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特集・コラム

第5回 ネット通販の不安 第5回 ネット通販の不安

ネット通販市場は伸びている

 経済産業省によると、BtoC市場は11.2兆円(2013年)で、市場拡大が継続的に上昇しており、従来の通販会社などでのEC化率は大幅に増えている(図1)。

図1

(経済産業省調べ、2014年8月26日発表)

図1

 日本通信販売協会(JADMA)でも2013年の通信販売の市場について5兆8600億円の市場規模と順調な伸びを推計している(図2)。

図2

(2013年度通販市場売上高調査、2014年8月26日発表)

図2

 通信販売の利用者側を見てみると、2013年の調査(日本通信販売協会調べ)では、通信販売申し込み手段のうち、PCによるネットからの申し込みが57.1%、携帯、スマホ、タブレットによるネットからの申し込みは29.0%(2013年)にも上る。実際の現場ではネット通販が、通販の中心になっている。

 さらに、通販の利用度について企業・カタログの順位で見ると、Amazon22.8%(前年20.7%)、楽天市場16.1%(前年12.1%)、ニッセン6.6%(前年6.0%)、ジャパネットたかた5.8%(前年5.1%)、千趣会・ベルメゾン4.3%(前年3.7%)、ベルーナ4.1%(前年3.6%)、DHC3.8%(前年4.6%)、ディノス・セシール3.7%(前年数値なし)という結果となっていた。

 Amazonは同社の年次報告書によると、日本の売上高は2013年に76億3900万ドル(円換算7500億円)と前年比2.1%減だが、これは、この1年での大幅な円安のためであり、円換算では実質20%前後の伸びを示しているものと思われる。

 一方で、従来型の通販会社では、ニッセンホールディングスの業績を見ると直近の2013年12月期決算は、売上高が1964億円(前期比11.2%増)と伸びてはいるものの、営業損失33億円、純損失28億円という結果だ。円安による調達コストの増加、物流費の増加などの理由で大幅な業績悪化を招いている。

 このうち、ニッセンのネット経由は2011年が54.0%、2012年55.0%、2013年61.3%と確実にウェイトがあがっている。会員数も1202万人に増えている。しかし、M&Aなどによる売上増はあっても主力のニッセンの売上高が、減少している。

 2014年第2四半期でも売上高969億円(前期比5.5%減)、営業損失21億円、純損失24億円と業績悪化が止まらない状況だ。ネットの売上比率は63.7%、ネット会員は1249万人と増えているものの、業績向上につながっていないのが現状だ。

参入企業の拡大

 従来型の小売業、百貨店、スーパー、コンビニなどもネットの活用は積極的で、オムニチャネル戦略として、様々な取り組みが行われている。

 ネット、リアル、SNSを連携し、実店舗では並べられない商品をネットでサポートしたり、ネットでの注文を店頭で受け取れるようにするなど、顧客の楽しみ・快適を追求するマーケティング戦略によって、商品の購入機会を広げる取り組みが急速に進められている。
 連携でよくみられるのが、店舗とネット通販の在庫の一元管理だ。在庫状況を一元で把握することで、ユーザーに最適な商品提供(近くの店舗での購入、ネット注文、発注)を進める動きだ。

  流通ニュースでも、リアルな店舗におけるネットを活用した販売促進に関わるニュースは年々増加している。Twitter、LINE、Facebook、メルマガ、YouTubeなどとの連携は、アパレルを中心に一般的になっている。同様に、メーカー、百貨店なども様々なキャンペーンにおけるネット活用は、従来のTV、新聞、雑誌を上回るレベルに広がっている。

ネット通販課題と不安

 様々な企業による販売、販売促進がネット上で行われている現実を見ると、実はかなり不安に感じることがある。一般消費者のスマホ、PC、タブレットの情報依存が非常に高まっていることだ。
 商品情報を得る方法として一旦ネットに慣れてしまえば、ほとんどの商品情報を入手することができる。価格、評価、品質など一覧でみることができる。利用者としては便利なのだが、販売するほうから見ると、ネットで集客させる強み、方法をビッグデータから読み取らないといけない。
 目標は、Amazonだ。Amazonで関心のある商品をチェックしていたら、1日ぐらいでその商品分野の購入を誘導するメールが届く。在庫数もリアルにわかるし、配達される日も案内してくれるし、届け先の変更、決済の変更なども様々な課題に対応してくれる。しかも個人情報を登録してしまえば、ワンクリックで注文できてしまう。
 Amazonプライムの契約をしてしまえば、配送料が無料で時間帯によれば当日届くし、荷物追跡も確実に行われる。
 Amazon.co.jpで購入した商品は、原則として未開封・未使用のものに限り、商品到着後30日以内の返品を受け付けている。現在、ネット通販の日本売上トップのAmazonのサービスが、ネット通販の基準となっている。

 これだけのレベルのサイトがネット通販の最大手なため、同様なサービスレベルを消費者は他の通販会社に求める。しかし、ここまでできるサイトが少ないのが現実だ。世界レベルでの技術開発、システムの導入により、セキュリティ、決済、CRMなど安全で信頼できるサイト環境が作り上げられている。
 しかし、これだけの仕組みを各社が個別に作るとしたら大幅な投資と絶え間ない顧客拡大、既存顧客へのアピールを積極的に行わないと、顧客の購買増につなげていくのは困難になっている。
 例えば、サイトへの誘導にかかわるコスト、システム、方法を見ても、申し込みフォームに誘導するためには、常にTwitter、LINE、Facebook、メルマガ、YouTube、各メディアの広告等をうまく活用して囲い込まなければならない。当然、専任の要員もいるし、何がベストなのか持続的な試行錯誤とチャレンジが必要だ。

 一方で、課題なのが配送コストの問題だ。ネット通販利用者は、配送料無料を常に期待している。その対応策として、AmazonはAmazonプライムの年会費3900円(税込)で配送料が無料となる。他社も追従しているが基本は、購入料金が一定の金額を超えた場合、無料としている。

 しかし、配達委託先のヤマト運輸などの宅配業者の料金値上げが相次いでいる。従来は燃料価格の上昇などが要因だったが、現在はドライバー不足という要因だ。
 ドライバーだけでなく、物流施設内での作業者不足によるパート・アルバイト時給の値上がりが首都圏では続いている。このため、宅配業者側からの値上げを各通販会社、通販の物流子会社でも受けざるを得ない状況により、大手通販会社の収益悪化が目立ってきた。
 しかし、Amazonが現在の仕組みを変えない限り、体力勝負になりつつある状況が出ている。

 その傾向を反映するように、サミットネットスーパーが、2014年10月31日で終了した。ZOZOTOWNは、2012年11月から全商品の配送料無料に踏み切ったが、2014年10月から3000円(税込)以上の購入について無料とし、3000円未満は配送料350円に変更した。メーカーでもパイオニアが、2014年9月30日でネット直販ショップを終了した。

 今後、ネット販売の方法が変化していくかもしれないが、メーカー・小売りなどが行っているネット通販が、Amazon、楽天内のショップへ移行するケースも増えるものと考えられる。セブン&アイ・ホールディングスによるニッセンホールディングスの子会社化、通販企業の集約といった動き、相次いで出現するネットメディア、顧客囲い込み競争はまだまだ続きそうなだけに、ネット通販市場からは目が離せない。

(2014年10月8日更新)

流通ニュース

流通ニュース編集部

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