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株式会社日立デジタルマーケティング 日立ソリューションズ
スマートマニュファクチャリングソリューション

連載『スマートマニュファクチャリングの実現』#01

経営と製造現場をつなぐ
「OTとITの融合」について

経営と製造現場をつなぐ「OTとITの融合」について

執筆者情報

鍋野 敬一郎
  • 株式会社フロンティアワン 代表取締役
  • IVI パブルシティ委員長
  • エバンジェリスト
同志社大学工学部化学工学科卒業(生化学研究室)、1989年米国総合化学デュポン社(現ダウデュポン社)入社、1998年独ソフトウェアSAP社を経て、2005年にフロンティアワン設立。業務系(組立工場、化学プラントなどの業務知識・経験)、基幹系(ERP/SCMなど)、クラウド(エンタープライズ系:PaaS、SaaSなど)、製造現場システム(MES/MOM/IoTなど)の調査・企画・開発・導入の支援に携わる。一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)のサポート会員であり、IVIのエバンジェリストをつとめる。

はじめに

 いま日本の製造業が直面する大きな課題のひとつに“経営と製造現場の乖離”という問題があります。自動車業界における不正や、素材産業における製品品質データの改ざんなど経営と製造現場における信頼関係やコミュニケーションにギャップが生じているように感じます。また、世界の製造業に共通する課題として、トランプ政権によるアメリカファーストの保護貿易政策が、米国内の工場以外で生産された製品に対して高い関税を課していることです。トランプ政権は、中国や欧州のみならずカナダやメキシコ、そして日本もその攻撃対象としています。自動車や機械、精密機器、センサー、ロボットなど幅広い産業でこうした貿易戦争の影響が出始めています。

製造業の生業はモノ(製品/ハードウェア)を生産して供給することですが、現代のものづくりは、1つの工場で生産が完結するこれまでのやり方とは異なり、複数の国や地域をまたがる複雑なサプライチェーンで成り立っていることを考えると、二国間の貿易だけで攻撃を仕掛けるトランプ政権のやり方は20世紀時代に逆行しているように見えます。製造業がこうしたリスクを回避するためには、モノだけ売る製造業からモノとコト(サービス/ソフトウェア)の両方を取扱う新しいビジネスモデルへの転換が必要となります。また、“スマートマニュファクチャリング”を実現して、刻々と変化する市場の変化や生産状況の状況に対して正しい判断を行う必要があります。経営と製造現場が一体となって、困難に立ち向かう体制が必要不可欠となります。

“経営と製造現場の乖離”を解決するためには、双方向の情報連携が有効です。製造現場の状況を経営が常に把握し、経営がこれを踏まえた正しい判断にもとづく指示を製造現場に要請します。これを実現する手段が「OTとITの融合」です。本コラムでは、4回の連載を通じて、日本の製造業が取り組むべき“スマートマニュファクチャリング”の実現について具体的な事例や取組みなどを交えて具体的な取り組みへのアプローチを考察して行きます。

※スマートマニュファクチャリングとは、 「工場内の設備等に情報通信技術及び情報処理技術を取り入れて工場の生産性の向上や 新しいビジネスの創造を目指す技術の総称」です。複雑なサプライチェーンをまたがるものづくりを最適化することが出来る。 ※OTとITの融合とは、 OT:オペレーションテクノロジー(制御システム)とIT:インフォメーションテクノロジー(情報システムによるデータ収集/活用)が相互に連携して製造オペレーションに関する情報を収集/活用すること。

日本の製造業が直面する
「経営と製造現場の乖離」を解決する手段

 いま日本の製造業が直面する大きな課題に“経営と製造現場の乖離”があります。問題が生じた背景には、中国やアジアなど新興勢力との厳しい競争や現場を見ずに下されるトップダウンの指示など様々ですが、全てに通じるのは目先の数字や動きに惑わされた場当たり的な対応が多く、中長期的な視野や全体を俯瞰した大局的な判断に欠けているように思います。つまり、経営層は手元の数値やデータだけを見て現場へ指示を飛ばし、現場は会社全体の状況や隣の工場を知らないまま自分の工場だけ見て都合よく報告するという構図です。

偏ったヒトが介在した数値やデータは、間違った認識を生みいずれ必ず事故や故障を生じます。経営と製造現場のやりとりは、数値や値といった情報が介在しています。この情報の取扱いが問題の本質だと思われます。

 これまで日本の製造業は、ものづくりに関わる情報に高い信頼とプライドを持っていました。その背景には、第二次世界大戦から高度経済成長、グローバル化を生き残るために高機能、高品質、高耐久性を日本のブランドとする必要があったからです。日本のものづくりは、ひとしく製品を作るヒトの育成でもありました。優秀な技術者を作ることが、優れた製品を生み出すことにつながります。しかし、デフレ経済がこれを潰すきっかけとなりました。経営は、製造現場へ無理な指示を飛ばし、製造現場は厳しい状況報告を経営が理解してくれないことを悟って正しい情報を送らなくなりました。世代を経てヒトが変わったため、経営が製造現場を直接視る頻度が減り。製造現場でも正社員と非正規雇用者で情報の分断化が進みました。

こうした状況を打開して、競争力を失いつつある製造業の再生を目指したのは日本ではなくドイツのインダストリー4.0(第四次産業革命)やスマートファクトリーへの取り組みでした。しかし、その狙いや状況は共通しています。解決策はただひとつ、“経営と製造現場の信頼関係”を再び取り戻すことです。この取り組みは、「OTとITの融合」で実現することが出来ます。

NEXT「「OTとIT」の足掛かりとなるMES(製造実行システム)とその役割」
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