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キャッシュレスで何が変わるのか・Chapter4:各国のキャッシュレス推進事例|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズをご利用ください。

変わり始める“お金”のスタイル キャッシュレスで何が変わるのか

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Chapter4各国のキャッシュレス推進事例

前編では、いま日本国内でキャッシュレス化に向けた取り組みが官民共に始まっていること、そして独自の事情により日本は他国に比べてキャッシュレス化が進んでいない現状などを見てきました。中編では引き続き経済産業省の海老原要氏の解説を挟みながら、キャッシュレス先進国の現状や、日本におけるキャッシュレス化進展に向けた動きについて見ていきましょう。

前編でも軽く触れましたが、キャッシュレス化が進んでいる海外の状況はどのようなものでしょうか。Chapter1で例として出したスウェーデン、韓国、中国について、ここではさらに細かく見ていきます。

まず、ひとくくりにキャッシュレス先進国といっても、決済手段や取り組みの概要などは国によって異なっています。

経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」に掲載された「各国のキャッシュレス手段別民間最終消費支出に占める割合(2015年)」では、各国のクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードの割合がグラフで示されています。これによると、キャッシュレス決済の割合が89.1%ときわめて高い韓国(Chapter1参照)においては、クレジットカードの占める比率が圧倒的に高くなっています。下記のグラフでは、クレジットカードによる決済がなんと7割を超えています。その一方、デビットカードは2割に満たない状況です。

各国のキャッシュレス手段別民間最終消費支出に占める割合(2015年) 出展:一般社団法人日本クレジット協会「日本のクレジット統計」より、NTTデータ経営研究所作成

各国のキャッシュレス手段別民間最終消費支出に占める割合(2015年)
出展:一般社団法人日本クレジット協会「日本のクレジット統計」より、NTTデータ経営研究所作成

上記から、日本もキャッシュレス決済手段の中ではクレジットカードの比率が高く、その意味では韓国と類似しています。同様の国はほかにトルコ、カナダ、シンガポールなどが挙げられます。日本は、デビットカードがほとんど使われておらず、むしろプリペイドカードのほうが多くなっているのが特徴といえるでしょう。

これに対してイギリス、スウェーデン、ベルギーなどの欧州諸国やインドなどは、デビットカードの割合が圧倒的に高いのが特徴です。

スウェーデンは、広い国内に都市が分散しており、現金輸送が困難であるという地理的事情に加え、人手不足、さらには金融機関・交通機関の現金を狙った強盗事件が相次いだことから、国を挙げてキャッシュレスを推進しました。

従来、同国では小切手が一般的に利用されていましたが、1990年代に小切手の手数料が変わったこと、カード支払いの環境が整備されたことから、小切手に代わりデビットカードの利用が普及していました。そこに2007年、犯罪対策として公共交通機関が現金の取り扱いを停止し、電子マネーを中心としたキャッシュレス支払いのみを受け付けるようになります。これに続いて金融機関もキャッシュレスを進め、現金を扱わない店舗が増えて、ATMの多くも撤去されました。

一方で個人間送金サービス「Swish」が2012年に登場し、のちにEコマースや企業への支払いにも使えるようにサービス拡充されたことから利用者が急増、2017年10月時点で人口の約6割が「Swish」を使用しています。この流れを受け、実店舗の中には現金の受け取りを拒否するところも出てきています。

一方、お隣の韓国は、1997年の通貨危機を契機に、脱税防止や消費の活性化を目的として政府主導でクレジットカード利用促進が図られました。クレジットカード利用額からの所得控除、一定以上の売上がある店舗に対するクレジットカード取り扱い義務付けといった政策が柱になっています。また、硬貨(コイン)の発行コストを下げるため、現金で買い物をした際のおつりをプリペイドカードなどに入金する取り組みも進められています。

中国の場合も、脱税防止や現金にかかるコスト削減、さらには偽札問題への対処といった目的で、2000年以降、インターネットを活用したキャッシュレス化の取り組みが進行しています。2002年、国内の多数の金融機関が共同で、日本でもクレジットカードで知られる「銀聯(ぎんれん)」を設立。オンライン決済の環境整備を実施しました。銀聯のクレジットカードは加盟店手数料が最高で0.55%と低い上に、医療、教育、社会福祉などの業種は0%としています。これに加えてアリババグループ「Alipay(アリペイ)」、テンセント「WeChat Pay(ウィチャットペイ)」といったQRコード決済サービスが登場し、日常生活のさまざまな場面でキャッシュレス決済が浸透しています。

「BIS(国際決済銀行)の調査によると、日本はクレジットカード・デビットカード・電子マネーを含めて1人あたり7.7枚のカード類を保有しており、これは世界的に見てシンガポールに次ぐ高い数字となっています。つまり日本人は、現金以外のキャッシュレス決済手段をたくさん持っているのです」と海老原氏。にもかかわらず、キャッシュレス先進国に比べるとまだまだ使われておらず、現金支払いを優先しているのが実情だといえます。

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公開日:2019年2月15日

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