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スマートマニュファクチャリングソリューション

「バーチャルエンジニアリング」の現在地
製造業DXの柱に

 かつて日本経済をけん引してきた製造業。「ものづくり」の精神の下、設計部門と製造部門が密に連携して高い品質を実現する製造技術が世界に高く評価され、日本製品の価値を引き上げてきた。

 しかし21世紀に入り、「インダストリー4.0」への革新が強く求められる時代が到来した。綿密な設計と検証に基づいた日本のものづくりもデジタル化の波を避けることはできず、「バーチャルエンジニアリング」の導入が不可欠とされている。

 この記事では、自動車業界をベースにバーチャルエンジニアリングの概要に迫っていく。

バーチャルエンジニアリングとは?

バーチャルエンジニアリングとは

 バーチャルエンジニアリングは、企画・設計段階から製造に至る開発プロセスをデジタル化し、バーチャル環境下で検証や設計変更などを行っていく手法を指す。製造業における「DX」(デジタルトランスフォーメーション)の1つだ。

 かつて、コンピューター普及期以前の製造業では、紙ベースで作図し、これを基に実際に試作品を製造してさまざまな検証を行い、必要に応じて何度も作り直す工程を繰り返していた。

 現在においては、コンピューター上で製品設計を行う「CAD」(Computer-aided Design)、CADで作製されたデータを基に工作機械などの制御プログラムを作製する「CAM」(Computer-aided Manufacturing)、データを基に構造解析などのシミュレーションを行う「CAE」(Computer-aided Engineering)といったデジタル技術が活用されている。

デジタル技術の活用によってある程度工数を省くことが可能になり、またコンピューターの高性能化によってデジタル上でオペレーション可能な工程も増えている。

基本的にはデジタル化が図られていると言えるが、多くの場合、設計や営業、製造など各部門の連携はアナログなままで行われている。コンピューターで設計したデジタルデータから試作品を作り、現物ベースで事業を進めているのだ。

バーチャルエンジニアリングでは、基本的にこれらの全工程をサイバー空間、つまりバーチャルで行う。製造するモノ、例えば自動車であれば、綿密な設計のもとコンピューター上に3Dのリアルな自動車を構築し、これをベースに各部門をはじめ製造に関わる各サプライヤーも交えながらテストを重ね、すり合わせを進めていくイメージだ。

コンピューター上のモデルを基に開発や性能評価といったプロセスをシミュレートするモデルベース開発などもバーチャルエンジニアリングの考え方と同一と言える。

バーチャルエンジニアリングを導入するメリットは?

バーチャルエンジニアリングを導入することで、企画・設計から製造に至る工程を大幅に短縮することが可能になる。

自動車製造においては、エンジンやボディ、組込みシステムなどさまざまな専門技術を集結し、1台のクルマを完成させるが、従来の現物ベースでは、それぞれの部品を組み合わせる工程において膨大なすり合わせ作業が行われ、その際の労力や時間、コストも膨大なものとなる。

しかし、バーチャルエンジニアリングであれば、検証や修正などの作業もすべてコンピューター上で行うことができ、リアルな試作品を何度も製作する必要がなくなる。

また、各部門・各企業の担当者がインターネットを通じてコミュニケーションをとることができるため、リアルタイムで各部門・各企業が情報共有しながら作業を進めることが可能になり、すり合わせの際に生じていた二度手間などを効果的に省くこともできる。

実物の完成前に多くの仕様を決定することができ、開発コストの低減や開発スピードの促進を図ることができるのだ。こうした成果は、市場競争力の向上に直結していく。

さらには、製作過程で使用したリアルなバーチャルデータを活用したバーチャルショールームを設けることで、インターネットを介してコンシューマーとつながることも容易になるほか、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などを駆使した将来の営業や宣伝活動などにも取り組みやすくなりそうだ。

バーチャルエンジニアリングの課題は?

利点の多いバーチャルエンジニアリングだが、実現するためには質の高い3Dデータを製作する技術・環境が不可欠で、関連する各部門・各企業も3DのCADに対応し、データ同期・連携を図る環境下になければならない。3次元モデルを設計可能な人材はもとより、バーチャル上で情報共有を図り、一元的・一体的に開発を行っていく体制作りも肝要となる。

また、導入に意欲的であっても、バーチャルエンジニアリングに精通した企業・専門家はまだ日本に少なく、相談窓口が不足しがちな点も課題に挙げられる。

このほか、日本の伝統的な「ものづくり」のクオリティが失われる懸念も指摘されそうだが、製造現場における高度な技術とバーチャルエンジニアリングは矛盾するものではない。両者を融合し、いかに効率的かつ効果的に高品質な製品を作っていくかが問われるのだ。

NEXT「バーチャルエンジニアリングで先行する欧州」
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