日立ソリューションズは、社会生活や企業活動を支えるソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

働く女性の健康不安を
専門家が解消
人的資本経営への第一歩となる
ウェルビーイング支援

男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などを契機に、女性就業者の人口が増え、現在では、国内の労働人口の約4割を超えています。企業では持続可能な経営に向けて、ウェルビーイングや人的資本経営への関心が高まっており、その一つとして女性の活躍推進が注目されています。日立ソリューションズは、女性の体の不調や不安に早期に対処でき、活き活きと働き続けられる環境を支援する「リシテア/女性活躍支援サービス」を、医療法人葵鐘会(きしょうかい)との協創により2023年3月より提供開始しました。本サービスを通じて、企業のウェルビーイングと人的資本経営を支援し、SXの実現に貢献していきます。

対談の画像
中村 英知

スマートライフソリューション事業部
スマートワークソリューション本部
HRソリューション開発部 技師

中村 英知

入社後10年間、インフラ関連のシステムエンジニアとして、システム構築や運用に携わる。2021年に8カ月間の育児休暇を取得後、働き方改革の必要性を感じ、2023年より現職にてウェルビーイングに関連する事業の拡充を推進中。

平田 文香

スマートライフソリューション事業部
スマートワークソリューション本部
HRソリューション開発部

平田 文香

入社後、産業・通信業関連のSEを経験。現在は、リシテア女性活躍支援サービスを含め、働き方改革に関連する新規事業開発を推進中。

女性が安心して働き続けるためには、
健康問題への対策が重要
「リシテア/女性活躍支援サービス」の
開発の背景となった課題について教えてください

平田:国内における女性就業者の割合は、2013年頃を境に急激に増えており、労働人口に占める割合は、2022年の時点で約45%(*1)となっています。当社においても、10年前と比較し、2022年の新卒採用の女性の割合は170%増、また、全従業員における女性比率は136%増となっており、今後ますます働く女性の活躍は期待されてくるでしょう。

その一方で、女性は20代から60代にかけての就労期間中に、女性ホルモンの分泌量により、月経前症候群や子宮内膜症、更年期障害などのような女性特有の健康問題のリスクを抱えています。女性が活き活きと働き続けられる環境をつくっていくためには、企業はこの問題を見逃すことはできません。

また、経済産業省の調査によると、働く女性の56%が、女性特有の健康問題によって、「職場で困った経験がある」との結果(*2)が出ています。たとえば、症状を自覚していても、上司や家族など周囲に相談しにくい、病院へ行くべきかわからないなどのほか、仕事が忙しくて病院へ行く時間が取れない、という問題があります。

このような問題を解決して、女性が心身ともに健やかに働ける環境づくりを支援したいと思い、「リシテア/女性活躍支援サービス」を考えました。

*1 : 経済産業省 労働力調査2022年

*2 : 経済産業省「働く女性の健康推進に関する実態調査」

対談で話す平田
医療の専門家との協創により、
女性従業員が気軽に相談できるサービスを提供開始
お客さまとの協創を通じて、どのような価値をつくられたのでしょうか。

中村:はじめは、当社のアメリカオフィスからの紹介がきっかけでした。当時、シリコンバレーにおいて、「フェムテック」のキーワードでスタートアップのサービスが出てきていることを知り、日本でも事業ができないかと考えていました。

ちょうどその頃、経済産業省がフェムテックの実証事業へ補助金を出すという動きがあり、2021年の成果報告会へ参加しました。報告会へは、日本最大規模の周産期医療機関である医療法人葵鐘会(きしょうかい)(以下、葵鐘会)さまも参加されており、フェムテックの事業は、当社のようなIT会社だけで、参入できる市場ではないこと、医療の専門家の協力がないと事業ができないことがわかり、葵鐘会さまへ「2社で協力してフェムテックの事業ができないか」とお声がけしたのが協創のはじまりでした。

平田:女性特有の健康問題へ正しく対処するためには、女性従業員がいつでも気軽に、資格を有する専門家(看護師、助産師)へ相談できる仕組みが必要です。葵鐘会さまの協力のもと、2022年6月~9月の3カ月間、約70名の当社女性従業員を対象に、相談サービスが女性従業員にとって有効であるかを実証するための社内トライアルを行いました。

※FemTech(フェムテック)。Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。 思春期・性成熟期・更年期・老年期といった、ライフステージごとに訪れる女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービス全般を指す。

相談サービスのグラフ
図1 【社内トライアルのアンケート結果(2022年9月)】
出典:株式会社日立ソリューションズ

トライアル後のアンケートでは、相談サービスに対して、利用者の93%が「常時使えた方が良い」、81%が「業務パフォーマンスの向上や労働時間の確保につながる」という回答結果を得ることができました。(図1参照)

このようなトライアルの結果も踏まえて、葵鐘会さまとの協創により、「リシテア/女性活躍支援サービス」を2023年3月にリリースすることができ、本サービスの発表後、企業からの問い合わせや引き合い数が増えてきました。

「リシテア」は、1994年以降、企業の就業管理など人事業務を支援してきたソリューションですが、今後は女性活躍支援のほか、キャリア形成や介護などの相談サービスを拡充し、企業と従業員のエンゲージメントを高める支援を行っていきたいと考えています。

リシテア/女性活躍支援サービス
図2 【リシテア/女性活躍支援サービスの特長】
出典:株式会社日立ソリューションズ
対談で話す中村
一人ひとりが、活き活きと働ける社会をめざして
未来への想いやビジョンについてお聞かせください。

平田:本サービスは今後も継続して拡張を行い、企業のウェルビーイングや人的資本経営を支援し、SXの実現に貢献していきたいと思っています。たとえば、キャリアや育児、メンタルほか、介護の相談など、あらゆる従業員の悩みに寄り添えるようなプラットフォームをめざします。

また、「リシテア/就業管理」と組み合わせることによって、女性の健康状態の推移の可視化など、パフォーマンスおよびエンゲージメントの可視化と向上にもつなげていきたいと考えています。

私自身、まだ妊娠や出産に対して、どれくらい体へ負荷がかかるのか、また、育児をしながら仕事は続けられるのかなど、想像がつかないのですが、このようなサービスがあると思えば、安心して働けます。このように、専門の会社の方との協創を通じて、女性が安心して働けてパフォーマンスを最大限発揮できるような社会をめざしていきたいと思います。

中村:今回発表した「リシテア/女性活躍支援サービス」の背景にある課題についてですが、女性は、特有の健康リスクがあり、仕事のパフォーマンスにも影響するという面を考えると、男性と女性では「違い」があるため、働く環境は平等にはなっていないと思います。まだ世の中では、子どもを育てる役目の多くを女性が担っているという側面もあるかと思いますので、そのような育児の悩みにも寄り添えて、男女問わず安心して働ける社会をめざしていきたいと思います。

私自身、2022年に8カ月間の育児休暇を取り、今は育児と仕事を両立させている時期ですが、キャリアや育児の相談があれば、ぜひ受けてみたいと思っています。

平田:当社では、ソリューションを通じて、企業のウェルビーイングを支援し、柔軟で多様な働き方を実現していく「ワークスタイル改革」をテーマとして事業を推進しています。この「ワークスタイル改革」を実現するためには、まずは「違い」があることを認識することが大変重要だと考えています。今回発表したサービスは、女性向けではありますが、男性・女性において違いがあること、また、男性・女性それぞれの中でも人によって違いがあり、それぞれの課題に対応した施策を取ることで、はじめて働く環境が平等になってくるのではと思います。

このように、一人ひとりが活き活きと、最大限の力を発揮して活躍できる社会をめざしていきたいと考えています。

ステップ
図3【リシテア/女性活躍支援サービスのめざす姿】
出典:株式会社日立ソリューションズ
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