Fan-Life Platformの導入事例
浦和レッドダイヤモンズ株式会社様さらなる絆づくりをめざした新たな試み。メンバーシップの基盤システムとしてFan-Life Platformを導入。
Jリーグ随一の入場者数を迎え続ける浦和レッドダイヤモンズ株式会社(以下 浦和レッズ)では、約2万人のシーズンチケットホルダーを中心に、ファン・サポーターの絆をさらに深めるため、メンバーシップ「REX CLUB」を創設。
その基盤システムとして導入した「Fan-Life Platform」を活用して、より大きな価値と楽しさを提供するためのチャレンジを続けています。

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導入の背景
強みであったクチコミの文化にシステムのよさをプラスして、ファン・サポーターとの絆をより強固なものにするために。

白戸 秀和 氏
「サッカーの街浦和(埼玉県さいたま市)」をホームタウンとし、1993年のJリーグ創設当時から数多くのファン・サポーターに支持されている浦和レッズ。その中心となるシーズンチケットホルダーの数は約2万人。しかも、そうした熱狂的なサポートの基盤は、いわゆる「動員」や「法人営業」など、クラブが組織的に集客した結果のものではなかったと言います。
「これまで浦和レッズを支えてきた強みは、クチコミの文化でした。サッカーの本場であるヨーロッパや南米ではよく見られることですが、サポーターがサポーターを呼んでスタジアムが満員になっていくという状況が、サッカーどころという歴史を持つ浦和には、Jリーグの創設当時からありました。 一方で、シーズンチケットホルダーやレッズランド会員など、さまざまな集団のメンバーを別々に把握していたために、例えば一人のサポーターにクラブから何枚も同じ年賀状が届くといった状態でもありました。 これでは、サポーターの皆さんもさびしく感じるでしょう。クラブとしても、アナログで強みとなっているものにデジタルの良い部分をプラスして洗練させていく余地があると考えていました。 そうした中で数年の検討の末、導入が決まったのが『Fan-Life Platform』でした。その目的はクラブとファン・サポーター、最終的にはファン・サポーターの皆さん同士の絆づくりです。 そのために一番重要なのは、引き続きクチコミだと思っています。ファン・サポーターの皆さんが自分たちで声を掛け合って来場してくださっているところに、こうしたシステムを導入することが良いとは限りません。 それでも、現状のままをよしとするのではなく、システムを利用することでこれまで強みだった部分もさらに強くしていけるのではないかという思いがありました」(白戸氏)
選定までの経緯
プロ野球やJリーグで利用されているシステムを比較。長期プロジェクトのパートナーとしての信頼性を重視。

須藤 伸樹 氏
熱心なファン・サポーターに支えられて日本のスポーツクラブの中でも独自のファン・サポーター文化を築いてきた浦和レッズが、システムを選ぶにあたってポイントとしたのは何だったのでしょう。導入決定に至る経緯についてお聞きしました。
「選定にあたっては、プロ野球の球団で使われているシステムや、他のJリーグクラブが導入しているものを、いろいろと比較しました。 そのうえで『Fan-Life Platform』を選んだ理由は、既にスポーツの分野で利用実績があったということが最も重要でした。それに加えて、日立ソリューションズの熱意を強く感じたからでした。 私たちがやろうとしていることは、通常のCRMとは異なりゼロから新しいものをつくり上げる部分があります。時間もかかりますし、前例も無いと思っています。 そのチャレンジを本当に一緒にやっていってくれるのか。そこが、私たちにとって重要なポイントでした」(須藤氏)
「今回のシステム導入とメンバーシップの立ち上げは、1、2年後のためではなく、5年後、10年後を見据えたものです。 ゆくゆくは、ヨーロッパや南米のようにファン・サポーターの皆さんがシーズンチケットの権利を子や孫に相続したいと思えるようなクラブに、浦和レッズがそうした存在になるための一つの試みでもあります。 それだけの時間をかけて、日本で初めてのものをつくっていこうとしている、そうした思いに共鳴したうえで仕組みだけでなく、どうしたら喜んでもらえるかという企画の部分から一緒に考えていただけるシステム会社を求めていました」(白戸氏)
導入時の取り組み
シーズンチケット継続年数を「REX CLUB」のカテゴリーとステージに反映。長く購入している人ほどポイントがたまる仕組みに。
2014年11月、「Fan-Life Platform」の採用が決定し、2015年のシーズン開幕に向けて開発が進められました。2015年2月には、最初のステップとして約2万人のシーズンチケットホルダーを対象にメンバーシップ「REX CLUB」が立ち上げられ、「Fan-Life Platform」の一部が稼働を開始。さらに、7月に新会員の募集が始まるとともに、本格的に稼働しました。
「1年目は、まずシーズンチケットホルダーの方々に『REX CLUB』の存在と価値を知っていただくことに重点を置いてきました。 私たちが蓄積してきたデータの中に、シーズンチケットの継続年数というものがあるのですが、シーズンチケットを何年続けて購入されているかというデータで、非常に重要な宝物と言えるものだと思っています。 これを『REX CLUB』のカテゴリーとステージに反映させて、継続年数が長い人ほどポイントがたまりやすい仕組みにしました。 また、ホーム自由席優先入場抽選という、自由席のシーズンチケットホルダーに向けた限定特典も導入しました。これは、東京ヤクルトスワローズがチケット発券に利用していた機能を応用したものです。 これによって、昨シーズンまで、雨でも真夏でも試合開始の6時間も前にスタジアムの外に集まって決めていた自由席入場の順番を、事前に『Fan-Life Platform』で抽選して試合当日の4時間ほど前までにスタジアムやファンショップにある端末で入場の順番がプリントされた整理券を発券できるようにしました。 こうした施策を一つずつ実行することで、シーズンチケットホルダーの皆さんに楽しさを感じていただいたり、ファン・サポーターの皆さん同士の絆づくりのきっかけを提供できればと思っています」(白戸氏)
導入後の効果
入場順を決める抽選機能は多くの方が利用。チケット購入システム連携など、まだまだ検討中の課題も。
稼働開始から約1年半。ファン・サポーターからは、システム導入に対してどのような反応があったのでしょう。また、運用するクラブ側に見えてきた変化は、どのようなものだったのでしょうか。
「システム稼働とともに開始したホーム自由席優先入場抽選は、約7,000人いる自由席シーズンチケットホルダーのうち1試合平均で約4,500人にご利用いただいています。 また、指定席のシーズンチケットホルダーの方たちを限定にした抽選システムや、勝利ボーナス、お気に入り選手の登録とTVインタビューに選ばれた場合の山分けポイント制度など、これまで応募にコストや手間がかかるために実施することが難しかったものを実施できるようになりました。 その一方で、1年半かかってようやくたまったポイントを使ってアイテムと交換できるポイント交換は始まったばかりです。 近く、チケット購入システムとの連携もしていきますが、当初想定していた展開がスタートするにはもうしばらく時間が必要です。 また、シーズンチケットホルダー向けの施策を優先してきましたので、新しいメンバー向けの施策もこれから展開していきます。」(白戸氏)
「クラブ側から見た明らかな変化は、いろいろなものが数値で見えるようになったことです。例えば、グッズにしても飲食物にしても、どういう年代の方が、どういうモノを買っているかなどを『見える化』できました。 ただ、まだわずか1年程度のデータなので、これからの蓄積が大事です。まずは、これまで感覚的に捉えていたものに対して、これからは数値に裏付けられた仮説を立てて、施策を打っていけるようになったことが重要だと思っています」(須藤氏)
今後の展望
要望は楽しさを提供していくための機能や企画づくり。 お互いの知見のフィードバックにも期待。
最後に、浦和レッズがめざすさらなる絆づくりの基盤として稼働し始めた「Fan-Life Platform」や、今後の日立ソリューションズに対する要望などをお聞きしました。
「まずはマイページを見てもらうことが第一歩です。その一つのきっかけになればと始めたのが、日立ソリューションズから薦められていた、ポイントを山分けする企画です。 これは、チームが試合に勝ったときに、TVインタビューを受けた選手をお気に入りに登録していたメンバーでポイントを分け合ってもらうというもので、『Fan-Life Platform』の標準機能を活用しました。 これが、どれだけサポーターやファンの皆さんに響くかはまだわかりませんが、何か新しい楽しさを提供していきたいので、できるものから始めていこうとスタートしました。 このほかにも、日立ソリューションズには、メンバーが楽しくなりそうな機能や企画を考えてくださいといつもお願いしています。 そのためには、システムをつくる人にもスタジアムに来てもらって、現場の雰囲気を感じてもらえればと思っています」(須藤氏)
「『Fan-Life Platform』というのは、あくまでも仕組みだと考えています。つくることよりも、それで何をしていくかが重要なこと。 しかも、動かすのは人の心です。そういった意味で日立ソリューションズには、サプライサイド(企業目線)ではなくデマンドサイド(サポーター目線)に立って考えてくださいと話しています。 あとは、お互いに知見を蓄積し、スポーツエンターテイメントの分野を牽引していくことを願っていますので、これからも相互のフィードバックと意見交換を続けていけることを期待しています」(白戸氏)
浦和レッドダイヤモンズ株式会社
1992年、当時の埼玉県浦和市(現さいたま市)をホームタウンとするプロサッカークラブとして設立。以来、多くのファン・サポーターに愛されるクラブとして地域社会にスポーツエンターテイメントを提供するとともに、世界でもトップクラスのチームをめざした挑戦を続けています。
本社所在地 | 埼玉県さいたま市緑区中野田500 | ![]() © URAWA RED DIAMONDS |
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設立 | 1992年03月10日 | |
事業内容 | プロサッカーチームを保有し、プロサッカー試合の興行、プロサッカーに関する広告宣伝およびグッズの開発・販売 | |
URL | http://www.urawa-reds.co.jp/ |
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本事例の内容は2016年9月29日公開当時のものです。
最終更新日:2016年9月29日