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第4回 真のリーダーになるために、脳の功罪を知る|脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

脳医学者 林成之の「逆境を打破する勝負脳講座」
第4回 真のリーダーになるために、脳の功罪を知る

第4回は、危機的状況下を生き抜く真のリーダーになるために知っておきたい、脳の「統一・一貫性」「自己保存」についてです。どんなに優れた人間の脳でも間違いを起こす、というテーマを、脳の仕組みを交えて解説していただきます。また、講座の最後では、読者の方から寄せられた「林先生がつくり上げた最強医療チームの秘密」に関するご質問に、林先生がお答えします。

脳のクセ「統一・一貫性」「自己保存」のメリットとデメリット。

 今回は、リーダーにとって重要な要素である独創性や判断力に関わる二つの脳のクセ「統一・一貫性」「自己保存」についてお話しようと思います。この二つは、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」といった神経細胞由来の本能ではなく、これらの本能を守るために生まれた組織由来の本能で、いわば後天的なものです。これらをクセと呼んだのは、これらが絶対不変のものではなく、脳の発達段階や環境などによって変化する性質があるためです。このことを意識した上で読んでいただきたいと思います。

 まずは「統一・一貫性」についてです。これは文字通り、整ったもの、秩序立ったもの、筋が通ったものを好む性質です。つまり、取り込まれた情報が正しいのかどうかを判断する基準として生まれたものです。人間の「正誤を判断する」「類似するものを区別する」「バランスをとる」「話の筋道を通す」といった作用は、この「統一・一貫性」に基づいており、生きていく上で大変重要な要素の一つです。特にリーダーという立場にある人は、日々多くの意見や提案に対して「それは正しい」「それは違う」といったジャッジを下さなければなりません。こうしたジャッジには脳の「統一・一貫性」が働いているのです。

 しかし、この「統一・一貫性」がデメリットになる場合があります。例えば、どう考えても間違っている意見が、組織内で多数派によって正しいとされると、いつのまにか組織全体の意見ということになり、暴走することがあります。これは「仲間になりたい」という本能とともに、数が多い方に揃えたいという脳の「統一・一貫性」のクセが働くことで引き起こされるのです。このように、多くの人が同意するもの、権威あるもの、それらしい理屈があるもの、常識とされているものなどには「統一・一貫性」は働きやすいのです。

 次に、リーダーに気をつけていただきたいもう一つの脳のクセである「自己保存」についてです。本講座の第1回目でもお話しましたが、「自己保存」は「生きていくために自分を守る」という大変重要な本能である反面、「統一・一貫性」とともに脳が間違いを犯したり、脳のパフォーマンスを落としたりする原因になることもあります。特に、この「自己保存」は脳のクセとして非常に強いものですし、過剰に働きやすいものなので、注意が必要です。

 例えば、不祥事を起こした企業が弁解に終始したり、不祥事を隠蔽しようと嘘に嘘を重ねたりすることで、更なる悪事を招くことがあります。真摯に詫びて原因を究明し、今後の対策を表明するなど取るべき対策はあるはずです。その方がお客様や取引先は納得するでしょうし、再生の道も見えてくるでしょう。それなのに、その残された細い道を自ら断ち切るような言動をするのはなぜなのか。それは「立場を捨てたくない」という「自己保存」のクセが過剰に反応しているからなのです。

相手の方が理屈では正しいと感じながらも、持論を押しつけたり、聞く耳を持たずに話をさえぎってしまう
脳の「統一・一貫性」「自己保存」にこだわるあまり、会議が紛糾

 このようにして脳が「統一・一貫性」「自己保存」にこだわりすぎると、正しい判断、今を生き抜く新しい発想が生まれてこないというデメリットもあります。例えば、みなさんもこんな経験はないでしょうか。会議で自分とは違った意見を述べた人を受け入れられなかったり、そればかりか、異なる意見をもつ人、その違った意見を述べた人自身を嫌いになったりしたことです。相手が言っていることの方が理屈では正しいかもしれないと感じながらも、持論を押しつけたり、聞く耳を持たずに相手の話をさえぎってしまう。あなたのまわりでも思い当たることがあるはずです。これらはすべて、脳の「統一・一貫性」と「自己保存」というクセによるものなのです。

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本記事の内容は公開当時のものです。本コラムに関するご意見等ございましたら、日立ソリューションズまでお問い合わせください。

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