社会に先駆けた最新技術の活用による
新たな体験のデザイン
最新技術の活用による「安全なスマートモビリティ社会」の実現
「ソフトウェアが定義する車(SDV)」という言葉は、いまや自動車業界の未来を語るうえで欠かせないキーワードとなっており、車の開発はより高度化・複雑化しています。また、国連欧州経済委員会(UNECE)で、車両のサイバーセキュリティに関する規則が採択されるなど、セキュリティを担保した開発へと規制化が進んでいます。当社では、SDVの価値を最大化するために、開発・設計・安全・社会接続という4つの領域において、革新的な取り組みを展開しており、安全なスマートモビリティ社会の実現へ貢献します。
協創活動・開発業務のAI活用
既存の概念やビジネスの枠組みにとらわれず、多様な視点で新しい価値を生み出す協創。その実現には、①大きな発想の転換が必要とされる、②ビジュアル化ができずパートナーとの共有が難しい、③ディスカッションの事前準備に負担がかかるなど、アイデアの創出からビジネスモデルを構築するまでには多くの困難がつきまといます。
当社では、社会の動きに先駆けて獲得・蓄積してきたAIの最新技術を駆使。大量に学習したデータやパターンをもとに、多様なアウトプットを生成するAIならではの特徴を協創に活用することで、アイデアの多様性を引き出すワークショップ手法の割り出しや、アイデアを具体化するためのプロンプトテンプレートの作成が容易に行えるなど、検討プロセスの飛躍的な迅速化を可能にします。
これまで長い時間と膨大な作業を要してきた開発分野の業務でも威力を発揮。企画立案からペルソナ定義、ジャーニーマップ、ストーリーボード、画面モックの作成など、多岐にわたる多様な業務の改善に優れた効果が期待できます。
イノベーション創出活動
当社は、幅広いステークホルダーの皆さまとの協創を通じて、持続可能な社会の実現をめざしています。環境価値、社会価値、経済価値の向上につながる事業への先行投資や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するオンライン上の協創空間、サステナビリティの分野に着目した研究戦略や知的財産権の活用など、イノベーション創出に向けた全社戦略を推進しています。
また、持続可能な社会に貢献する企業活動と事業活動を創生する社内アイデアソンを通じて、従業員一人ひとりがサステナビリティを自分事として捉える機会をつくるなど、従業員の成長を後押ししています。
グローバル成長戦略においては、北米やAPACなど、グローバル4地域をベースにマイクロソフト社や世界中のスタートアップとの協創を通じ、最先端のITを活用したイノベーションに取り組んでいます。
当社はこのようなイノベーション創出活動により、日立のLumada※事業の持続可能な成長へ貢献していきます。
※Lumada:illuminate(照らす)とdata(データ)を組み合わせた造語。先進的な技術を活用してDXを加速する、日立製作所のソリューションやサービス、テクノロ ジー体系の総称です。
リエゾン活動~海外先端技術の発掘
2007年、シリコンバレーにリエゾンオフィスを構えて以来、米国を中心に、日本市場との親和性の高い先端技術を発掘してきました。ベンチャーキャピタルであるDNX Venturesと連携し、現在50社以上の商材を日本国内で販売しています。
2023年には、米国以外での商材発掘の対象地域を欧州やイスラエルへ拡大。サステナビリティ、生成AIなどの先端技術の発掘とアライアンス先開拓を推進しています。
要員を配置
海外ベンダーと契約
欧州やイスラエルへ拡大
早期発掘
SX投資
サーキュラーエコノミー、女性人財活用事業への先駆的な取り組みをはじめ、社会・環境価値の高い事業への投資を進めています。お客さまのSXを加速する、迅速なサービス、ソリューションの提供をめざしています。
本取り組みが推進する主な事業
オープンなコミュニティ「ハロみん」
持続可能な社会の実現に向けて、さまざまなステークホルダーとのつながりを大切にし、みんなでワクワクする未来を創造していくためのオープンなコミュニティ「ハロみん」を立ち上げました。「誰もが心の豊かさを実感できるサステナブルな地球社会を実現するために、皆さんと力を合わせたい」という日立ソリューションズの想いのもと、さまざまなテーマによるイベントやオンラインコミュニケーションの仕組みを活用して、活動を推進していきます。「ハロみん」は、「ハロー、みんなの〇〇」の略語で、〇〇にはみんなが実現したいサステナブルな地球社会を示す、いろいろな言葉が入ることを想定しています。テーマは、「グローバルトレンド(先進技術)」、「セキュリティ」、「生成AI」などさまざまで、今後も拡充していきます。
Web3.0 ~次世代の分散型ネットワーク
直接やり取りが可能
安全な交換を実現
豊富なソリューション
の実現に寄与
ブロックチェーン活用で情報を分散管理
ブロックチェーンとは、データをブロック単位で管理し、チェーンのように連結して保管する技術です。今までの中央集権型のインターネットと異なり、ブロックチェーンの参加者間で分散してデータを管理するため、データの改ざんが事実上不可能になります。情報保存用のサーバーも不要。情報漏洩のリスクを低減できます。
安心して運用できる仕組みづくりを全力でサポート
先進ブロックチェーン技術を応用した多彩なソリューションメニューをご用意。個人間でのデジタルデータの販売・送金などが自由に行える仕組みづくりをサポート。地域活性化をめざす自治体や、小売・流通業が発行する仮想通貨やポイント管理をはじめ、社会に開かれた信頼性の高いコミュニティの形成を強力にバックアップします。
知的財産
知的財産権の尊重
当社では知的財産(知財)活動を事業戦略の一部として重視しており、他者の知的財産権を尊重、および当社の知的財産権の保護と活用に努めています。また、日立グループの一員として、日立グループ企業倫理・行動規範にのっとり、知的財産権を侵害しないソリューション開発に努めています。
事業を支える知財活動
当社は、事業を支える知財活動に取り組んでいます。その一つが、当社の重要事業に対する特許群の形成です。特許群によって、当社の技術が競合他社に採用されるのを防止したり、当社の技術をお客さまにアピールするなど、当社事業の保護強化を行っています。
また、グローバル事業の展開も視野におき、各国での権利化を推進しています。
今後の取り組み
今後も効率的に特許群を形成しこれを維持するために、また、将来にわたる当社事業の自由度を確保するために、事業部門と知財部門が連携して事業に密着した知財活動および支援の充実を図ります。
発明者への報奨制度
当社は、充実した発明報奨制度により研究・開発の第一線で働く従業員の発明意欲の向上を図っています。具体的には、日立製作所の基準に準じて報奨金額の基準を設定し、従業員に公開しているほか、支払われた報奨金に関する問い合わせや意見聴取に応じるなど、公正で透明性のある制度運営を行っています。
UX(ユーザー体験価値)デザイン支援
当社では、顧客体験価値の向上を目的として、システムやサービスの機能の使いやすさを向上させるだけではなく、ユーザーに喜ばれる価値の創造に取り組んでいます。
ユーザー視点でのニーズや課題の抽出
具体的な一例としては、まずペルソナやカスタマージャーニーマップなどの作成を通じてユーザーの理解を深め、潜在的なニーズや課題を明らかにします。
UX設計支援
ユーザーの課題を解決するアイデアを検討して、UXを構成する要素の一つであるUI(ユーザーインターフェース)のプロトタイプを作成します。作成したプロトタイプを用いたユーザビリティテストでアイデアを評価し、ユーザーのニーズに適合しているのか、課題を解決することができるのかを確認します。これらの活動は「ISO 9241-210 人間中心設計プロセス」に準拠しています。これらに加え、カラーユニバーサルデザインやアクセシビリティなどの知見も活かし、多様なユーザー特性に配慮した設計・開発を支援してきた経験豊富なUXデザイナーとUX専門家が、さまざまなプロジェクトをサポートしています。
グローバル成長戦略
当社は、北米を中心に、ヨーロッパ、インド、APACの4地域が連携し、マイクロソフト社など、さまざまなパートナーとの協創によるイノベーションを創出しています。
海外事業を担う各拠点は、人種、文化的に多様な人財が活躍する職場です。さまざまなバックグラウンドを持つ人財が、事業活動やボランティア活動を通じて、持続可能な社会を実現するという価値観を共有し、従業員同士が協力することで、社会課題の解決に取り組んでいます。
2022年度、イギリスでは、ロンドンにおける地域社会の課題解決を推進するプログラムへ参画。Microsoft Azure上で、本プログラムを支えるIoTプラットフォーム※1をマイクロソフト社と協力して構築しました。社会的脆弱者の家に設置されたセンサーによる見守りサービスや、通学路に設置されたセンサーによる大気成分の監視などのIoTプラットフォームの活用により、地域社会の課題解決に向けて取り組んでいます。
また、アメリカでは、LGBTQ※2への理解を深め、オープンで公平な環境をつくるために従業員向けのコミュニティーを発足するなど、サステナブルな社会への取り組みをグローバルで展開しています。
※1 : 企業がIoTを活用するために必要なさまざまな機能やサービスを提供する基盤のこと。
※2 : Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender、Queer/Questioningの各語の頭文字をとった表現。
グローバルにおける人員構成
総数 約2,600名(2024年3月末時点)
当社グループの製品・サービスを東南アジア(APAC)に展開
APACにあるBusiness Innovation Centerでは、当社の製品・サービスをベースに、新規事業の創出やマーケティングを行っています。また、インドのグローバルデリバリーセンターでは、高度な専門技術を持つクラウドやAI、Deep Learning※1技術者の育成を推進しています。
※1 : ディープラーニング。コンピューターが自動で大量のデータを解析し、データの特徴を抽出する機械学習のひとつ。
※2 : 会員・ポイント管理をはじめ、運営で収集した情報をもとに、AIによるレコメンドや効果測定など、お客さまのマーケティング活動をトータルに支援します。
カナダにおけるLifelabs社との協創を通じた医療分野への貢献
カナダでは、医療検査サービスを提供しているLifeLabs社との協創により、出入国者のPCR検査サービスや検査機関による訪問検査サービスの開発を通じて、医療分野へ貢献しています。
旅行者のPCR検査サポートにより感染症拡大を防止
当社の米国法人であるHitachi Solutions Canada, Ltd.(以下、Hitachi Solutions Canada)は、Microsoft Power Appを用いて、LifeLabs社が提供するオンラインPCR検査サービス「FlyClear」のエンハンスを行いました。専門の医師がリモートでサポートすることで旅行者自身によるPCR検査が可能となり、検査結果がリアルタイムで確認できるなど、旅行者の利便性の向上と検査の負担軽減を実現。カナダ出入国時において、毎月10万人以上の旅行者が利用しており、健康で安全な旅行の実現と感染症の拡大防止へ貢献しています。
多くの人たちの健康を守る訪問検査サービスの提供
Hitachi Solutions Canadaは、LifeLabs社との協創により、検査機関による訪問検査サービス「MyVisit」を開発しました。従来、検査のためには、患者が自ら検査機関へ行く必要がありましたが、「MyVisit」によりオンラインで予約を行えば、検査機関のスタッフが自宅へ訪問し、検査を受けることが可能になりました。妊婦や子育て中の世帯、疾病者、シニア世代など、検査機関へ行くためには負担が大きかった人たちにとっても、安全して検査サービスを受けることができます。「MyVisit」は、カナダのオンタリオ州からサービスを開始しており、1年間で10万件以上の検査を実施しています。今後はカナダ国内の他の州へのサービス展開も視野に入れるなど、多くの人たちの健康を守る取り組みへ貢献しています。

