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2ページ目|第2回 リーダー力アップのための3つのポイント|脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」
第2回 リーダー力アップのための3つのポイント

体軸をまっすぐに整え、「空間認知能」を鍛える。

 そして、もう一つ、リーダーたる人には必須の能力があります。人間が運動をしたり、言葉をしゃべったり、ものを考えたりする時に必ず使う脳の知能である空間認知能です。
 この空間認知能を鍛えて達人の部類になると、数ミリの差や微妙な違いがわかるようになります。オーケストラの指揮者なら、誰も気づかないような間の違いがわかる。野球の投手なら、ここは打たれる、ここは打たれないというゾーンがピンポイントでわかるようになるのです。このようにスポーツや芸術の分野で天才と呼ばれている人は、とりわけこの空間認知能が発達しているといわれています。もちろん、ビジネスの分野でもそれは同じです。

 空間認知能に関係する神経細胞は、脳内のさまざまな場所に分布していることが知られています。近年では、物事を予測したり、先を読む時に活発に働いている前頭葉の第10野にも空間認知中枢があることが分かってきました。この能力を意識して高めていくことが、組織のリーダー、またそうしたリーダーを束ねる立場の方には不可欠なものなのです。

 例えば、ビジネスの上で不可欠な能力である、情報を正確に認識し、そこから間違いのない考えを生み出す場合にもこの空間認知能を鍛えていなければ力を十分に発揮することはできません。私の知り合いのビジネスパーソンは、一人の部下から報告を受けながら、背中で話している部下たちの会話や、訪ねてきたお客様の様子まで全部把握できるといいます。それだけでなく、大自然の“気”や、人間同士の“距離感”や“間合い”、“場の空気”を察知することができるのも、この能力が発達しているからこそです。現在のような厳しい状況の中で組織がサバイバルしていくためには、こうした能力が必須であることは、このコラムをお読みの方ならおわかりいただけるはずです。

 そして、この空間認知能を発達させるには、まず体軸がまっすぐでなければいけません。簡単に言えば、姿勢が良いこと。数ミリでも体軸がズレていると、結果が出にくいのです。いくら頭の良い方でも、体軸がズレていると脳のパフォーマンスを上げることはできません。ゴルフでいうと、ドライバーが曲がる、パッティングがうまくいかない、というのも「自分では正しい姿勢のつもりなのに体軸が曲がっている」場合が多いのです。
 かつて名ゴルファーとして名を馳せたジャック・ニクラスが、ある人に「どうやってドライバーを打つんですか?」と聞かれた時、彼は「こうやって、ボールに対して水平に立つんです。そして、まっすぐに構えてパンと打つんです」と、ただそう答えたというのです。これは私に言わせると、体軸がしっかりした人にだけ通用するアドバイスです。

 体軸がしっかりしていると目線が水平になり、正確にものが見え、すばやい判断力、思考力が発揮できます。逆に体軸がズレていると、目に入った情報も傾くので、左右の異なる目から入る情報のバランスの違いを、脳内で補正しなければなりません。この補正するという余計な時間によって身体を動かすタイミングにズレが生じ、特にスポーツなどでは致命的な結果を招くことになります。ビジネスの現場では判断に迷いが生じ、組織の向かう先を見誤ることにもつながります。

目をつぶって飛び上がり、元どおりの位置に着地できるか試す
目をつぶって飛び上がり、元どおりの位置に着地できるか試してみよう

 そこで、体軸を正すコツをご紹介しましょう。まずは「いつでも真上に飛び上がれる状態」を意識することです。目をつぶって飛び上がってみて、元どおりの位置に着地できるか試してみてください。以前私は、ゴルフを始めて数ヶ月の女性に「1メートル、2メートルのパッティングを入れる方法を教えてください」と言われたことがあります。確かにパッティングしたボールがどこに転がってくるかわからない。そこで目を閉じて同じ位置に着地するようにジャンプをさせました。案の定、元の位置に着地できない。私は、グリーンサイドで彼女に「目を閉じてまっすぐジャンプできるように」指導しました。30分かかりましたが、最後に彼女は体軸がまっすぐになり、見違えるようにパッティングがうまくなりました。

 体軸をまっすぐにし、空間認知能を鍛える。そのために効果的なのがスポーツをすること、絵を描くことです。その際に注意すべきは「正確に」という点です。キャッチボールなら、正確に相手の胸元に投げる。絵を描く時にはマス目(格子)を利用して物を正確に描くことが大切になります。また、文字を雑に書くと空間認知能は低下します。文字を書く時は、線の長さやアキの幅など同じにすべきところをそろえる、角と角を合わせるなどをポイントに、しっかり丁寧に書くように心がけましょう。
 いずれも昔、体育や図画工作などで習ったものばかりですが、授業では体育はもって生まれた運動センスの問題に、美術は感性の問題にすりかえられることが多いようです。それで嫌いになった方も多いと思いますが、脳の仕組みから考えれば、「正確性」をキーワードにすることで空間認知能は鍛えられ、運動能力や絵を描く力が高められるのです。

 体軸を整え、空間認知能を鍛えていくと、人間はとてつもない能力を発揮できるようになります。芸術、スポーツ、ビジネス、あらゆる分野で一流と呼ばれる人がみな姿勢が美しいのも、空間認知能が優れているからなのです。

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