PC自動シャットダウンシステムの導入事例
ユアサ商事株式会社様指定時刻に全PCを自動でシャットダウン。労働時間削減と業務の平準化に貢献
ユアサ商事株式会社は、「2023年度までに総労働時間を1,900時間にする」という目標を達成するために、日立ソリューションズの「PC自動シャットダウンシステム」を導入しました。手作業だったPCのシャットダウン管理を自動化・省力化するとともに、繁忙期と閑散期でシャットダウン時刻を柔軟に設定することにも成功しました。この仕組みは、リモートワークが進む中での長時間労働の抑止にも役立っています。
この事例に関するソリューション・商品
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背景と課題
従来のシャットダウン管理はメール申請による手作業方式
井水 敏之 氏
ユアサ商事は1666(寛文6)年創業の歴史ある商社です。現在では、“つなぐ”複合専門商社グループとして、「工場」「住環境」「インフラ・建築」に欠かせない多様な商材を約2万社の販売先に卸しています。
同社は早期からワークライフバランス改善に取り組んでおり、2015年7月には、所定の時刻になったらPCを強制的にシャットダウンする運用を開始。長時間労働を抑制することにより従業員の健康を維持し、介護や育児と仕事を両立できるワークスタイルの実現をめざしてきました。
ただ、当初のPCシャットダウン設定は手作業で、担当者にかかる負荷が大きく、シャットダウン時刻を柔軟に設定できないという課題を抱えていました。
「当社の就業時間は9時から17時までで、PCのシャットダウン時刻は余裕をもって20時としていました。しかし、月末などの繁忙期にはそれでも業務が終わらないことがあり、申請があればシャットダウン時刻を個別に21時まで延長するという運用をしていました。人事部宛てに従業員から申請メールが送られてきたら、それらを取りまとめてPCサポートセンターに渡し、延長の作業をしてもらっていたのです」(今野氏)
「シャットダウン時刻の延長は、システム管理ツールのActive Directoryの設定をPCサポートセンターの担当者が書き換えることで行っていました。ただ、申請の取りまとめと設定変更は手作業でしたので、作業に要する時間を考えると、申請の締め切りを16時30分に設定するしかありません。これでは突発的な業務に対応することができず、従業員にも負担になっていました。また、Active Directoryで指定できるのは曜日ごとのシャットダウン時刻だけなので、祝日の扱いが難しいという問題もありました」(井水氏)
選定と導入
運用の柔軟性が高かったのは日立ソリューションズの製品のみ
今野 隆史 氏
こういった課題を抱えていたユアサ商事がシャットダウン設定の自動化を考え始めたのは、2019年2月のことでした。
2018年4月に同社のグループ企業が日立ソリューションズの「PC自動シャットダウンシステム」を導入したのを受けて、同じようにユアサ商事でも自動化できるのではないかと考えたのです。
「当該グループ企業には専任のIT担当者がいなかったので、当社のように手作業でシャットダウン時刻を延長するような運用はできません。そこで当社の情報システム部が協力する形でシャットダウン自動化製品を2017年12月に選定し、2018年4月から当該グループ企業での運用を開始し、その後複数のグループ企業に対して順次展開しました」(井水氏)
複数のグループ企業での実績を受けてユアサ商事でも検討に着手しました。3社の製品を比較した中で、「PC自動シャットダウンシステム」だけが、実務で適用するにふさわしい柔軟性を備えていました。
「日単位で詳細に設定できるカレンダー機能を持ち、非管理職・管理職・経営層といった職制ごとにグループに分けて異なるシャットダウン時刻を設定できるのが特徴でした。ほかの製品では実情に沿う運用は望めないこと、また、平日(月曜日~金曜日)の祝日対応についても可能であることから、採用を決めました」(井水氏)
ユアサ商事がもう1つ重視したのは、既存の勤怠管理システムと「PC自動シャットダウンシステム」を連携させることでした。同製品は独自のシャットダウン時刻延長申請機能を備えていますが、従業員に時刻延長と、既存の残業の2つの申請をさせるのは負担です。残業を申請して上司が承認したら、自動的にシャットダウン時刻が延長されるようにしたかったのです。
そこで、日立ソリューションズはグループ企業が使っている勤怠管理システムと連携するためのモジュールを新規に開発。申請を一元管理できるようにしました。
こうした運用の課題解決を経て、2019年4月に同社での採用を決定し、2019年10月に本稼働を開始しました。
さらに、シャットダウン自動化と時期を同じくして、ユアサ商事は営業担当者向けに数百台のモバイルPCを導入。モバイルPCも自動シャットダウンの対象とすることによって、いつでもどこでも仕事ができる働き方改革と長時間労働の抑制の両立をめざしました。
成果と今後
従業員の意識が高まり働き方の変革が進む
ユアサ商事が現在の目標としているのは、2017年度には2,034時間だった一人当たりの総労働時間を2023年度までに1,900時間に減らすことです。「PC自動シャットダウンシステム」の自動シャットダウン機能で残業を抑制することによって、同社はこの目標に近づくことができました。
「当社の調べでは、手作業で設定していた当時の全社平均退社時刻は18時44分でした。これに対して、システムを稼働開始した2019年10月以降の平均退社時刻は18時30分。業務の生産性向上とシャットダウン時刻の柔軟な運用により、1日当たりの平均労働時間を14分も短縮することができました」(今野氏)
この14分は、同社の従業員全体の規模にすると240時間もの稼働時間に相当する値です。
また、自動化によって延長申請の取りまとめが不要になった結果、人事部における毎日の作業時間は約30分減少。各部門でも「労働時間は有限なので効率よく働こう」という意識が高まり、仕事の分担を見直して作業量を平準化したり、業務終了後速やかに退社するといった意識の変革が進んでいます。
さらに、モバイルPCも自動シャットダウンできるようにしておいたことが、新型コロナウイルス感染対策のリモートワークにも役立ちました。
「2020年4月に緊急事態宣言が発令されたときは、当社もリモートワークで業務を継続しました。在宅勤務では仕事とプライベートを分けづらくなると言われていますが、モバイルPCが自動シャットダウンされることが分かっているので、従業員も『今日の仕事はここまで』と割り切ることができます。ワークライフバランスを保つためにも、『PC自動シャットダウンシステム』は役に立っています」(今野氏)
ユアサ商事グループでは、すでに8社が同製品を運用中。サーバーが不要で低価格の「PC自動シャットダウンシステムBasic Edition」が2020年3月に登場したことを受けて、まだ導入していないグループ企業への展開も検討し始めています。
「グループ8社への導入が完了した今、特に大きなトラブルもなく毎日運用できていることに安心感を覚えています。また、グループ各社それぞれの勤怠システムと『PC自動シャットダウンシステム』を連携させるためのモジュールを日立ソリューションズに個別に開発してもらった結果、シャットダウン時刻延長申請と残業申請を一本化することもできました」(井水氏)
働き方改革関連法により時間外労働の上限が定められ、労働時間の短縮、業務効率の改善、従業員の健康維持に取り組む企業がますます増えていきます。早い段階からこれらの課題に取り組んできたユアサ商事の知見は多くの企業の参考になります。日立ソリューションズはこれからも企業のワークライフバランスの実現を支援していきます。
ユアサ商事株式会社
1666(寛文6)年、刀鍛冶向けの木炭商として京都で創業。1919年に湯淺七左衛門商店として設立され、1992年に現商号となる。コア事業部門は、産業分野の「産業機器」「工業機械」、くらし分野の「住設・管材・空調」「建築・エクステリア」「建設機械」「エネルギー」「消費財・木材」の7つ。約6,000社から仕入れた約500万アイテムの商品を約2万社の販売先に卸している。
本社所在地 | 東京都千代田区神田美土代町7番地 | |
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設立 | 1919年6月25日(創業1666年3月) | |
従業員数 | 2,242人(連結、2020年3月末) 1,030人(単体、2020年3月末) |
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事業内容 | 産業機器部門、工場機械部門、住設・管材・空調部門、建築・エクステリア部門、建設機械部門、エネルギー部門、消費財・木材部門を持つ複合専門商社グループ | |
URL | https://www.yuasa.co.jp/ |
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本事例の内容は2021年2月24日公開当時のものです。
最終更新日:2024年12月10日