この仕組みは、異動を伴わない短時間のスポットマッチングを支援する社内プラットフォームであり、社員同士のスキルとニーズをつなぐ役割を果たします。
例えば、「色彩検定」「韓国語」「不動産営業」など業務外の自身の趣味で得た知識や過去の経験をスキルとして登録可能です。セマンティック検索によって自然言語での検索が可能となっており、従来のキーワードマッチングよりも柔軟なマッチングが実現されています。
このような設計により、社員が持つ“眠れる才能”を可視化し、必要な場面で活用できるようになっています。

実際に本サービスを活用した事例では、Swift言語の技術支援やグラフィックレコーディングのノウハウ提供など、専門性の高いスキルが社内で活用され、プロジェクトの質向上に貢献しています。
さらに、介護プロジェクトの立ち上げ検討で、有識者のアドバイスとして介護経験のある方を本サービスでマッチングし、有識者としてスポット参画した事例もあります。プロジェクトで必要なメンバーの収集に利用しているケースです。検索数は4カ月で累計1.3万件を突破し、利用者数も4,000人を超えるなど、社内での活用が急速に広がっています。このようなマッチングを通じて、部署を越えた協働が生まれ、イノベーションの連鎖が始まっています。
社員が自らのスキルを生かし、他部署と協働することで、組織全体に“協創”の文化が広がりつつあります。これは単なる制度の導入ではなく、組織のあり方そのものを変える可能性を秘めています。

イノベーションは、特別な才能や予算から生まれるものではなく、日々の業務の中にある“気づき”や“つながり”から芽吹くものです。
社内のスキルマッチングは、社内の壁を越えて人と人をつなぎ、組織に眠る可能性を引き出す仕組みです。
今後は、より多くの社員がこの仕組みを活用し、互いのスキルや経験を共有することで、社内イノベーションの土壌がさらに豊かになっていくでしょう。つながりが文化となる未来へ向けて、今こそ一歩を踏み出してみてはいかがですか。