Chapter02色の基本を学ぶ
色の効果をビジネスに活かす方法を知るには、まず色彩の基本を理解する必要があります。具体的なテクニック紹介の前に、最低限知っておくべき基本の用語や知識を解説します。
※ここでは、(財)日本色彩研究所が発表した「PCCS」と呼ばれるカラーチャートを基に説明します。
「有彩色」と「無彩色」
色は、大きく2つに分けると、有彩色と無彩色に分かれます。有彩色とは、赤、青、緑、黄色など、色味のある色。無彩色とは、黒と白と、その中間のグレー(いわゆるモノトーン)のことを言います。
色の3属性「色相、明度、彩度」
有彩色は、「色相、明度、彩度」という3つの性質を持っています。「色相、明度、彩度」は、膨大にある有彩色を整理するための尺度として使われます。ちなみに無彩色には、「明度」しかありません。
❶ 色相
有彩色は、「色相、明度、彩度」という3つの性質を持っています。「色相、明度、彩度」は、膨大にある有彩色を整理するための尺度として使われます。ちなみに無彩色には、「明度」しかありません。
色相とは、赤み、青み、黄みといった「色み」のこと。その色が赤っぽいのか青っぽいのという色みを判断するための尺度です。色相の基準は、「色相環」(右図)と呼ばれる色の環(わ)で表されます。

❷ 明度
明度は、暗いか明るいかという色の明暗の度合いです(右図)。明度の基準は、無彩色のスケールで表すことができます。明度が一番明るいのが白、一番暗いのが黒で、その中間は明るさの異なるグレーで表現されます。有彩色の明度は、この無彩色のスケールの中で、同じ明るさのグレーを見つければ分かります。

❸ 彩度
彩度は、色の鮮やかさの度合いです(右図)。もっとも彩度の高い色を純色と言い、彩度が低くなるにつれてくすんだ色合いになっていきます。例えば赤色の場合、彩度が高いと真っ赤に、彩度が低いと、穏やかでくすんだピンクに近くなります。
色は、上記の3要素、色相(色み)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)のミックスで成り立っていると言えます。逆に、この3要素がないと、色を表現することはできません。

色の調子を表す「トーン」
色の明暗・濃淡・強弱など、3属性をすべて含む「色の調子」を表す表現が「トーン(色調)」です。トーンの違いを表にしたのが右のトーンの図です。各色相からトーンの同じ色がまとめられ、「ペール」、「グレイッシュ」、「ダーク」、「ディープ」……というように、12種のトーンに分けられています。
このトーンの概念を使うと、無数にある色を区別し、空間やファッションのイメージや配色を考えるときに応用することができます。
色の持つ心理的効果
色は、人の心に働きかける効果を持っています。例えば、赤、オレンジ、ピンクなどの暖色と、青、緑などの寒色では、実際には同じ温度でも、自律神経に働きかける温度は、大体3度違うと言われています(体感温度)。
また、暖色の中でも彩度の高い色(興奮色)は、気持ちを興奮・高揚させ、寒色の中でも彩度の低い色(沈静色)は、気持ちを鎮静させてくれます。

そのほか、明度の高い色は軽く感じ、明度の低い色は重く感じるという効果もあります。例えば、白:黒=1:1.87で約2倍の重量感の違いがあります。さらに暖色系の色や明度の高い色は、こちらに迫ってくるように見える(進出色)のに 対し、寒色や暗い色は、遠くにあるように見える(後退色)という効果も。
こうした色の心理的効果を知っていると、空間作りやファッション、ビジネスにも活用することができます。